2008.05.02 (Fri)

初音ミク最初の騒動と、最初のP

初音ミクは、なぜか度々騒動に巻き込まれます。
TBSのやらせ報道、消えた初音ミク騒動、ジャスラック登録事件など、特に初期のころは常に騒ぎの渦中にいたような印象です。ミク自身はいつでもただ歌っているだけなんですが。
そんな初音ミクですが、実はその誕生の瞬間からすでに騒動の中にいました。
まだ一部の人しか初音ミクを知らなかった時の事なので規模は大きくなかったのですが、このちょっとした騒動をニコニコ動画で見て初音ミクを知った人も多かったようです。

ニコニコ動画には、元々MEIKOを使って替え歌やアイドルマスターなどの曲を歌わせる職人達がいました。そのMEIKO職人達が最初の初音ミク職人になったのです。
ところが、初音ミクは発売前からこの手のソフトとしては異例の評判となり、多くの予約がAmazonに集中して品切れ状態となってしまいます。
ニコニコのMEIKO職人達の中でも初音ミクを手に入れられない人が続出し、その中の一人がその悲しみをMEIKOの歌に乗せてアップしたところ、他の職人からの返答の動画がアップされて動画でのやり取りに発展しました。
これが「初音ミクが来ない?来た?騒動」です。騒動というより、小さな祭りといったところでしょうか。



注文した「初音ミク」がなかなか届かないワンカップPを中心に、彼をからかったり届いた初音ミクを自慢したりする他の職人達とのやり取りをまとめた動画です。
一定の年齢以上の人には懐かしい、ファミコンゲームのサウンドに合わせてMEIKOが歌っています。
(度々出て来る「konozama」とは、amazon okを逆さにしたもので、amazonで予約したのに発売日に届かない事をからかう言葉です)
この動画で登場する作者達、「ワンカップP」「前日予約P」「不在通知P」の3人は、このやり取りがきっかけでボーカロイド職人で初のP名を持った人たちです。この3人が後に、ニコニコ動画における
ボーカロイドジャンルの発展に大きな影響を与える事になります。
また、このやり取りには裏でもう一人の作者も関わっていました。動画の最後で不在通知Pが歌わせている「熊公」こと「白熊カオス」のボーカロイドとの関係も、この騒動から始まっています。
「ミクの大先輩?・白熊カオス」



『ワンカップP(わP)』
「ミクが来ない?来た?騒動」の発端となり、一連のやり取りの中心になった作者です。
初音ミク発売以前からMEIKO作品を発表していた数少ないボーカロイド使いの一人で、替え歌や
ゲーム音楽のカバーを中心に、アイドルマスター動画や東方曲カバーも作っていました。(最初はアイマス動画を見るためにニコニコのアカウントを取ったそうです)

「ワンカップP」の名前は、「初音ミクが届いた気がしましたが」において視聴者によってつけられています。
元々、動画作者にP(プロデューサー)を付けた通称を贈るのはアイドルマスター動画の習慣でした。これは、ゲーム「THE IDOLM@STER」のプレイヤーがアイドル達のプロデューサーとなり、プレイヤー名が「~P」と表示される事から、アイドルマスター系動画の作者達もゲームと同じ方式で呼ばれるようになったものです。
ボーカロイド職人にP名がつけられたのはワンカップPが最初で、ワンカップPをきっかけにボーカロイドにも広まったと言われています。もともと初音ミクも、公式サイトの宣伝文句で「バーチャル・アイドル歌手を自宅でプロデュース。」とあるので、意味的にもそれほど違和感はありません。
ワンカップPの動画から始まったボーカロイドジャンルの習慣は他にもあり、「初音ミクがやってこない愛のテーマ」などからMEIKOの「のんだくれ」設定が生まれ、最高の神調教師に贈られる「伝説の~マスター」のタグも、ワンカップPにつけられた「伝説のMEIKOマスター」が発祥です。
また、ワンカップPは多作な事でも知られ、初音ミクを入手してから一ヶ月の間に20作以上のボーカロイド動画を発表しています。カバーや替え歌がメインですが、10月に入ると二つのオリジナル曲を続けて発表し、後にワンカップPの代表曲となりました。
現在では、カバーとオリジナル合わせて100曲以上の作品を発表しています。



 【乙女風味】もっと歌わせて2107【篠笛版でうたう!】
ワンカップPの代表作の一つで、珍しい五拍子を使った初音ミクオリジナル曲です。
この動画は、ワンカップPによる原曲から派生して、絵師のゆきPが書いた手書きPVと、篠笛奏者の
しましまPによる演奏動画を重ねて作られたPVです。プロ級の絵本風イラストと、篠笛・ウクレレ・カスタネット・バランスボール(?)による素朴な演奏が、ワンカップP独特のミクの歌声を際立たせています。
のんきで気の抜けるような替え歌が多いワンカップPですが、この曲は持ち主が死んでしまった100年後の世界で一人取り残されたミクが歌う、シリアスでもの悲しい作品になっています。
ワンカップPの作る曲には時々「100年」というキーワードが出てきて、曲の背景設定が一つの繋がったSF風ストーリーになっていることから「わPの100年シリーズ」と呼ばれます。(初音ミクがとどかないのさ、初音ミクがやってこない迷宮組曲、クリスマスにおける2つの疑問この空が落ちても) 後に、もっと歌わせて2057@セルペンティナ勿忘草など、この世界観に影響を受けた別の作者による100年シリーズ作品も作られました
手書きPVを作ったゆきPとは、もう一つの代表曲「子猫のパヤパヤ」でもコラボ作品を作っており、曲の世界観を題材にした絵本も出版されました。
また、ワンカップP自身も自作のイラストを多く描いていて、本の挿絵などイラストレーターとしての仕事もしています。

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『前日予約P(Otomania)』
ワンカップPの「初音ミクが来ないのでスネています」に対して、「初音ミクが来たのでスネていません」で真っ先にミクが届いた事を自慢した人です。
ニコニコ動画に投稿したのはこの「初音ミクが来たのでスネていません」が初めてですが、以前より音楽活動はしていて、Flash動画製作などでは有名な人でした。

この動画を投稿した翌日に、ニコニコ動画史上に残る名作「初音ミクに「Ievan Polkka」を歌わせてみた」を発表します。この動画は、ミクの「アホの子」「ネギが好き」などのキャラクターを決定し、「はちゅねミク」という派生キャラクターも生み出しました。後の初音ミクブームに非常に大きな影響を与えた作品です。
残念な事に4本しか作品を発表していませんが、どれも大ヒットした名作です。
初音ミクに関わってからVOCALOID関係の仕事をするようになったようで、はちゅねミクを主人公にしたコミック「はちゅねミクの日常ろいぱら!」や、VOCALOID解説書などに関わっています。



 VOCALOID2 初音ミクに「GO MY WAY!!」を歌わせてみた
前日予約P(Otomania)が、大ヒットした「Ievan Polkka」の次に発表した作品で、アイドルマスターの有名曲「GO MY WAY!!」のカバーです。
初音ミク発売直後の9月はミクの扱い方の試行錯誤が行われていた時期で、習作としてカバー曲や替え歌が数多く投稿されていました。その中でもこの「GO MY WAY!!」は、当時最高の評価を受けたカバーです。
元はアイドルマスターの曲ですが、初期のボーカロイドジャンルはアイドルマスターと作者・視聴者の一部が重なっていて、アイドルマスターから流用された文化も多くありました。
P名、分類タグ、イベントの名称、ランキング動画などです。
しかし、ジャンルとして成長して独自の文化を持つようになるとそれらの要素も変化していき、現在の形になって定着しました。
そういう経緯があるためか、ニコニコ動画でのボーカロイドとアイドルマスターは今でも比較的交流の多いジャンルで、両方の要素を持つ作品は「Voc@loidM@ster」(ボーカロイドマスター)と呼ばれます。
この動画も、最初期のVoc@loidM@ster動画の一つです。
→その後のVoc@loidM@sterの発展については「歌姫とアイドルの共演・Voc@loidM@ster」

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『不在通知P』
「初音ミクが来ないのでスネています」に対して、「初音ミクが明日届くのでワクワクしています」や「初音ミクが届いたのでうかれているみたいです」で挑発しているのが不在通知Pです。
おちょくるような内容の歌で騒動を煽っている印象で、一連のやり取りの中で白熊カオスを巻き込んだのも不在通知Pです。しかし、喧嘩を売るというよりは交流を盛り上げようとしていたようで、後にカオス師匠から贈られた返歌には、自作の3Dを使った凝った返事を返しています。
この騒動以前の不在通知Pは技術系の動画をいくつも投稿していた技術者で、その中にはあくまで
BGMとしてMEIKOに歌わせた作品もありました。

この騒動の後も、はちゅねミクを使った一発ネタの工作動画「初音ミク(はちゅねミク)のねぎ回しを実際に作ってみた」に真っ先に反応して「初音ミクのねぎ回しを実際に作ってみた、を進化させてみた」を投稿し、再び新たな騒動に飛び込みます。これによって不在通知Pは、初音ミク(はちゅねミク)を
マスコットとした技術開発競争という新しい流れを作り出し、ボーカロイドとも縁の深い技術動画ジャンル「ニコニコ技術部」の誕生に大きく関わる事になるのです。
現在では、多くの技術系動画で殿堂入りを持つ、ニコニコ技術部のトップPの一人として知られています。
「ニコニコ技術部・ミク実体化への道?」



 ねるねるねるねをよく練ってみたい
不在通知Pの代表作の一つで、まあ見ての通りの動画です。
「ねるねるねるね」を練る為だけに全自動ねるねるねるねマシンを作り、CMの「テーレッテレー」を
再現するための装置まで作ります。(せっかく作ったのに光るところがまったく映ってませんが)
一応、BGMは初音ミクです。
このような、高い技術力でナンセンスな工作や実験をするのが不在通知Pの作品の特徴で、役に立つものはあまり作りません。だからこそ面白いのですが。
「技術の無駄遣い」はニコニコ技術部の合言葉でもあります。
他にも、電動歯ブラシのモーター音で音楽を奏でたりこんにゃくで電子回路を組んだりミクの3Dモデルを自作したりしています。
最新の開発競争「あの楽器」にも参加しているようです。


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テーマ : 初音ミク ジャンル : 音楽

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 |  2009.06.16(火) 12:21 |   |  【コメント編集】

■Re: ワンカップPという名前について

「恋のディグダグ」ですね。恐らく、「初音ミクが届いた気がしましたが」で最初に「ワンカップP」とコメントした人はアイマス動画の視聴者だったんでしょうね。初期はボカロとアイマスの視聴者層がかなり被っていたフシがあるし。ディグダグを見ていたのかは本人に聞いてみないとわかりませんが
sekise |  2009.06.16(火) 13:07 |  URL |  【コメント編集】

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