2008.01.14 (Mon)
名作で見るボーカロイドの歴史7
様々な事が決まって順調に動き出した2008年春から年末にかけては、それまでの新しい事づくめの日々と比べれば重要な話題も少なく、ボーカロイドジャンルが初めての安定期に入った時期でした。
しかし、その中でも春から初夏にかけては比較的大きな話題が集中していて、特にいくつかの重要な技術が誕生しています。MMD、UTAU、ぼかりすなど、どれも後に大きく発展して注目を浴びる技術です。
また、発売直後こそ盛り上がったものの、その扱いづらさで普通の作品が伸び悩んでネタキャライメージばかりが先行していた「鏡音リン・レン」の真価が見直され、後にリン・レンの得意分野と言われるようになる「物語音楽」がクローズアップされたのもこの時期です。
そして7月には、鏡音の欠点を補正するためのアップデート「鏡音リン・レンact2」がリリースされ、リン・レンは新しい歌声を手に入れる事になりました。このact2制作の技術は、発売直後に神調教を連発してファンを驚かせたCV03「巡音ルカ」の開発に大きく影響したことがインタビューで語られています。
3Dミクを躍らせるツールを自作してみた(説明前編)
ミクを自由に踊らせるフリーの3DPV製作ソフト「MikuMikuDance」の説明動画。今ではボーカロイド以外にも広がりつつある傑作ツールの原点となった動画です。
色々あるPVの中でも3DPVは非常に敷居の高い技術でしたが、このツールの登場によって誰でも
(それまでに比べればはるかに)短時間で3Dミクを動かす事ができるようになりました。
とにかく動作が軽く、低スペックのPCでも動かせるのが特徴です。操作も覚えやすく、「誰でも使える」事を最も重視して作られているのが解ります。
その分、専用3Dモデルは細部が簡略化されたモデルではありますが、ダイナミックな動きと豊かな表情が独特の魅力を持っています。
このソフトの登場で3Dの専門技術や絵心がなくてもPVを作れるようになり、ボーカロイドの映像面での敷居がぐっと低くなったと言えます。
このサイトでダウンロード方法と詳しい説明を見ることができます。
→「MMD・みくみくダンスPV」へ
【VOCALOID】重音テト【第三弾】
ロリ声VIPPER「小山乃舞世」さんが歌う、「みくみく」の替え歌「てっとてとにしてあげる♪」です。
この動画は、まだ発表されていない偽のCV3を作ってニコニコ視聴者を釣ろうと画策したVIPPER達によって作られたエイプリルフールの騙し企画で、偽の新VOCALOID「重音テト」の容姿や設定、歌の歌詞など全てが安価スレ(指定されたレス番号の書き込みや指示を問答無用で採用するVIP特有のスリリングな遊び)で決められました。(詳細な経緯の説明動画)
この動画自体は普通のエイプリルフールネタ動画で終わりましたが、ここで誕生したキャラクター
「重音テト」は、丁度3月に完成したばかりだったフリーソフト「UTAU」と結びついて生き残る事になります。この企画に声で参加していた「小山乃舞世」さんの熱心な協力もあって実体を得る事ができたテトは、後に「弱音ハク」「亞北ネル」とともに「三大亜種」と呼ばれる人気派生キャラクターとして定着しました。
また、象徴となるキャラクターを得た「UTAU」もテトと共に知名度を上げていき、使用者や音声提供者を増やしていきました。
あくまで「人力VOCALOID支援ツール」であった「UTAU」と、歌声合成と自作音楽を得意とする「ボーカロイド」を結びつけ、ユーザーが音声を提供することで無数に選択肢を増やしていける歌声合成
ソフトとして一ジャンルに発展するきっかけを作った動画と言えます。
→「二次創作から公認へ・ボーカロイド亜種」、「無料ボーカロイド? UTAUファミリー」へ
【鏡音リン・レン】下剋上(完)【オリジナル曲】
ブームを巻き起こした「初音ミク」の後継ソフトとして期待されていた「鏡音リン・レン」は発売と同時に大きな祭りになりましたが、そのVOCALOIDソフトとしての扱いの難しさから使いこなせるユーザーが少なく、先行していたネタキャライメージが落ち着くと伸び悩むようになっていました。トラボルタPやマチゲリータPなど一部のPは人気がありましたが、発売当時一部で予想されていたようなミクとの世代交代はおこらず、ランキングもほとんどがミクの曲でした。
この作品は、そんな厳しい状況の中で「おk、緑は、敵だ」と勇ましく宣言し、鏡音ユーザーとファンに発破をかけるために作られた応援歌です。
この曲に後押しされたからかどうかは解りませんが、同時期に発表された「ココロ」「悪ノ娘」は後にリンレンの代表曲といわれるほどの人気作となり、さらに3ヵ月後には待望の修正版(ACT2)がリリースされるなど、徐々に鏡音リン・レンも勢いを増していく事になります。
【初音ミク】 PROLOGUE 【ぼかりす】
【初音ミク】 Dearest (yks remix)+α 【カバー曲】
一時ボーカロイドファンを騒然とさせた、「ぼかりす騒動」とでも言うべき騒ぎのきっかけとなった動画が上の「PROLOGUE」です。
最初この動画は、タイトルと「ぼかりす」という言葉以外何の説明文もなく投稿されて、作者も曲もまったく謎の動画でした。しかし、その生々しいほどにリアルな歌い方はこれまでの初音ミクとはまったく違うもので、大きな反響を呼ぶことになります。
すぐにこの曲がフリーの研究素材として使用されている曲である事が判明し、「ぼかりす」という謎の言葉は「VocaListener(ボーカリスナー)」の事ではないかと突き止められます。
「VocaListener」とは、産業技術総合研究所(産総研)によって開発されていた「ユーザ歌唱を真似る歌声合成パラメータを自動推定するシステム」の事で、大まかに言うと人間が歌ったデータをそのままVOCALOIDの歌に自動変換して、さらに音を外した部分などを自動補正してくれるシステムです。
この技術はネットニュースなどでも「神調教を超えた全自動システム」として取り上げられました。
しかし、「自由に歌わせられるソフト」であるVOCALOIDのファンにとっては、言ってみればボイスチェンジャーのようなシステムに「超えられた」という観方をされる事に反発も多くありました。
そんな賛否両論が巻き起こる中、yuukissさんがぼかりすを解析して「Dearest MEIKO版」「Dearest ミク版」を発表。ぼかりすに対抗する新しい調教技術に「ぼかんないんです><」と名づけ、そのデータを公開しました。この動画と技術もまた評判となり、この調教法は後に「月の浜辺」などいくつもの名作で応用されることになります。特にMEIKOとミクの「Dearest」は現在でも神調教の最高峰とされていて、VOCALOIDの性能を説明するときに、よく例として挙げられる動画です。
やがて開発者が、ぼかりすは「VocaListener」技術のデモンストレーションだった事を明かし、どういった目的の技術なのかも明らかにした事で騒動は収まりました。
この騒動が結果的にVOCALOIDの限界を引き上げ、後にVOCALOIDカバー曲の代表作とされる多くの名作動画を残す事になったのです。
→「人に近付くミクの歌声 ぼかりす騒動」へ
【鏡音レン】悪ノ召使【中世物語風オリジナル】
ある国の王家に生まれた双子(リン・レン)の辿る悲劇的な物語を歌ったレンオリジナル曲で、もう一つのリンオリジナル曲「悪ノ娘」と対になる、「悪ノP」の作品です。act2がリリースされる以前の作品で、やはり滑舌に問題はあるものの、声のキャラクター性と魅力的なストーリーに多くのファンが付き、レンオリジナル曲の中で圧倒的な再生数を持つ、レンの代表曲となりました。
同じ物語調の曲では、この作品より前の3月に投稿されたトラボルタPのリンオリジナル曲「ココロ」も当時非常に人気が高く、VOCALOIDランキングで一位も取った大ヒット曲でした。この2つのシリーズの大ヒットによって物語音楽はリン・レンの得意ジャンルとされるようになり、後にこの2曲の物語を原作として舞台劇化もされています。
→「ドラマチックな悪ノ悲劇物語 悪ノP作品」、「優しい視線の物語世界 トラボルタP作品」へ
初音ミクがオリジナルを歌ってくれたよ「ブラック★ロックシューター」
「メルト」の作者である人気作者ryoさんによるオリジナル曲で、イラストレーター「huke」さんのイラストからインスピレーションを得て作られたというオリジナル曲です。元のイラストは2007年12月26日にpixivで発表されたもので、詳しい背景設定やストーリーなどのないオリジナルキャラクター「ブラック★ロックシューター」のために作られたこのテーマソングによって、その名はボーカロイドジャンルの中で一躍有名になりました。PVは原作者のhukeさん自身によって作られています。
ryoさんはこの曲のわずか半月前にもう一つの大ヒットオリジナル曲「ワールドイズマイン」を投稿していて、どちらもミリオンを軽く超える大ヒット曲となってVOCALOIDランキングに長くランクインし続ける事になります。
「ボーカロイドオリジナル曲のイメージを元にしたフィギュア商品化」がされたのもこの「ブラック★ロックシューター」が最初で、それが好評だったため同じryoさんのヒット曲「ワールドイズマイン」「恋は戦争」などもフィギュア化される事になり、ボーカロイドジャンルからの新しい商品化展開を作り出しました。
また2010年には、フィギュアメーカー・グッドスマイルカンパニー提供で「ブラック★ロックシューター」のアニメ化も計画されており、斬新な販売方法なども含めて大きな話題になっています。
【鏡音リンACT.2】蚊に刺された
癖の強さと滑舌の悪さが目立つため「使いにくい」「未完成」と言われていた鏡音リン・レンでしたが、発売から半年たって待望の再調整版「鏡音リン・レンACT2」へのアップデートが開始されました。
この動画は、鏡音ACT2を使った一番最初の作品です。
ノーマル版との違いは、やはり滑舌の悪さと発音の癖を減らしている事です。全体的に柔らかい発音になり、不自然な部分はかなり減っています。それでも、アップグレード当初は「まあ、変わったと言えば変わったかな?」というぐらいの微妙な反応が多く、それほど大きな話題にはなりませんでした。
ACT2は新録も多く滑舌の問題はかなり修正されているものの、癖のある音を多く削り全体的に調整したためにリン・レンならではの良さも少なくなってしまったとして、修正前のバージョンを使い続ける作者もいます。とはいえ、それは修正前バージョンを使いこなす技術のあった一部上級者の話で、格段に使いやすくなって敷居が低くなったのは確かです。アップデート版ではノーマル版とACT2版両方のライブラリが使えるので、臨機応変に使い分ける作者もいるようです。
この鏡音リン・レンAct2の製作には多くの試行錯誤があり、その技術が後に「巡音ルカ」の滑らかな歌声を作り出す礎となりました。ルカ発売後のクリプトンのインタビューでは「ACT2がなければ、ルカはできなかったかもしれない」と語られています。
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しかし、その中でも春から初夏にかけては比較的大きな話題が集中していて、特にいくつかの重要な技術が誕生しています。MMD、UTAU、ぼかりすなど、どれも後に大きく発展して注目を浴びる技術です。
また、発売直後こそ盛り上がったものの、その扱いづらさで普通の作品が伸び悩んでネタキャライメージばかりが先行していた「鏡音リン・レン」の真価が見直され、後にリン・レンの得意分野と言われるようになる「物語音楽」がクローズアップされたのもこの時期です。
そして7月には、鏡音の欠点を補正するためのアップデート「鏡音リン・レンact2」がリリースされ、リン・レンは新しい歌声を手に入れる事になりました。このact2制作の技術は、発売直後に神調教を連発してファンを驚かせたCV03「巡音ルカ」の開発に大きく影響したことがインタビューで語られています。
3Dミクを躍らせるツールを自作してみた(説明前編)
ミクを自由に踊らせるフリーの3DPV製作ソフト「MikuMikuDance」の説明動画。今ではボーカロイド以外にも広がりつつある傑作ツールの原点となった動画です。
色々あるPVの中でも3DPVは非常に敷居の高い技術でしたが、このツールの登場によって誰でも
(それまでに比べればはるかに)短時間で3Dミクを動かす事ができるようになりました。
とにかく動作が軽く、低スペックのPCでも動かせるのが特徴です。操作も覚えやすく、「誰でも使える」事を最も重視して作られているのが解ります。
その分、専用3Dモデルは細部が簡略化されたモデルではありますが、ダイナミックな動きと豊かな表情が独特の魅力を持っています。
このソフトの登場で3Dの専門技術や絵心がなくてもPVを作れるようになり、ボーカロイドの映像面での敷居がぐっと低くなったと言えます。
このサイトでダウンロード方法と詳しい説明を見ることができます。
→「MMD・みくみくダンスPV」へ
【VOCALOID】重音テト【第三弾】
ロリ声VIPPER「小山乃舞世」さんが歌う、「みくみく」の替え歌「てっとてとにしてあげる♪」です。
この動画は、まだ発表されていない偽のCV3を作ってニコニコ視聴者を釣ろうと画策したVIPPER達によって作られたエイプリルフールの騙し企画で、偽の新VOCALOID「重音テト」の容姿や設定、歌の歌詞など全てが安価スレ(指定されたレス番号の書き込みや指示を問答無用で採用するVIP特有のスリリングな遊び)で決められました。(詳細な経緯の説明動画)
この動画自体は普通のエイプリルフールネタ動画で終わりましたが、ここで誕生したキャラクター
「重音テト」は、丁度3月に完成したばかりだったフリーソフト「UTAU」と結びついて生き残る事になります。この企画に声で参加していた「小山乃舞世」さんの熱心な協力もあって実体を得る事ができたテトは、後に「弱音ハク」「亞北ネル」とともに「三大亜種」と呼ばれる人気派生キャラクターとして定着しました。
また、象徴となるキャラクターを得た「UTAU」もテトと共に知名度を上げていき、使用者や音声提供者を増やしていきました。
あくまで「人力VOCALOID支援ツール」であった「UTAU」と、歌声合成と自作音楽を得意とする「ボーカロイド」を結びつけ、ユーザーが音声を提供することで無数に選択肢を増やしていける歌声合成
ソフトとして一ジャンルに発展するきっかけを作った動画と言えます。
→「二次創作から公認へ・ボーカロイド亜種」、「無料ボーカロイド? UTAUファミリー」へ
【鏡音リン・レン】下剋上(完)【オリジナル曲】
ブームを巻き起こした「初音ミク」の後継ソフトとして期待されていた「鏡音リン・レン」は発売と同時に大きな祭りになりましたが、そのVOCALOIDソフトとしての扱いの難しさから使いこなせるユーザーが少なく、先行していたネタキャライメージが落ち着くと伸び悩むようになっていました。トラボルタPやマチゲリータPなど一部のPは人気がありましたが、発売当時一部で予想されていたようなミクとの世代交代はおこらず、ランキングもほとんどがミクの曲でした。
この作品は、そんな厳しい状況の中で「おk、緑は、敵だ」と勇ましく宣言し、鏡音ユーザーとファンに発破をかけるために作られた応援歌です。
この曲に後押しされたからかどうかは解りませんが、同時期に発表された「ココロ」「悪ノ娘」は後にリンレンの代表曲といわれるほどの人気作となり、さらに3ヵ月後には待望の修正版(ACT2)がリリースされるなど、徐々に鏡音リン・レンも勢いを増していく事になります。
【初音ミク】 PROLOGUE 【ぼかりす】
【初音ミク】 Dearest (yks remix)+α 【カバー曲】
一時ボーカロイドファンを騒然とさせた、「ぼかりす騒動」とでも言うべき騒ぎのきっかけとなった動画が上の「PROLOGUE」です。
最初この動画は、タイトルと「ぼかりす」という言葉以外何の説明文もなく投稿されて、作者も曲もまったく謎の動画でした。しかし、その生々しいほどにリアルな歌い方はこれまでの初音ミクとはまったく違うもので、大きな反響を呼ぶことになります。
すぐにこの曲がフリーの研究素材として使用されている曲である事が判明し、「ぼかりす」という謎の言葉は「VocaListener(ボーカリスナー)」の事ではないかと突き止められます。
「VocaListener」とは、産業技術総合研究所(産総研)によって開発されていた「ユーザ歌唱を真似る歌声合成パラメータを自動推定するシステム」の事で、大まかに言うと人間が歌ったデータをそのままVOCALOIDの歌に自動変換して、さらに音を外した部分などを自動補正してくれるシステムです。
この技術はネットニュースなどでも「神調教を超えた全自動システム」として取り上げられました。
しかし、「自由に歌わせられるソフト」であるVOCALOIDのファンにとっては、言ってみればボイスチェンジャーのようなシステムに「超えられた」という観方をされる事に反発も多くありました。
そんな賛否両論が巻き起こる中、yuukissさんがぼかりすを解析して「Dearest MEIKO版」「Dearest ミク版」を発表。ぼかりすに対抗する新しい調教技術に「ぼかんないんです><」と名づけ、そのデータを公開しました。この動画と技術もまた評判となり、この調教法は後に「月の浜辺」などいくつもの名作で応用されることになります。特にMEIKOとミクの「Dearest」は現在でも神調教の最高峰とされていて、VOCALOIDの性能を説明するときに、よく例として挙げられる動画です。
やがて開発者が、ぼかりすは「VocaListener」技術のデモンストレーションだった事を明かし、どういった目的の技術なのかも明らかにした事で騒動は収まりました。
この騒動が結果的にVOCALOIDの限界を引き上げ、後にVOCALOIDカバー曲の代表作とされる多くの名作動画を残す事になったのです。
→「人に近付くミクの歌声 ぼかりす騒動」へ
【鏡音レン】悪ノ召使【中世物語風オリジナル】
ある国の王家に生まれた双子(リン・レン)の辿る悲劇的な物語を歌ったレンオリジナル曲で、もう一つのリンオリジナル曲「悪ノ娘」と対になる、「悪ノP」の作品です。act2がリリースされる以前の作品で、やはり滑舌に問題はあるものの、声のキャラクター性と魅力的なストーリーに多くのファンが付き、レンオリジナル曲の中で圧倒的な再生数を持つ、レンの代表曲となりました。
同じ物語調の曲では、この作品より前の3月に投稿されたトラボルタPのリンオリジナル曲「ココロ」も当時非常に人気が高く、VOCALOIDランキングで一位も取った大ヒット曲でした。この2つのシリーズの大ヒットによって物語音楽はリン・レンの得意ジャンルとされるようになり、後にこの2曲の物語を原作として舞台劇化もされています。
→「ドラマチックな悪ノ悲劇物語 悪ノP作品」、「優しい視線の物語世界 トラボルタP作品」へ
初音ミクがオリジナルを歌ってくれたよ「ブラック★ロックシューター」
「メルト」の作者である人気作者ryoさんによるオリジナル曲で、イラストレーター「huke」さんのイラストからインスピレーションを得て作られたというオリジナル曲です。元のイラストは2007年12月26日にpixivで発表されたもので、詳しい背景設定やストーリーなどのないオリジナルキャラクター「ブラック★ロックシューター」のために作られたこのテーマソングによって、その名はボーカロイドジャンルの中で一躍有名になりました。PVは原作者のhukeさん自身によって作られています。
ryoさんはこの曲のわずか半月前にもう一つの大ヒットオリジナル曲「ワールドイズマイン」を投稿していて、どちらもミリオンを軽く超える大ヒット曲となってVOCALOIDランキングに長くランクインし続ける事になります。
「ボーカロイドオリジナル曲のイメージを元にしたフィギュア商品化」がされたのもこの「ブラック★ロックシューター」が最初で、それが好評だったため同じryoさんのヒット曲「ワールドイズマイン」「恋は戦争」などもフィギュア化される事になり、ボーカロイドジャンルからの新しい商品化展開を作り出しました。
また2010年には、フィギュアメーカー・グッドスマイルカンパニー提供で「ブラック★ロックシューター」のアニメ化も計画されており、斬新な販売方法なども含めて大きな話題になっています。
【鏡音リンACT.2】蚊に刺された
癖の強さと滑舌の悪さが目立つため「使いにくい」「未完成」と言われていた鏡音リン・レンでしたが、発売から半年たって待望の再調整版「鏡音リン・レンACT2」へのアップデートが開始されました。
この動画は、鏡音ACT2を使った一番最初の作品です。
ノーマル版との違いは、やはり滑舌の悪さと発音の癖を減らしている事です。全体的に柔らかい発音になり、不自然な部分はかなり減っています。それでも、アップグレード当初は「まあ、変わったと言えば変わったかな?」というぐらいの微妙な反応が多く、それほど大きな話題にはなりませんでした。
ACT2は新録も多く滑舌の問題はかなり修正されているものの、癖のある音を多く削り全体的に調整したためにリン・レンならではの良さも少なくなってしまったとして、修正前のバージョンを使い続ける作者もいます。とはいえ、それは修正前バージョンを使いこなす技術のあった一部上級者の話で、格段に使いやすくなって敷居が低くなったのは確かです。アップデート版ではノーマル版とACT2版両方のライブラリが使えるので、臨機応変に使い分ける作者もいるようです。
この鏡音リン・レンAct2の製作には多くの試行錯誤があり、その技術が後に「巡音ルカ」の滑らかな歌声を作り出す礎となりました。ルカ発売後のクリプトンのインタビューでは「ACT2がなければ、ルカはできなかったかもしれない」と語られています。

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