2008.01.12 (Sat)
名作で見るボーカロイドの歴史6
鏡音祭りが一段落した1月の後半から春にかけて、初音ミクがニコニコ動画を飛び出して活躍の場を広めるきっかけとなる、いくつかの試みが始まりました。
一つは、年末の騒動をきっかけに作られた新たなシステムによって、初音ミクに関する創作物の
商品化が本格的に始まった事です。
まず、1月に初の公認ミク曲CD「星のカケラ」が発売され、その収録曲がカラオケ配信されます。
2月には初音ミクがイメージソングを歌うPS2ゲーム「トリノホシ」が発売。そして3月には、記録的な大ヒット商品となる「ねんどろいど初音ミク」が発売されました。
そしてもう一つ、お金とは関係なく、初音ミクの曲が全国に広がるきっかけとなる「桜ノ雨プロジェクト」も、この時期に始まっています。
商品化も桜ノ雨プロジェクトも、結果が出るのはこれよりもう少し先になりますが、内輪のブームから外の世界へ大きく広がっていく第一歩を踏み出した時期といえるかもしれません。
また、この時期にMEIKOとKAITOの新しい可能性を見せた大ヒット曲が続けて生まれ、VOCALOID1ペアの知名度も一気に高まります。新しく生まれた鏡音リン・レンと並んでボーカロイドファミリーとして定着し、発表されるオリジナル曲の比率においても「初音ミクブーム」から、「ボーカロイド(ボカロ)ブーム」へと本格的に移行した時期といえるでしょう。
「歌に形はないけれど」 オリジナル曲 vo.初音ミク
doriko(きりたんP)による、初音ミクオリジナル曲。
静かに語りかけるようなバラード曲です。
この曲は発表と同時に人気となり、dorikoさんの次の作品である「夕日坂」とともにCD化されて、カラオケ配信もされました。そして、オリコンランキングで「歌に形はないけれど」が25位、「夕日坂」が21位に同時ランクインします。
初音ミク楽曲のオリコン入りはこれが初で、それまで初音ミク曲のCDはイベントなどでは多数販売されていましたが、一般販売でも通用する事を示した最初の曲でした。そして、ボカロ曲一般流通CD化の流れの先駆けとなりました。
オリコンには、後にkzさんの「Re:package」(デイリー2位、週間5位)や、OSTER projectの「みくのかんづめ」(デイリー8位、週間21位)などもランクインしています。
→「ミクバラードの神 doriko作品」へ
島唄 - KAITO
名曲「島唄」をKAITOでカバーした「涼之介P」の作品を、別の人が高音質調整した作品。
声にクセのあるKAITOが非常に人間らしく歌っている神調教作品です。
カバー曲でありながら、そしてKAITOでは初の、総合ランキング1位に輝きました。
それまで多くの人は、「初音ミク」は知っていてもKAITOは知らなかったり、知っていてもネタキャラとしてでしたが、この曲はネタだけでないKAITOの実力をニコニコユーザーに知らしめることになります。
この曲と同時期には、他にも「蒼い鳥」「WITHOUT END」「空と君のあいだに」などの名カバー曲がランキングに上っていました。そして、「島唄」やこれらの曲によってKAITOの知名度が一気に上昇、オリジナル曲は数倍に増え、売り上げも伸びて売り切れ状態になるほどになりました。
KAITO躍進のきっかけとなった曲と言えます。
作者の「涼之介P」さんは、元は「ディレイラマ」使いだったようですが、その経験がこの神調教の技術に繋がったのかどうかは不明です。
なお、元動画は涼之介Pによって消されていて、現在は残っていません。
【ロリMEIKO】 Nostalogic (radio edit) 【オリジナル曲】
「yuukiss」さんによる、MEIKOオリジナル曲。
曲の一部を初音ミク発売直後の9月に投稿していて、それから半年かけて作り上げたという動画です。最大の特徴はその声で、ミクに対抗するというコンセプトの通り、可愛くて幼い声に調声されています。
「ロリMEIKO」と名付けられたこの調教法は、それまでの「大人で本格的なシンガー」というある意味ネタ化を阻んでいたイメージを覆し、MEIKOオリジナル曲として最大のヒットとなりました。
後に大ヒットする「咲音メイコ」シリーズなどに続いて行く、「ロリMEIKO」人気の原点となった作品です。
またこの曲は、後にボーカロイドジャンルと関係の深いプロの舞踊家「Yumiko」さんが振り付けをして踊った事で、「踊ってみた」でも知られるようになります。そして、2010年3月には最初からYumikoさんのダンスPVを付けた正式なフル版が発表され、クオリティの高いダンスと楽曲のコラボが話題になりました。最初に試作版が発表されてから、実に2年半ぶりの完成ということになりました。
作者のyuukissさんは、この動画を発表した三ヵ月後に「ぼかりす騒動」で再び画期的な調教法「ぼかんないんです><」を編み出して、注目される事になります。
→「ボカロオリジナルを踊って演じて~してみた」へ
【3DCG】くるっと・おどって・初音ミク【ねんどろいど】
アニメ「ケロロ軍曹」のED「くるっと・まわって・いっかいてん」にのせて、デフォルメ3DCGのボーカロイドと亜種たちが踊る動画です。
まるで実物の人形のような質感のCGが大人気になり、現在もニコニコ動画歴代総合マイリストランキングで上位に入っている他、YouTubeにも転載させていて非常に人気があります。
後に、デフォルメフィギュア・ねんどろいどシリーズの発売元である「Good Smile Company」から、ニコニコ動画の時報を使って作者に呼び出し(指名手配)がかかったことでも有名で、ねんどろいどミクに続いて発売が決まっていたリンのデザインのために呼び出されたのではないかと話題になりました。
実際に出頭してデザインを依頼されたかどうかは不明ですが、このボーカロイドのねんどろいどシリーズはGood Smile Company始まって以来最大のヒットとなり、再販するたびに品切れが続出しているそうです。
【 初音ミク / 桜ノ雨 】オリジナル曲
プロのバンド活動をしているhalyosyさんによる、初音ミクオリジナル曲です。
学校生活最後の日を迎えての想いを歌った卒業ソングで、多くの現役学生の支持を集めました。
そして後に、halyosyこと作曲者・森晴義さんの強い想いを受けて、この曲のファンたちによって実際に卒業式ソングとして広めようという活動「桜ノ雨プロジェクト」が始まります。
合唱曲としてのパート分けや、ピアノやパートごとの楽譜の配布。練習用音源などが作られ、ダウンロードできるように用意されました。ネット上で一人一人が各パートを歌ったものを合わせた262名によるバーチャル合唱や、吹奏楽に使う楽器演奏を合わせたバーチャル合奏なども作られ、学校関係者への説明や各種ダウンロードができる公式サイトも作られています。
そして、多くのファンに支えられたこのプロジェクトは、一年後の卒業シーズンに実を結ぶ事になりました。2009年春、全国119校の卒業式で「桜ノ雨」が合唱される事になり、テレビ・新聞などでも報道されています。まあ、もう初音ミクとはそれほど関係のない「森晴義氏の合唱曲」ではありますが。
プロジェクト応援動画
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一つは、年末の騒動をきっかけに作られた新たなシステムによって、初音ミクに関する創作物の
商品化が本格的に始まった事です。
まず、1月に初の公認ミク曲CD「星のカケラ」が発売され、その収録曲がカラオケ配信されます。
2月には初音ミクがイメージソングを歌うPS2ゲーム「トリノホシ」が発売。そして3月には、記録的な大ヒット商品となる「ねんどろいど初音ミク」が発売されました。
そしてもう一つ、お金とは関係なく、初音ミクの曲が全国に広がるきっかけとなる「桜ノ雨プロジェクト」も、この時期に始まっています。
商品化も桜ノ雨プロジェクトも、結果が出るのはこれよりもう少し先になりますが、内輪のブームから外の世界へ大きく広がっていく第一歩を踏み出した時期といえるかもしれません。
また、この時期にMEIKOとKAITOの新しい可能性を見せた大ヒット曲が続けて生まれ、VOCALOID1ペアの知名度も一気に高まります。新しく生まれた鏡音リン・レンと並んでボーカロイドファミリーとして定着し、発表されるオリジナル曲の比率においても「初音ミクブーム」から、「ボーカロイド(ボカロ)ブーム」へと本格的に移行した時期といえるでしょう。
「歌に形はないけれど」 オリジナル曲 vo.初音ミク
doriko(きりたんP)による、初音ミクオリジナル曲。
静かに語りかけるようなバラード曲です。
この曲は発表と同時に人気となり、dorikoさんの次の作品である「夕日坂」とともにCD化されて、カラオケ配信もされました。そして、オリコンランキングで「歌に形はないけれど」が25位、「夕日坂」が21位に同時ランクインします。
初音ミク楽曲のオリコン入りはこれが初で、それまで初音ミク曲のCDはイベントなどでは多数販売されていましたが、一般販売でも通用する事を示した最初の曲でした。そして、ボカロ曲一般流通CD化の流れの先駆けとなりました。
オリコンには、後にkzさんの「Re:package」(デイリー2位、週間5位)や、OSTER projectの「みくのかんづめ」(デイリー8位、週間21位)などもランクインしています。
→「ミクバラードの神 doriko作品」へ
島唄 - KAITO
名曲「島唄」をKAITOでカバーした「涼之介P」の作品を、別の人が高音質調整した作品。
声にクセのあるKAITOが非常に人間らしく歌っている神調教作品です。
カバー曲でありながら、そしてKAITOでは初の、総合ランキング1位に輝きました。
それまで多くの人は、「初音ミク」は知っていてもKAITOは知らなかったり、知っていてもネタキャラとしてでしたが、この曲はネタだけでないKAITOの実力をニコニコユーザーに知らしめることになります。
この曲と同時期には、他にも「蒼い鳥」「WITHOUT END」「空と君のあいだに」などの名カバー曲がランキングに上っていました。そして、「島唄」やこれらの曲によってKAITOの知名度が一気に上昇、オリジナル曲は数倍に増え、売り上げも伸びて売り切れ状態になるほどになりました。
KAITO躍進のきっかけとなった曲と言えます。
作者の「涼之介P」さんは、元は「ディレイラマ」使いだったようですが、その経験がこの神調教の技術に繋がったのかどうかは不明です。
なお、元動画は涼之介Pによって消されていて、現在は残っていません。
【ロリMEIKO】 Nostalogic (radio edit) 【オリジナル曲】
「yuukiss」さんによる、MEIKOオリジナル曲。
曲の一部を初音ミク発売直後の9月に投稿していて、それから半年かけて作り上げたという動画です。最大の特徴はその声で、ミクに対抗するというコンセプトの通り、可愛くて幼い声に調声されています。
「ロリMEIKO」と名付けられたこの調教法は、それまでの「大人で本格的なシンガー」というある意味ネタ化を阻んでいたイメージを覆し、MEIKOオリジナル曲として最大のヒットとなりました。
後に大ヒットする「咲音メイコ」シリーズなどに続いて行く、「ロリMEIKO」人気の原点となった作品です。
またこの曲は、後にボーカロイドジャンルと関係の深いプロの舞踊家「Yumiko」さんが振り付けをして踊った事で、「踊ってみた」でも知られるようになります。そして、2010年3月には最初からYumikoさんのダンスPVを付けた正式なフル版が発表され、クオリティの高いダンスと楽曲のコラボが話題になりました。最初に試作版が発表されてから、実に2年半ぶりの完成ということになりました。
作者のyuukissさんは、この動画を発表した三ヵ月後に「ぼかりす騒動」で再び画期的な調教法「ぼかんないんです><」を編み出して、注目される事になります。
→「ボカロオリジナルを踊って演じて~してみた」へ
【3DCG】くるっと・おどって・初音ミク【ねんどろいど】
アニメ「ケロロ軍曹」のED「くるっと・まわって・いっかいてん」にのせて、デフォルメ3DCGのボーカロイドと亜種たちが踊る動画です。
まるで実物の人形のような質感のCGが大人気になり、現在もニコニコ動画歴代総合マイリストランキングで上位に入っている他、YouTubeにも転載させていて非常に人気があります。
後に、デフォルメフィギュア・ねんどろいどシリーズの発売元である「Good Smile Company」から、ニコニコ動画の時報を使って作者に呼び出し(指名手配)がかかったことでも有名で、ねんどろいどミクに続いて発売が決まっていたリンのデザインのために呼び出されたのではないかと話題になりました。
実際に出頭してデザインを依頼されたかどうかは不明ですが、このボーカロイドのねんどろいどシリーズはGood Smile Company始まって以来最大のヒットとなり、再販するたびに品切れが続出しているそうです。
【 初音ミク / 桜ノ雨 】オリジナル曲
プロのバンド活動をしているhalyosyさんによる、初音ミクオリジナル曲です。
学校生活最後の日を迎えての想いを歌った卒業ソングで、多くの現役学生の支持を集めました。
そして後に、halyosyこと作曲者・森晴義さんの強い想いを受けて、この曲のファンたちによって実際に卒業式ソングとして広めようという活動「桜ノ雨プロジェクト」が始まります。
合唱曲としてのパート分けや、ピアノやパートごとの楽譜の配布。練習用音源などが作られ、ダウンロードできるように用意されました。ネット上で一人一人が各パートを歌ったものを合わせた262名によるバーチャル合唱や、吹奏楽に使う楽器演奏を合わせたバーチャル合奏なども作られ、学校関係者への説明や各種ダウンロードができる公式サイトも作られています。
そして、多くのファンに支えられたこのプロジェクトは、一年後の卒業シーズンに実を結ぶ事になりました。2009年春、全国119校の卒業式で「桜ノ雨」が合唱される事になり、テレビ・新聞などでも報道されています。まあ、もう初音ミクとはそれほど関係のない「森晴義氏の合唱曲」ではありますが。
プロジェクト応援動画

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