2008.01.04 (Fri)
名作で見る初音ミクの歴史2
9月の後半から10月上旬ぐらいまでは、ミクのキャラクターソング系オリジナル曲が全盛を迎えた時期です。
「恋スルVOC@LOID」に触発されて作られたという「あなたの歌姫」や、ミクの代表曲となる「みくみくにしてあげる♪」を始めとして、次々と名キャラクターソングが発表され人気作となりました。
そして、キャラクターソングで歌われる様々な個性のミクの中から、多くの人に受け入れられるミクの共通イメージが次第に浮かび上がってきました。現在のキャラクターとしての初音ミクのイメージは、この時期に作られたキャラソンが大元になっています。
これらのミク自身をテーマにしたオリジナル曲は今でも人気のものが多く、ミクを象徴するオリジナル曲として、後に多くのオムニバスCDに収録されています。
あなたの歌姫/初音ミク_fullver.
【初音ミク】みくみくにしてあげる♪【してやんよ】
初音ミクがオリジナル曲を歌ってくれました「Packaged」 Full Ver.
9月の後半は、ミクオリジナル曲として最初にヒットした「恋スルVOC@LOID」の後を追うように、次々とオリジナルのキャラクターソングが発表されて人気を得た時期でした。
特に「みくみくにしてあげる♪」は絶大な人気を獲得し、初音ミクを象徴するキャラクターソングとして、現在ではニコニコ動画でもトップクラスの再生数を持つ動画になっています。
これらの曲は、ミクのキャラクター人気を高めるとともに、「初音ミク」が自作のオリジナル曲を歌わせて発表するツールとして定着していくきっかけにもなりました。
「初音ミク」で歌わせれば、自分で作った曲を多くの視聴者が聞いてくれて、評価してくれるという状態がこの時期に生まれたのです。
そのことによって、歌手の物真似をさせたり替え歌を歌わせるのが主な使い道だったニコニコ動画のボーカロイドジャンルが、新しいファン層と作者達を得てさらに大きく広がっていきます。
後に、「あなたの歌姫」はNHKBSの番組「ザ☆ネットスター!」のED曲に採用され、「Packaged」はCDが一般販売されてオリコン週間アルバムチャート初登場3位を記録するなど、3曲とも初音ミクを代表する曲となりました。
→「初音ミクのキャラクター」、「マシンボイスの歌姫 kz作品」へ
初音ミク(はちゅねミク)のねぎ回しを実際に作ってみた
ニコニコ動画には「技術の無駄遣い」を合言葉にさまざまな物を実際作ってしまおうという工作系ジャンルがあり、それにつけられる「ニコニコ技術部」というタグがあります。
プロ並の技術や機材を使って、全自動調理機械やレールガンや3Dソフトや痛PCを作ってしまう「ニコニコ技術部」ですが、そのタグが最初に生まれたのがこの動画でした。
この動画は、立体のはちゅねミクにねぎを振らせるアイディア勝負の一発ネタ動画ですが、いくつもの動画が後に続くように、アイディアと技術を駆使してはちゅねにねぎを振らせる実験を始めます。それが一段落すると、今度はねぎを振るはちゅねをどれだけ小型化できるか競争したり、どれだけ抽象化できるかの試みが始まったりとシリーズ化し、やがて「はちゅねミク」をマスコットにした「ニコニコ技術部」として知られるようになりました。
技術系動画自体はこの動画以前にももちろんありましたが統一された呼び名はなく、あまり目立たないジャンルでした。しかし、今でははちゅねに限らず様々な「技術の無駄遣い」を行い、作者同士の交流や技術部としての技術系イベント参加なども行われています。その原点となったのがこの動画だったのです。
ちなみに現在は、新しい楽器を設計したり、はちゅねが宇宙を目指したりしているようです。
→「ニコニコ技術部・ミク実体化への道?」へ
【初音ミク】 オリジナル曲 「タイムリミット」 (体験版)
急増したミクファン(ソフト未購入組)が待ち望んでいた「初音ミク体験版」がDTM MAGAZINE 2007年 11月号に付録として付き、それが予想以上の売れ行きに在庫切れとなり話題になりました。
体験版は10日間しか使えないものの、ほとんど全ての機能を使うことができ体験版で歌わせたミク動画も多く発表されています。
この「タイムリミット」も体験版で作られたもので、10日間しか動けないミクが、タイムリミットが迫る中全ての想いを歌い上げようとするキャラクターソングになっています。「雑誌の付録のテーマソング」が作られるというのも「初音ミク」ならではです。
体験版で初音ミクを使用してから製品版を購入した人は多いようで、この曲の作者さんも後に製品版を購入して「タイムリミット」(製品版)を発表しました。
初音ミクの新しい試みは当初DTM業界ではまったく理解されず、「DTM業界で最も権威のある雑誌」にも掲載してもらうどころか色物として担当者に鼻で笑われたとクリプトンのインタビューで語られています。(Sound & Recording Magazine?) そんな中、いち早く初音ミクの特集を組んでこの体験版を本誌の付録に付けたDTM MAGAZINEは、その後もVOCALOID関連の特集記事や別冊を多く作っていて、ボーカロイドファンにとっては最も重要な情報源の一つとなっています。
「celluloid」 song by 初音ミク
初期の非キャラクターソング系オリジナル曲で、最もヒットしたのがこの「celluloid」でした。
詞の内容も、自作の実写PVも、タイトルや解説文も、キャラクターとしてのミクとは一切関係がなく、純粋に「ボーカルソフト」として初音ミクを使用しています。(今は視聴者の強い要望に答えてタイトルに「初音ミク」が入っています)
こうした非キャラソンのオリジナル曲はかなり早い時期からいくつか発表されていたのですが、どれも視聴者の目に留まることなく埋もれてしまっていました。
後に、ランキング動画の登場により非キャラソンのオリジナル曲がミクの主流になるのですが、この曲はランキング動画登場より早くヒットした非キャラソンとして、その先駆けとなったと言えます。
また、やはり後に一大ジャンルとなる「ミクオリジナル曲を歌ってみた」の最初もこの曲で、そちらでも先駆けでした。
→「初音ミクの代表曲」、「ボカロオリジナルを歌って踊って演奏してみた」へ
たぴ・ぱん
ふたりのもじぴったん[ミクラッシャーMIX]に、はちゅねミクの3D動画を合わせた3DPV動画(?)です。
「ふたりのもじぴったん[ミクラッシャーMIX]」は、外国人が奇声を上げながらキーボードを破壊する動画「キーボードクラッシャー」と、初音ミクの歌う「もじぴったん」の狂気のコラボ作品ですが、さらにはちゅねミクが狂ったように踊る3D動画をつけてしまいました。大変な事になっています。
非常にニコニコ動画らしいネタ作品で、ミクファン以外にも絶大な人気があったようです。
ネタ動画ではありますが完成度は非常に高く、他の作者が作った曲や3Dモデルを使用した本格的3DPVとしては、おそらく最も古い作品だと思います。
この時期のミク3Dは試行錯誤の段階で、多くの作者さんが自作の3Dモデルを作って公開・配布していました。
この「たぴ・ぱん」で踊りまくっている「はちゅねミク」のモデルもその中の傑作の一つで、多くの動画で使用されています。
→「初音ミクのユル~いネタ曲」へ
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「恋スルVOC@LOID」に触発されて作られたという「あなたの歌姫」や、ミクの代表曲となる「みくみくにしてあげる♪」を始めとして、次々と名キャラクターソングが発表され人気作となりました。
そして、キャラクターソングで歌われる様々な個性のミクの中から、多くの人に受け入れられるミクの共通イメージが次第に浮かび上がってきました。現在のキャラクターとしての初音ミクのイメージは、この時期に作られたキャラソンが大元になっています。
これらのミク自身をテーマにしたオリジナル曲は今でも人気のものが多く、ミクを象徴するオリジナル曲として、後に多くのオムニバスCDに収録されています。
あなたの歌姫/初音ミク_fullver.
【初音ミク】みくみくにしてあげる♪【してやんよ】
初音ミクがオリジナル曲を歌ってくれました「Packaged」 Full Ver.
9月の後半は、ミクオリジナル曲として最初にヒットした「恋スルVOC@LOID」の後を追うように、次々とオリジナルのキャラクターソングが発表されて人気を得た時期でした。
特に「みくみくにしてあげる♪」は絶大な人気を獲得し、初音ミクを象徴するキャラクターソングとして、現在ではニコニコ動画でもトップクラスの再生数を持つ動画になっています。
これらの曲は、ミクのキャラクター人気を高めるとともに、「初音ミク」が自作のオリジナル曲を歌わせて発表するツールとして定着していくきっかけにもなりました。
「初音ミク」で歌わせれば、自分で作った曲を多くの視聴者が聞いてくれて、評価してくれるという状態がこの時期に生まれたのです。
そのことによって、歌手の物真似をさせたり替え歌を歌わせるのが主な使い道だったニコニコ動画のボーカロイドジャンルが、新しいファン層と作者達を得てさらに大きく広がっていきます。
後に、「あなたの歌姫」はNHKBSの番組「ザ☆ネットスター!」のED曲に採用され、「Packaged」はCDが一般販売されてオリコン週間アルバムチャート初登場3位を記録するなど、3曲とも初音ミクを代表する曲となりました。
→「初音ミクのキャラクター」、「マシンボイスの歌姫 kz作品」へ
初音ミク(はちゅねミク)のねぎ回しを実際に作ってみた
ニコニコ動画には「技術の無駄遣い」を合言葉にさまざまな物を実際作ってしまおうという工作系ジャンルがあり、それにつけられる「ニコニコ技術部」というタグがあります。
プロ並の技術や機材を使って、全自動調理機械やレールガンや3Dソフトや痛PCを作ってしまう「ニコニコ技術部」ですが、そのタグが最初に生まれたのがこの動画でした。
この動画は、立体のはちゅねミクにねぎを振らせるアイディア勝負の一発ネタ動画ですが、いくつもの動画が後に続くように、アイディアと技術を駆使してはちゅねにねぎを振らせる実験を始めます。それが一段落すると、今度はねぎを振るはちゅねをどれだけ小型化できるか競争したり、どれだけ抽象化できるかの試みが始まったりとシリーズ化し、やがて「はちゅねミク」をマスコットにした「ニコニコ技術部」として知られるようになりました。
技術系動画自体はこの動画以前にももちろんありましたが統一された呼び名はなく、あまり目立たないジャンルでした。しかし、今でははちゅねに限らず様々な「技術の無駄遣い」を行い、作者同士の交流や技術部としての技術系イベント参加なども行われています。その原点となったのがこの動画だったのです。
ちなみに現在は、新しい楽器を設計したり、はちゅねが宇宙を目指したりしているようです。
→「ニコニコ技術部・ミク実体化への道?」へ
【初音ミク】 オリジナル曲 「タイムリミット」 (体験版)
急増したミクファン(ソフト未購入組)が待ち望んでいた「初音ミク体験版」がDTM MAGAZINE 2007年 11月号に付録として付き、それが予想以上の売れ行きに在庫切れとなり話題になりました。
体験版は10日間しか使えないものの、ほとんど全ての機能を使うことができ体験版で歌わせたミク動画も多く発表されています。
この「タイムリミット」も体験版で作られたもので、10日間しか動けないミクが、タイムリミットが迫る中全ての想いを歌い上げようとするキャラクターソングになっています。「雑誌の付録のテーマソング」が作られるというのも「初音ミク」ならではです。
体験版で初音ミクを使用してから製品版を購入した人は多いようで、この曲の作者さんも後に製品版を購入して「タイムリミット」(製品版)を発表しました。
初音ミクの新しい試みは当初DTM業界ではまったく理解されず、「DTM業界で最も権威のある雑誌」にも掲載してもらうどころか色物として担当者に鼻で笑われたとクリプトンのインタビューで語られています。(Sound & Recording Magazine?) そんな中、いち早く初音ミクの特集を組んでこの体験版を本誌の付録に付けたDTM MAGAZINEは、その後もVOCALOID関連の特集記事や別冊を多く作っていて、ボーカロイドファンにとっては最も重要な情報源の一つとなっています。
「celluloid」 song by 初音ミク
初期の非キャラクターソング系オリジナル曲で、最もヒットしたのがこの「celluloid」でした。
詞の内容も、自作の実写PVも、タイトルや解説文も、キャラクターとしてのミクとは一切関係がなく、純粋に「ボーカルソフト」として初音ミクを使用しています。(今は視聴者の強い要望に答えてタイトルに「初音ミク」が入っています)
こうした非キャラソンのオリジナル曲はかなり早い時期からいくつか発表されていたのですが、どれも視聴者の目に留まることなく埋もれてしまっていました。
後に、ランキング動画の登場により非キャラソンのオリジナル曲がミクの主流になるのですが、この曲はランキング動画登場より早くヒットした非キャラソンとして、その先駆けとなったと言えます。
また、やはり後に一大ジャンルとなる「ミクオリジナル曲を歌ってみた」の最初もこの曲で、そちらでも先駆けでした。
→「初音ミクの代表曲」、「ボカロオリジナルを歌って踊って演奏してみた」へ
たぴ・ぱん
ふたりのもじぴったん[ミクラッシャーMIX]に、はちゅねミクの3D動画を合わせた3DPV動画(?)です。
「ふたりのもじぴったん[ミクラッシャーMIX]」は、外国人が奇声を上げながらキーボードを破壊する動画「キーボードクラッシャー」と、初音ミクの歌う「もじぴったん」の狂気のコラボ作品ですが、さらにはちゅねミクが狂ったように踊る3D動画をつけてしまいました。大変な事になっています。
非常にニコニコ動画らしいネタ作品で、ミクファン以外にも絶大な人気があったようです。
ネタ動画ではありますが完成度は非常に高く、他の作者が作った曲や3Dモデルを使用した本格的3DPVとしては、おそらく最も古い作品だと思います。
この時期のミク3Dは試行錯誤の段階で、多くの作者さんが自作の3Dモデルを作って公開・配布していました。
この「たぴ・ぱん」で踊りまくっている「はちゅねミク」のモデルもその中の傑作の一つで、多くの動画で使用されています。
→「初音ミクのユル~いネタ曲」へ

ありがとうございます
元々「名作で見る歴史」を書いて残しておきたくてこのブログを始めたようなものなので、この記事を古参の人が読んで当時を思い出したり、新しく入った人が歴史を知る助けになってくれれば嬉しいですね
まだまだ初音ミクとボーカロイドの激動の歴史は続いているので、今後もできる限り続けていければいいな、と思っております
元々「名作で見る歴史」を書いて残しておきたくてこのブログを始めたようなものなので、この記事を古参の人が読んで当時を思い出したり、新しく入った人が歴史を知る助けになってくれれば嬉しいですね
まだまだ初音ミクとボーカロイドの激動の歴史は続いているので、今後もできる限り続けていければいいな、と思っております
sekise |
2010.12.16(木) 09:25 | URL |
【コメント編集】
このブログでボーカロイドに対する偏見が無くなりました。いい物をつくって下さってありがとうございます。最後のはちゅねちゃんは、お腹が割れるかと思うくらい笑いました(笑)
へい大将 |
2011.08.22(月) 23:37 | URL |
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すばらしいです
タイムリミット聞きながら泣けちゃいました
たかだか数年前のことなのに
ミクが歩んだ歴史、かかわった人々、名曲の数々
時の流れに埋没させたくありません
とても貴重な記録をありがとうございました
これからも書き続けてください