2008.03.14 (Fri)
ボカロ先生・氷山キヨテル
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クリプトン・フューチャー・メディア社、インターネット社に続く国内第3のVOCALOIDメーカーとして名乗りを上げた「AHS」(AH-Software)は、他の2社とは異なる独特のコンセプトのボーカロイドを、2009年12月4日に3種類同時発売して話題になりました。
その一つが、日本語男声ボーカロイド「ボカロ先生・氷山キヨテル」(ひやま・きよてる)です。
声の担当者は、YAMAHAでVOCALOIDエンジンの開発段階でプロトタイプに声を提供していたシンガーの1人「比山 貴咏史(ひやま・きよし)」さんで、「氷山キヨテル」の名はそこから取ったものではないかといわれています。
AHSのボーカロイドは他社のものよりもキャラクター設定に関する情報が多いのが特徴で、「いつも笑顔な優しい先生(得意科目:算数)、休日はロックバンドのアイスマウンテン・テルとして活動している」と公式に設定されています。また、同時発売された「ボカロ小学生・歌愛ユキ」の小学校での担任の先生で、メガネはZoffの「ZS92001A」を愛用しているとされています。
キャラクターイラストはメガネをかけた普通の教師といった感じですが、これまでのボーカロイドキャラクターのお約束も踏襲していて、ネクタイピンがYAMAHAのサイレントベース「SLB-100」のデザインになっている他、小さなヘッドセットもつけています。キャラクターデザインは、イラストレーター「梅谷阿太郎」さんによるものではないかといわれていますが、これも正式には発表されていません。
歌声は柔らかく高めで、KAITOとも近い特徴を持ちます。KAITOより高音のパワーはあるものの、逆に低音がかなり使いづらく、滑舌もあまり良くはないようです。とはいえVOCALOID2なのである程度扱い易く、貴重な男声ボーカロイドとして重宝されそうです。
最初から設定が多く作られているためかCVシリーズのような自然発生的なキャラクターはあまりありませんが、ユキとの先生・生徒の関係をネタにした曲や、公式設定にあるロックを歌わせた作品がいくつか作られています。
氷山キヨテルオリジナル曲「Guilty Verse」(PV付き)
人気作者「ぺぺろんP」によるVOCALOIDオリジナル第47弾にして、初のキヨテルオリジナル曲です。
ボーマス11で販売されたぺぺろんPのCD「Articulate」の収録曲で、現在最も多く再生されているキヨテル曲でもあります。
キヨテルの声がかなり手をかけて調整されているようで、高音が多いキヨテルにしては珍しい独特の低音のVOCAROCKになっています。特にラストのシャウトはボーカロイドとは思えない迫力と生々しさがあり、この曲最大の見せ場となっています。
反面、滑舌が微妙で歌詞が聞き取り辛い部分もあり、そこはキヨテルの欠点も出てしまっているようです。
氷山キヨテルにオリジナル曲「jewelfish」を歌ってもらった
公式の「アイスマウンテン・テル」の設定を生かして作られたロックで、「Re:nG」さんによるキヨテルオリジナル曲です。キヨテルの特性である高い声とパワーを生かしていて、都さんによる「テル」をイメージしたイラストも曲によく合っています。
12月4日の発売祭りでは、公式設定の影響でこの曲以外にも多くのロック曲が投稿されました。しかし、滑舌が悪く優しい歌声のキヨテルにロックをうまく歌わせるのはなかなか難しいようで、まだ代表曲といえるようなヒットは生まれていません。
今後もこのままロック路線が増えていくのか、それともまったく違うジャンルに適正を見出されるのか、注目したいところです。
【氷山キヨテル】恋の歌謡日【ゆず】
KAITOの神調教で知られるカバー職人「根気P」の作品で、曲はゆずの「恋の歌謡日」です。
今のところ最も調教がいい作品の一つで、扱いの難しいキヨテルでかなり人間らしい歌声を作り出しています。高い歌声も、元々男性歌手が女性に扮して歌うこの曲では不自然さはあまり感じません。
作者の根気Pはキヨテルの使用感として、「口に綿でも含んでるような発音」のクセがあり、なかなか大変そうだと語っています。長所としては「高音がスカーンと出てくれる」ことを挙げていて、やはり高音に優れた性能を持つようです。調教は今後研究されていくと思いますが、リアルな人間の歌声を再現するのはなかなか難しいボーカロイドかもしれません。
イラストの女装キヨテルは、元曲のPVを再現したものです。

【熱血教師キヨテル先生】 True Education ~真の教育~
キヨテルの「教師」という設定を使った熱血キャラクターソングで、作者はロックを得意とする「刹那P」です。
かなり熱(くるし)いロックになっていて、PVもイラストの種類が少ないわりにやけに押しの強い動画になっています。真面目なようなネタのようなどちらとも言えない作品ですが「かかってこいよ、PTA!」「見せてやる、True Education!<真の教育>」など名言が連発される、とにかく熱くてスケールが大きい曲です。権力(文部省)には負けてますが。
このように「学校の先生」という設定を生かした作品としては、他にも「算数チャチャチャ」「あなたはとってもやさしいかんじ」「math」などが投稿されています。
【キヨテル】クリスマスが過ぎても【カバー】
カバー職人「cl1」さんの作品です。男声にしては高いキヨテルの歌声は歌いこなせる曲が限られてしまいますが、この曲は元の歌手・小田和正さんが特徴的な高音なので、キヨテルでもなかなか合っています。他にも色々作られているキヨテルのカバー作品の中では古いポップスを歌わせたものが比較的評価が高いようで、キヨテルに向いたジャンルなのかもしれません。
【テルユキ】冬のファンタジー【カバー】
AHS新ボーカロイド「氷山キヨテル」「歌愛ユキ」「開発コードmiki」が揃って歌う、カズンのカバー曲です。
メインはキヨテルとユキで、特にサビの高音コーラス部分ではキヨテルの歌声の良さが生かされています。キヨテルの音声提供者といわれる「比山貴咏史」さんは日本でも有数のコーラス歌手ですが、伸びのあるキヨテルの高音もコーラスなどで真価を発揮するのかもしれません。
ユキとのデュエットですが、公式でキャラクターの関係性が設定されているキヨテルとユキはペアとして扱われる事も多く、この作品の他にもデュエットで使用されている動画がいくつも作られています。
mikiはコーラスで参加していますが、AHSの3キャラクターの中ではmikiだけ世界観が違うので共演させにくいらしく、イラストでは下の方にアホ毛だけ参加しています。
2010/2/26更新

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