2008.03.15 (Sat)
ボカロ小学生・歌愛ユキ
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AHSから初めて発売された3種のボーカロイドの中でも最も特徴的な歌声を持つのが、VOCALOID2「ボカロ小学生・歌愛ユキ」(かあい・ゆき)です。素人の小学生の女の子(名前は未発表)の声を元に作られていて、アニメ的ないわゆる「ロリ声」とも違う、リアルな子供の声を再現した異色のボーカロイドとなっています。
キャラクターはいかにもなデザインの小学生の女の子で、黒髪のおさげで赤いランドセルを背負っています。デザイン的にボーカロイドらしさを主張する特徴はほとんどありませんが、唯一ランドセルにリコーダーのように刺してあるのがYAMAHAのウインドコントローラー「WX5」で、そこはボーカロイドキャラクターの慣習を取り入れているようです。また、雑誌でのみ公開されたもう一つの公式イラストがあり、そちらではランドセルが無くヘッドセットを付けた、よりボーカロイドらしいデザインになっています。(ブログ「キオ式アニキャラ3D act.3」の記事参照)
キャラクター設定としては「9歳の心優しい小学生女子、担任は氷山キヨテル先生」とされています。
歌声は特徴的で、発売されているボーカロイドの中では唯一、歌手でも声優でもない「素人の女の子」の声を元にしています。そのため、歌声には力も伸びもなく、声の自由度も低いようです。しかし、それは欠点であると同時に最大の長所でもあり、他のボーカロイドでは表現の難しい、普通の女の子の素朴な歌声をリアルに再現する事ができます。用途は狭いものの、他のボーカロイドには無い特徴を与えられた、特化型のボーカロイドと言えます。
発売当初はキャラクターのイメージからポップで可愛いロリキャラソングのような曲も多く作られていましたが、次第にそのダウナー系の声のイメージから暗くて後ろ向きな曲や、昭和歌謡を歌わせた作品なども作られるようになっています。
【歌愛ユキ】でぃすこ☆しょこらてっく【オリジナル曲PV付】
バレンタインに合わせて投稿されたユキオリジナル曲。バレンタインのチョコレート作りをテーマにした可愛い歌詞と、ノリのいいディスコ風の曲に合わせてユキが無表情に踊るPVが面白く、ユキオリジナル曲の中でも人気の高い作品です。とにかく歌詞や掛け声のリズムがよく、独特のメロディも合わせて中毒性の高い曲になっています。
作者の「かごめP」は、ユキの発売祭りでもユキ曲「シューティング☆スター」を発表して一番人気となっていて、ユキを代表するオリジナル曲作者です。
歌愛ユキ - Lost in the Fog
主に初音ミクと歌愛ユキを使って作品を作り、その重々しいサウンドと調声のうまさで「伝説のユキマスター」のタグも付けられる「ゆにP」によるユキオリジナル曲です。
ゆにPの歌愛ユキ曲「スケルツォーネ」「Paradise Song」の続編として作られた曲で、曲の持つ寂しさや前に進もうとする健気さが、ユキの「ロリボイスではない子供声」のささやくような歌声によって胸を突くリアリティを与えられています。
ユキの低くてボソボソしたリアルな歌声には公式デモのようなロリ系のキャラクターソングよりも、悲しさや切なさを表現した静かな曲の方が合いやすいようです。
【歌愛ユキ】風のただいま【探査機「はやぶさ」】
つやつやPの作品で、探査機「はやぶさ」を応援するために作られたユキオリジナル曲です。
小惑星イトカワからサンプルを採取して地球へ持ち帰るという世界初の困難なミッションを達成し、最後には大気圏に突入して燃え尽きた探査機「はやぶさ」は、ニコニコ動画でも一時期話題になり、擬人化を含む様々な応援動画が作られました。この作品もその一つで、はやぶさを命がけの「お使い」に出た子供に見立てた歌詞を歌愛ユキが歌った事で人気になり、歌愛ユキオリジナル曲で初めての殿堂入り曲となりました。
素朴なユキの歌声によって、はやぶさの健気さと別れの切なさが引き立てられた、素晴らしいテーマソングだと思います。
meteor36.0/歌愛ユキ
人気作者「ラマーズP」による初のユキオリジナル曲です。宇宙をテーマにした疾走感のある曲で、ラマーズPらしいクセになるような特徴的なメロディも健在です。ユキの調声も初めてとは思えないほど使いこなしていますが、ラマーズPはテスターとして事前にユキを入手していたようなので、そのせいもあるかもしれません。
ラマーズPのもう一つのP名「ゴジマジP」(誤字にマジレス)のタグがついていますが、動画内で曲タイトルのスペルが間違っているのはネタではなく天然のようです。
この曲は、コンピアルバム「EXIT TUNES PRESENTS Supernova2」収録曲として作られた新曲で、発売されたばかりの歌愛ユキの歌声が、この曲で始めてメジャーCDに収録される事になりました。
歌愛ユキ と 氷山キヨテル に「崖の上のポニョ」を歌ってもらった
ジブリアニメ「崖の上のポニョ」の有名なテーマソングをユキとキヨテルがカバーした作品です。
ユキの子供らしい歌声を最も正統に生かしたのがこのタイプの作品で、元々子供が歌っていた曲のカバーは、ユキにとっては正にはまり役と言えます。この曲も素人の女の子がたどたどしく素朴に歌うのが味なので、今のところユキ以外のボーカロイドではここまで歌いこなす事はできません。
他にも、「ナウシカ・レクイエム」「ふしぎなメルモ」や、「パクパクフラダンス」など子供のための歌のカバーが作られていて、どれも違和感の無い良カバーですが、需要があまりないのか全体としてはそれほど数は多くないようです。
ちなみにこの曲「崖の上のポニョ」は、クリプトンの子供声VOCALOID「project if...」の公式デモソングとしても使用されています。
【歌愛ユキ】 雪 【オリジナル曲】
はいじPによる、ひたすら後ろ向きで子供らしくないユキオリジナル曲です。「ユキ」という名前について歌っているので、一応キャラクターソングといえない事もないかもしれません。どこか昭和テイストの、人生に疲れて屈折したような女の自虐の歌(?)で、独特の低音かすれ調声のユキが力強く歌っています。PVの、なんともやるせない表情のイラストも味があります。
ユキはなぜか昭和歌謡のカバーが大量に作られていますが、特にダウナーな大人の女を歌った作品が多いようです。オリジナル曲でも、この曲や「ボカロ小学生にとても暗いオリジナル曲を歌わせてみた」「海には行かない」のような暗い曲が作られて、「ユキの将来が不安になる動画」タグが付けられたりしています。
2011/7/27更新

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