2011.08.10 (Wed)
VY1 (MIZKI)


VY1
ビープラッツ
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ビープラッツ社の第一弾ボーカロイドであるVOCALOID2「VY1」(ブイワイワン)は、
・VOCALOIDエンジンを開発したYAMAHA自らがライブラリを製作した
・パッケージに特定のイメージキャラクターを持たない
という2つの大きな特徴を持っています。
元はYAMAHAでVOCALOID開発用に使用されていたライブラリを商品化したもので、販売はビープラッツですが、実質YAMAHA製と言ってもいいボーカロイドです。
VY1のパッケージは「通常パッケージ」と「デラックスパッケージ」の2種類があり、それぞれハナミズキをあしらった簪(かんざし)と扇子がシンプルにデザインされています。このハナミズキには初のYAMAHAオリジナルVOCALOIDとしての「生粋」「純潔」という意味があり、他にキャラクター的なものは設定されていません。一応、開発中のコードネームが「MIZKI」である事が公表されていますが、あくまで愛称であり、ボーカロイドとしての正式名は「VY1」のみであることが公式で強調されています。
これはVY1がボーカロイドとしての「色」を無くすことによって、特定のイメージに左右されず仮歌作りやコーラス、学校や企業のPRなど様々な用途に使いやすい音源にするというコンセプトで作られているためです。
とは言ってもボーカロイドのキャラクター化を否定しているわけではなく、「デラックスパッケージ」では複数の絵師によるVY1オリジナルキャラクターのイラストが同梱された他、2011年には「みんなのボカロ計画」として公募したオリジナルボーカロイドキャラクターのイラストをVY1のイメージキャラクターとして採用したりもしています。
「VY1」のロゴはYAMAHAの名ハードシーケンサー「QYシリーズ」のロゴとそっくりなデザインになっており、キャラクターこそ無いもののボーカロイドデザインのお約束(YAMAHA製電子楽器のデザイン)を取り入れていると言えるかもしれません。
キャラクター性を持たせないという方針はVY1の歌声にも現れており、安定して癖のない声は無個性なぐらいに整っていて、非常に汎用性の高いボーカロイドになっています。高めの声優系の声で、タイプとしては初音ミクに似ていると言われることも多いようです。伴奏に負けないハキハキとした発声と繋ぎの滑らかさはベタ打ちでも変わらないため、扱いやすさも優れています。
欠点としては、ベタ打ちでは癖がなさ過ぎて非人間的な無感情さが目立ちやすい事が指摘されています。
決まったキャラクターがなく無個性なためか今のところニコニコ動画ではあまり目立ちませんが、そのコンセプト通り、YAMAHAのVOCALOID技術説明デモやボーカロイド番組のOPなどニコニコ動画の外で活用される事も多いようです。
オリジナル曲・玻璃の海 【VY1】
神秘的な曲とファンタジーな自作イラスト、神調教のボーカロイド調声で知られるSeikoPのVY1オリジナル曲です。
無調教では無機質になりがちなVY1の歌声ですが、この作品では非常に自然で柔らかい声に調声されていて、曲の幻想的な雰囲気によく調和しています。
SeikoPは神調教のルカ使いとして知られますがVY1でも素晴らしい歌声を作り出しており、VY1発売直後に発表された「月翅」は神秘的な曲とVY1の滑らかな歌唱で人気になり、この「玻璃の海」と共にVY1を代表するオリジナル曲となっています。
【VY1オリジナル】HAKUMEI fullver.【日本鬼子イメージソング】
一時期ネット上で話題になった「日本鬼子」のテーマソングで、現在最も多く再生されているVY1オリジナル曲でもあります。
「日本鬼子(ひのもとおにこ)」は、中国の反日デモなどでよく使われる蔑称「日本鬼子」を萌えキャラ「ひのもとおにこ」にして平和的に対抗しようという2ch生まれのキャラクターで、ネット上で様々なイラストが描かれ、ニコニコ動画でもいくつもの動画が作られました。(その誕生の経緯はボーカロイド亜種「亞北ネル」とよく似ています) この作品はその中でも最も人気となっているもので、オリジナルの鬼子のテーマソングをVY1が力強く歌っています。
VY1は元々キャラクター色が薄いため、このように別のキャラクターのテーマソングを歌わせてもボーカロイドのイメージが邪魔することがありません。これはVY1にキャラクターが無いことの大きな利点の一つです。
VY1 - アンインストール(カバー)
調声技術の高さと印象的なイントロのオリジナル曲に定評のある「ぺぺろんP」によるカバーで、ニコニコ動画でも流行った定番曲「アンインストール」をVY1に歌わせています。
VY1発売初期の作品ですがかなりの良調声で、VY1の無機質に聞こえる歌声が原曲の歌い方とよく似ていて非常に再現度の高いカバー作品になっています。声質が特に合っていたようです。
ただし、作者のぺぺろんP自身は手直しをしたいとコメントしているので、まだ未完成な部分もあるようです。
CUL(VY1) - Life size MMDPV (40mP×わかむらP×VOCALO Revolution)
40㍍P(40mP)のミクオリジナル曲「Life size」のVY1カバー&MMDPVで、ボーカロイド専門TV番組「ボカロレボリューション」のOP曲としてTV放映されました。使用されているキャラクターはLat式ミクモデルを改造して作られた番組オリジナルキャラ「CUL」(かる)で、VY1の歌声が違和感なくCULの歌声として感じられるカバー作品になっています。
ボカロレボリューションは、2011年1月にテレビ神奈川やテレビ埼玉などで放送された特番です。VOCALOIDの技術解説や様々な製作者へのインタビューなどを放送し、地上波初のボーカロイド専門番組として話題になりましたが、番組企画時に連絡の手違いからクリプトンに許可が取れず、初音ミクなどクリプトン系VOCALOIDがまったく出演しない構成になっています。OPでのVY1起用とオリジナルキャラクターCULの誕生も、この事情が関係しているのかもしれません。(その後クリプトンとはtwitterで連絡が取られ、番組の第二回があれば製作に協力するということになったようです)
このオリジナルキャラクターCULは、後にVOCALOID3の新キャラクターとしても採用されています。
【初音ミクとVY1】(実は半額以下だったなんて、言えない…)
ボーカロイドを使った時事ネタ・風刺ソングの第一人者「ほぼ日P」のVY1&初音ミクオリジナル曲です。
色々と半額以下で済ませようとする男とその彼女の掛け合いデュエットソングで、実際にありそうな安値の理由とほぼ日Pらしい皮肉の効いたオチのコミカルな作品です。デュエットの男役として低音に調声したVY1が使われているのが特徴で、ちょっと情けない感じの男声としてなかなか嵌っています。ほぼ日Pは自曲で使用する男役として元は初音ミクを男声(ミクオ)にして使用していましたが、VY1を購入してからはVY1の男声を気に入ったようで、デュエットなどで好んで使っているようです。

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