2008.03.17 (Mon)
SF-A2 開発コード miki
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AHS社が初めて販売したボーカロイドの1つで、同時に発売された他の2つとは異なるコンセプトで制作されている第3のVOCALOIDが“アーティストエディション”第一弾「SF-A2 開発コードmiki」です。
声を担当したのは元SUPERCARのボーカル「フルカワミキ」さんで、インターネット社の「アーティストボーカルシリーズ」と似た、有名アーティストの歌声を元にしたシリーズの第一弾として発売されました。
名前は「フルカワミキ」さんから取られていますが、「SF-A2開発コードmiki」が全て名前なのが独特で、工業ロボット的なイメージで付けられたようです。キャラクターは人気イラストレーター・漫画家の「コザキユースケ」さんによってデザインされていて、アホ毛とロボット的な関節部が大きな特徴です。メカっぽさ・サイバーっぽさを出す事と、これまでのボーカロイドデザインの流れに逆らわない様にする事を意識してデザインしたと語られています。しかし、他のボーカロイドでは伝統になっているYAMAHA製電子楽器のデザインは取り入れられていないようです。ちなみに、肩のモコモコしたものはフードだそうです。
個性的なデザインのわりにキャラクター設定的なものは一切作られておらず、これは同時発売の「氷山キヨテル」「歌愛ユキ」とは大きく違う点です。他にも名前の付け方やデザインなどmikiだけ他の2つのボーカロイドと異なる点が多く、企画・制作もmikiだけはYAMAHA系列のレーベル「HEARTFAST」が大きく関わっているようです。シリーズが違うというだけでなく、開発スタッフから全て違うのかもしれません。
歌声はアニメ的な可愛い感じの高めの声で、広い音域が特徴とされています。力強さがあり、高音と低音で歌い方が変わる性質も持ちます。AHSの同時発売3種の中では比較的汎用性が高く、人気もあるようです。
しかし欠点も多く、ざらざらしたノイズやこもった発声、音程を外すクセなどがあり、しっかり歌わせるのは簡単ではないようです。高音ではキンキン声になりやすい性質もあります。
ロボっぽいデザインからか最初期はサイバーなイメージを意識したテクノポップ系の作品が多い印象がありましたが、現在はキャラクター的な固定イメージは特になく、様々な作品に汎用的に使用されているようです。
mikiオリジナル曲「サテライト」
曲作りの速さと所有ボーカロイド数(日本語ボーカロイド全て所有)に定評のある「ぺぺろんP」による初のmiki曲で、mikiオリジナル曲の中でも現在特に人気の高い作品の一つです。
自分で光ることができず、相手に近付く事もできない関係をサテライト(月)に喩えた曲で、mikiの歌声のパワーと伸びを活かしたアニソン風の作品になっています。ぺぺろんPはこの曲について「mikiのパワーのある声は後半になるほどどんどん良くなっていく気がします。」と語っていて、mikiの特性を声のパワーだと感じたようです。
コメントでは「リンに似ている」という感想がありますが、これはmiki曲全般でよく言われていることで、特に高音での声の質が似やすいようです。
【カバー】mikiで「Hacking to the Gate」【いとうかなこ】
GUMIの神調教カバーで知られる神無月Pによる作品で、アニメ「シュタインズ・ゲート」のOP曲のカバーです。
mikiは扱いが難しく、声に機械的なノイズが乗るため人間的でリアルな歌唱は難しいボーカロイドです。それはロボット的なキャラクターイメージとも合っていてmikiの個性とも言えますが、人間の曲をカバーするには欠点となります。しかし、この動画でのmikiの歌唱はかなり自然で、原曲の歌い方が独特の癖も含めて忠実に再現されています。ボーカロイドは使い手次第とはいえ、癖の強いmikiでこれだけの調教は神無月Pならではです。
神無月Pのコメントによれば、miki独特の癖のある「つ」の発音に力を入れたそうです。
【SF-A2 miki】発光体のルーディ【オリジナル曲】
数々の名作カバーを作り、オリジナル曲でも高い評価を得ている有名P「ぶっちぎりP」によるmikiオリジナル曲です。クリスマスが忘れ去られた時代に、「クリスマス再開のお知らせ」とともに現れ空を疾走するルーディ(サンタクロースのトナカイの愛称)とそれを目撃した人々を描いた、ファンタジックな作品になっています。mikiの滑舌が多少悪く歌詞が聞き取りにくいですが、ぶっちぎりP自身による素晴らしいPVや、日本語ボーカロイド総出演のトークロイドなど、豪華なクリスマスソングです。
mikiは発表の仕方が従来とは大きく違っていて、有名Pによるクリスマス曲オムニバスCD「VOCALOIDS☆X’mas」でmikiのパッケージイラストと歌声を始めて公開し、ボーカロイドファンを驚かせました。この「発光体のルーディ」も「VOCALOIDS☆X’mas」に収録されていた作品の一つで、miki発売前に発表された、有料公式デモ曲といえるかもしれません。
この発表の仕方はインパクトはあったものの、CD自体の売れ行きはそれほどではなかったようです。
【miki】Good morning,Muse【VOCALOIDオリジナル曲】
古き良きSFを愛する「Plutonius(ハヤカワP)」による初のmikiオリジナル曲です。
mikiの発売日当日に投稿された作品の一つで、他の多くの作品が調声で苦労していた中、リンとは明らかに違うmikiならではの歌声として注目された作品です。音質の問題か声が多少篭って聞こえますが、ふわふわしたような魅力的な歌声を作り出しています。
【miki】Daybreak【オリジナルヘヴィメタル】先生がコーラス
がくっぽいど使いとして知られる「ROY」さんによるmikiオリジナル曲です。miki・キヨテルともに雑誌付録の体験版を使用しています。
ROYさんの得意とするオリジナルのヘヴィメタル曲ということで、mikiがその特性をフルに発揮して非常に力強く歌っています。ROYさん独特の調教がインパクトを高めていて、本人によるギターもさすがの格好よさです。
コーラスではキヨテルが使われていますがこれも非常に美しく、やはりキヨテルはコーラスに向いているようです。
mikiのパワーとキヨテルの高音コーラスという、AHSボーカロイドコンビそれぞれの特性を生かした作品です。
【開発おねーちゃん(miki)】 阻止ちゃんの憂鬱 【オリジナルPV】
猫村いろはとAHSをこよなく愛する「アキバヲタP」によるmikiオリジナル曲です。
「俺もどうしてちゃんみたいなオリジナルのキャラ作りたいなぁとか思って阻止ちゃんってゆーユルキャラ作ってみたよ!」(投稿者コメントより)ということで作られた作品です。シュールで可愛いキャラクター「阻止ちゃん」の歌ですが、よく聞くとちょっと切なくなる良い歌詞で、なによりmikiの歌声が個性的で力強く、素晴らしい調声になっています。
男っぽい深みを感じる曲や勢いのある電波ロックが多いアキバヲタPとしては珍しい可愛いタンゴ風曲ですが、AHSボーカロイドへの愛とパワフルな神調教はさすがです。
2011/7/27更新

(SA) |
2010.03.15(月) 03:44 | URL |
【コメント編集】
あるいはそうかもしれませんね。mikiが他と違うコンセプトなのは確かです。
AHSボーカロイドは今のところ製作過程など解らない部分が多いのですが、今後スタッフへのインタビューなどの機会が増えれば徐々に明かされていくかもしれないので、それを期待しています。実は誰も気が付いていないだけで楽器のモチーフも入っていたりするかも・・・
電子楽器のモチーフが引き継がれてきたのは、エンジンを開発したYAMAHAへのリスペクトという意味があるのだと思います。これは個人的な想像ですが、mikiの制作は特にYAMAHAが主導して行っていて、そのため自社へのリスペクトという発想にならなかったのではないかなぁと考えたりもしました。まあ、何しろ情報がないので、根も葉もない妄想ですが。
AHSボーカロイドは今のところ製作過程など解らない部分が多いのですが、今後スタッフへのインタビューなどの機会が増えれば徐々に明かされていくかもしれないので、それを期待しています。実は誰も気が付いていないだけで楽器のモチーフも入っていたりするかも・・・
電子楽器のモチーフが引き継がれてきたのは、エンジンを開発したYAMAHAへのリスペクトという意味があるのだと思います。これは個人的な想像ですが、mikiの制作は特にYAMAHAが主導して行っていて、そのため自社へのリスペクトという発想にならなかったのではないかなぁと考えたりもしました。まあ、何しろ情報がないので、根も葉もない妄想ですが。
sekise |
2010.03.15(月) 08:02 | URL |
【コメント編集】
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(中略)
>他にも名前の付け方やデザインなどmikiだけ他の2つのボーカロイドと異なる点が多く、企画・制作もmikiだけはYAMAHA系列のレーベル「HEARTFAST」が大きく関わっているようです。
miki自身が新しいYAMAHA製電子楽器のニューモデルである、ということなのでしょうね。
何かをモチーフにしたのではなく、自身がYAMAHAの新楽器であると。