2008.07.08 (Tue)

ミクはどこまで喋れる? トークロイド(1)

VOCALOIDは、入力した歌詞の通りに人の声で歌ってくれる画期的な歌唱ソフトです。
しかし、「人の声」を素材としているとは言っても、あくまで歌唱に特化して作られたソフトであるため、普通に喋る事はかなり苦手としています。
VOCALOIDの打ち込みは、音階と音の長さの入力を基本とする「ピアノロール」と呼ばれる方式で行われますが、地声での会話をピアノロールで表現するのはかなり難しいようです。さらに、会話と歌唱では発声の仕方も異なるため、歌いながら収録するVOCALOIDの音声データでは、そのまま喋らせても非常に聞き難く不自然な喋り方になってしまいます。
それでも、ボーカロイド達をうまく喋らせようと努力を続けている人達はいて、喋りをメインにした作品は少なくありません。特に、VOCALOIDを買ったものの音楽は苦手、というユーザーにとっては数少ないVOCALOIDの有効活用法になっているようです。
ボーカロイドを喋らせた作品は「トークロイド」と呼ばれ、専用のタグが付けられています。「人間と区別が付かない」というほどの喋りは難しいようですが、技術とセンス次第でかなり聞き取れるようにはできるようです。

人工音声で喋らせる専用のソフトとしては「読み上げソフト」と呼ばれる技術があり、実用化されています。ニコニコ動画ではフリーでお手軽な読み上げソフト「SofTalk」(ゆっくりボイス)が有名ですが、ボーカロイドでゆっくり並に喋らせるのは至難の業です。さすがに会話専門ソフトだけあって、手間も聞き取り易さも全然違います。
しかし、VOCALOIDを使った喋りには、読み上げ専門のソフトと大きく違う点として「会話に自由な抑揚を付ける事が出来る」という利点があります。これは読み上げソフトではできない「演技」をすることができるということで、VOCALOIDならではのトーク性能と言えるでしょう。開発元のYAMAHAが語った次世代型「VOCALOID3」が目指している新機能としても、この読み上げソフトとは違う仕組みによる自然な会話調の発音を可能にする事が挙げられています。新世代VOCALOIDに期待です。

トークを効果的に使った作品は、歌だけの作品よりも遥かに多様な表現が可能になります。
MMDとの相性もよく、MMV(MikuMikuVoice)や「ぼかりす」などトークさせるのに便利な技術も開発されているので、今後もさらに進化を続けるジャンルだと思います。
今回は、ボーカロイドの喋りを人間に近づけることを目指した動画を、フリートークのものを中心にいくつか貼ってみたいと思います。特に技術面に拘った作品が中心で、トークロイド職人の技術を知る事ができると思います。




 【喋らせてみた】初音ミクベストのインタビュー収録【おまけ付き】
CD「初音ミクベスト」の初回限定生産特典として期間限定公開されていた、ケフィアPのトークロイド動画です。ケフィアPのインタビューをミクとルカが代理で語る内容で、リンとレンも登場するちょっとした日常の会話劇にもなっています。トークのクオリティが非常に高く、現在トークロイド系動画の中では技術的には最高峰の一つです。字幕が無くても自然に聞き取る事ができ、棒読みではなく情感の篭った演技になっています。声優的な喋りなので、ドラマCDのようだという感想もありました。
この動画の作者「ケフィアP」はトークロイドでは最高の技術を持つと言われる職人で、ミク・リンレン・ルカを使った多くのトークロイドシリーズを発表している他、その技術を生かしたカバー曲や、オリジナルのラップ作品なども作っています。他にも、トークロイド最高の職人として、「ミクの日感謝祭」やシンガポールでのライブイベント、NHKで放送されたHMOのミク曲など、公式的な大イベントでのミクの喋りも多く手掛けているようです。



 【ミクリンレンがくぽ】東一局0本場【オリジナル局】
VOCALOIDの声を使って様々な試みをしている「検証P」のトークロイド作品。
ミク・リン・レン・がくぽが家族麻雀をしている様子が音声とゲーム画面だけで流れるシリーズで、喋りがうまいだけでなく、家族麻雀の掛け合いが非常にリアルに表現されている作品です。
性格分けもはっきりしていて、皆生きているような存在感があります。(微妙にリンがおばさんくさいですが)特に、メンバーの中で一人だけ大人ながくぽが味のある演技をしていて、暴走しがちなリンをなだめながら場をまとめようとする空気の読みっぷりが楽しいです。
麻雀の専門用語が多いですが、ルールを知らなくても楽しめると思います。
ゲーム展開が二転三転する続編もおススメです。(シリーズ未完) 「東二局0本場」では、「検証P」によるVOCALOIDトークの調整法について軽く触れられています。
「東二局0本場」「東三局0本場」「東三局1本場」「東三局2本場」



 【初音ミク】叫ぶ初音ミク
「きりがぷにえ」さんによる、調教技術のデモンストレーション動画です。
短い動画ですが、ミクには難しいとされていたシャウトやデス声をエフェクトで見事に作り出していて、ビリビリくるような強い声を聞かせてくれます。投稿者コメントで使用ソフトとパラメーター操作も具体的に解説されています。
シャウトも凄いですがトーク部分もかなり自然で、トークロイドとしては最高レベルです。なぜ関西弁なのかはよくわかりませんが。
作者の「きりがぷにえ」さんは、ミクの声を音源として様々な試みをしている人で、ピアプロなどで多くのトーク作品や声の加工の実験作を発表しています。



 「巡音ルカ と 英語でおしゃべり!」に絵を付けてみた
ルカの持ち物戦争に決着をつけた「たこルカ」が定着するきっかけとなった動画「巡音ルカ と 英語でおしゃべり!」に、手書きアニメをつけたものです。
初対面のルカとリン・レンが英語でコミュニケーションをとろうとするトークロイド作品で、外国人への対応がいかにも日本人なレンと、思考がまったく一緒なリンが楽しい大ヒット会話劇です。しかし、なんといっても話題になったのはルカの英語で、ボーカロイドが苦手な通常会話であるにも関わらず非常に流暢な発音を聞かせてくれます。
これは、英語ライブラリには単語単位での発音が記録されているため、単語のみの発音ならかなり自然に聞こえると言う英語ボーカロイドならではの理由があります。ただし、それはその分英語の発音が複雑で難しいということなので、長文を喋らせたり普通に歌わせるとなると日本語よりもはるかに調整が難しいようです。



 デリリウムトレーメンス弦楽四重奏団第9回定期演奏会 休憩
静岡県を中心に活動するアマチュア楽団「デリリウムトレーメンス弦楽四重奏団」の定期演奏会のアナウンスに、初音ミクの声が使用されているのを録音した動画です。なんだかお気楽に聞こえるミクのアナウンスですが、もちろんボーカロイドとは関係のない真面目なクラシックの演奏会です。
まるでトークロイド職人が作ったような自然な喋りですが、それもそのはず、この音声を作ったのは楽団のヴァイオリニストにしてYAMAHAのVOCALOIDエンジン開発者の一人・剣持秀紀氏だと言われています。(この動画をアップしたのも剣持氏です)
剣持氏はVOCALOID技術に関する講演会などでVOCALOID3での会話機能の強化について語っており、このアナウンスもトーク技術の研究の一環なのかもしれません。
これと似た試みとして、2010年2月20日に開かれる清水フィルハーモニー管弦楽団の定期公演において「世界初!合成音声による物語音楽」として初音ミクがナレーションを務める事が決まっています。ちなみに、こちらも剣持氏が所属している楽団です。



 フルみっくで 患部で止まってすぐ溶ける~狂気の優曇華院【初音ミク
「フルみっくP」による東方曲カバーで、原曲はIOSYSさんのアレンジ「患部で止まってすぐ溶ける~狂気の優曇華院」です。
元の曲はミリオンを超える再生数を持つ東方ジャンルの有名作品で、男キャラクターの声も含めてかなり忠実なカバーになっています。ちなみに、優曇華院は「うどんげいん」と読みます。
カバー作者のフルみっくPは、ミクだけで様々な声色を使い分ける神調教師として知られていますが、この作品でも登場キャラ全ての喋り部分をミクに担当させています。トークロイドとしては非常にレベルの高い滑らかな調教で、特に0:50ぐらいのセリフ部分はボーカロイドとは思えない喋りです。
歌詞ともセリフともつかない言葉の勢いが命の作品ですが、こういうタイプの曲はVOCALOIDでは歌いこなすのが難しいとされています。フルみっくPのトークもこなせる技術があって始めてカバーできた作品といえるでしょう。


「会話で楽しむVOCALOID トークロイド(2)」へ続く


最終更新・2010/1/12 人気ブログランキングへ ←押してもらえると励みになりますm(_ _)m

テーマ : 初音ミク ジャンル : 音楽

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