2008.01.15 (Tue)
名作で見るボーカロイドの歴史8
安定期とされる2008年の中でも、特に8月から12月にかけては、評判の良くなかった公式ランキング改変の影響もありボーカロイド系動画の勢いもそれまでと比べて低調気味になっています。
この時期の最も大きな話題としては、クリプトン社以外から初めて発売された日本語ボーカロイド「がくっぽいど」の発売があります。がくっぽいどは、モデルとなったGACKTの歌声をリアルに再現した個性的なボーカロイドでしたが、それまでとは方向性が大きく違ったためか作品数が少なく、「ミク」「リン・レン」の時ほどの祭りにはなりませんでした。
そして「がくっぽいど」発売記念の投稿動画が一段落付くと、ボーカロイドジャンルに長い停滞の秋が訪れます。期待されていた「CV03」に関しては音沙汰なく、ニコニコの外ではピアプロコラボが盛んに行われていたものの、他にボーカロイド全体に影響するような話題もこれといって無い状態が続きました。
しかし、この時期がボーカロイドジャンルにとってまったく意味のない低迷期だったかと言うと、そんなことはありませんでした。
ブームが始まって一周年の区切りとなる初音ミク誕生祭や、第1回MMD杯、第1回Voc@loidM@ster祭り、第1回MMD体育祭、MEIKO生誕祭2008、突発企画キミに☆スプラッシュ、GET WILD祭りなど、多くのボーカロイド系ユーザー企画イベントがこの時期に初めて企画開催されています。
それまでは、ブームを盛り上げる話題は何もしなくても次から次へと湧いて出るものでしたが、企業や一部の名作に頼るだけでなく、初めてユーザー達が一致団結して自らジャンルを盛り上げていこうと行動し始めたのがこの時期でした。
「安定期」の2008年のこの時期に培われたもの、後の発展に繋がる様々な新技術や、ジャンルとしてボーカロイドを盛り上げていこうというファンの意識が、2009年の大躍進に繋がっていったのかも知れません。
【がくっぽいど】ヨミビトシラズ(ワンコーラス)【オリジナル】∀
VOCALOID2「がくっぽいど」が発売されて、最初に投稿されたオリジナル曲です(ミクでは発表済み)
がくっぽいどは日本語ボーカロイドとしては5本目のソフトで、インターネット社初のボーカロイドです。
有名歌手のGacktさんの声から作られていて、Gacktファンクラブ限定バージョンや、テレビの歌番組でのデモンストレーションなど、クリプトン製ボーカロイドとは違ったプロモーションが行われました。
とても扱いやすいのが特徴で、この動画でも、まだノウハウが確立されていない発売直後とは思えない調声でGacktそっくりに歌っています。KAITOやレンにはない、色っぽい低音です。
しかし、生身の声に近いために逆に本物との違いが目立ってしまい、独特の癖もあるためなかなか所有者数が伸びませんでした。これは、インターネット社第二弾ボーカロイドのコンセプトにも影響を与えたようです。
→「侍ボーカロイド・神威がくぽ」へ
「神威がくぽ が オリジナル曲 『ダンシング☆サムライ』 を唄う」 の 巻
がくぽ最大のヒット曲で、正式発売当日にしてネタ化の方向を決定付けた傑作です。
ノリのいい曲に合わせて、なんとも気の抜けるイラストのがくぽがナスと共に踊っています。
がくぽ=ナス(精霊馬)というのは発売より数ヶ月前、がくぽのイラストが発表された直後から言われていて、そのまま定着してしまいました。
なかなかオリジナルのガチ曲に人気が出ないのも、このネタ先行のイメージのせいかも知れないですが、まあ公式からして「歌う侍」なのでネタキャラ化はある意味当然な気もします。
ルカ発売時のクリプトンのインタビューでは、リンのロードローラーやがくぽのネタ化のような盛り上がり方を警戒して、情報の出し方に気を配ったと言っています。
【6人で】ガチで星間飛行+がくぽ・修正版【キラッ☆】
アニメ「マクロスF」の挿入歌「星間飛行」を、ミク・リン・MEIKO(咲音メイコ)・レン・KAITO・がくぽの6人で合唱(斉唱)した動画です。元はそれぞれ別のPの作品を後から編集で合わせたもので、パート分けや「アバター」など、「歌ってみた」の合唱シリーズの手法が取り入れられています。
この時期、ニコニコ動画ではこの「星間飛行」が大変なブームになっていて、その流行はボーカロイドジャンルにも大きな影響を及ぼしました。
多くのPがこの曲をカバーして、その中の一つ【初音ミク】星間飛行【カバー】がぼからん#41で1位を取り、次の週には【MEIKO】咲音メイコ「星間飛行」【カバー】が1位を取るという快挙を成し遂げました。さらに、ボーカロイドジャンルで初めて行われた本格的なユーザー企画イベント「第1回MMD杯」でもこの曲の振り付け動画が優勝しています。大変な席巻っぷりです。
それだけでなく、「星間飛行」のボーカロイドも巻き込んだ大きな祭りが、後にインターネット社の第二弾VOCALOIDの声とイラストデザインの決定に影響を及ぼすことになります。この曲のヒットがなければ、恐らく「メグッポイド」は存在しなかったでしょう。そういう意味でもこのブームは大きな出来事でした。
作ってみた 特別編
「CGM型コンテンツ投稿サイト・ピアプロ」が誕生してから、CGM(ネットなどを使った消費者生成メディア)を盛り上げる新しい試みとして、いくつかのコラボ企画がピアプロ上で行われていました。特に2008年夏ごろからは、様々な企業と提携してボーカロイドのイラストやオリジナル曲を募集し、それを製品に取り入れるという公式コラボ企画が多く行われるようになります。
SUPER GTに参戦する本物のレースマシンの、車体デザインやチームのエンブレム、テーマ曲、レーシングスーツデザインをピアプロで募集するという企画もその一つで、ニコニコ技術部で有名な「御社」に塗装を依頼したり、グッスマと協力して限定フィギュア付き個人スポンサー募集を行うなど、大きな話題になりました。
この動画は「御社」の作ってみたシリーズ番外編で、SUPER GT参戦のマシン「初音ミク Studie GLAD BMW Z4」(通称ミク号)の塗装を行っている作業風景の動画です。デザインはピアプロで(痛車プラモデルのデザインとして)公募した作品で、動画のBGMもテーマ曲部門の入選作品を使用しています。「また御社かw」が合言葉の社長が珍しくプロとして仕事をしている動画ですが、ねんどろいどミクを持ち込んでさり気なくマシンに乗せているところが流石です。
この後も、講談社、角川書店、SEGA、海老煎の老舗「志満秀」、声優・下田麻美さんのCD企画、PlayStation Home、ネットゲーム「パンヤ」、オリジナルTシャツのtmix、アニメ「宇宙をかける少女」、などと組んで、多くのユーザー参加型コラボ企画が行われています。
初音ミクオリジナル曲 「未来の歌」
初音ミク発売一周年の日に合わせて投稿された曲です。人気曲「ハジメテノオト」投稿から音沙汰がなかった作者が、一周年のミク誕生日に突然ハジメテノオトと対になるこの曲を投稿して、ファンを驚かせました。
初音ミクの誕生日である8月31日はボーカロイドブームが始まった日でもあります。その一周年の記念日には多くの初音ミク動画が投稿され、この「未来の歌」の他にも「VOCALOIDでニコニコ動画流星群」や「8月の花嫁」などの名作が誕生しました。
キャラクターの誕生日を祝う動画投稿祭りはニコニコ動画の他のジャンル、特にアイドルマスタージャンルでは定期的に行われていた習慣で、ボーカロイドではこの2008年のミク誕生日が初めて大々的に行われた誕生祭となりました。
初音ミク発売から始まった歌声合成ソフト「VOCALOID」を中心とする新しいブームは、初音ミクの初年度売上げ40000本以上を記録し、様々な賞をもらったりニュースで度々取り上げられたりと、注目度の高いジャンルに成長しました。それまでには様々な事が起こり、慌しい一年の間に短いながらもそれなりの歴史を積み重ねています。名作動画とともにその極一部を紹介してきましたが、まだまだこの先も紹介したい名作と歴史はたくさんあります。ボーカロイドの歴史は、二年目に入ってもやはり波乱万丈なのです。
アイドルマスター ~ココロ~
2008年の後半は、ユーザー主催の動画投稿イベントが多く開催されました。
それまでボーカロイドジャンルでの祭りというと、ソフト発売後の突発祭りや、話題の作品を元にした派生動画祭りなどの成り行き任せの祭りがほとんどで、自らイベントを企画して盛り上げようとするタイプの祭りはほとんど行われてきませんでした。このタイプの祭りは、初音ミク誕生祭のあった8月頃から多く行われるようになり、定例イベント化していく祭りも現れます。
「Voc@loidM@ster祭り」もその一つで、Voc@loidM@ster(ボーカロイドマスター)コミュニティ掲示板での発言から始まって後に定例イベントとなる、ボーカロイド・アイドルマスターのジャンル間コラボ動画祭りです。
アイマス側が主導する形で行われたタグロック方式の中規模イベントですが、ボーカロイド・アイマスのコラボ動画が100近く投稿され、両ジャンルのファン同士の交流なども新鮮で、好評でした。
この動画はVoc@loidM@ster祭り参加作品の一つで、アイマスMAD作者「矢夜雨P」による「ココロ」PVです。トラボルタPの人気曲にアイマスの動画技術によるPVを付けたもので、名作が多く生まれた祭りの参加動画の中でも特に人気の高かった作品の一つです。この動画だけでも一つの作品として完成度が高いですが、「~ココロ・キセキ~」「~ココロ/ココロ・キセキ~」も合わせて三つで一つの大作になっています。
→「歌姫とアイドルの共演・Voc@loidM@ster」へ
【初音ミク】Innocence【3DPV】
2008年末に発表された、オリジナルモデルを使用した名作3DPVです。
この動画は高クオリティの3DPVとして人気になりましたが、もう一つ、「あの楽器プロジェクト」の発祥動画としても知られています。
「あの楽器」とは、PV前半でミクが演奏しているギターともショルダーキーボードとも違うオリジナル楽器のことで、他に呼びようがないので当初はそう呼ばれていました。
このPVを見たある視聴者が、ニコニコ技術部宛に「ニコニコ技術部へのお願い・これ作って!」という動画を投稿します。それをきっかけに、多くの技術部員達がソフト面・ハード面それぞれ異なるアプローチで「イノセンサー」と名付けられたこの楽器を実現化しようという試みを始めました。
ミクのファンを公言し、ニコニコ技術部の熱心な応援者でもある「尻P」ことSF作家・野尻抱介氏幹事による研究成果発表ミーティングが何度も開かれ、企業も参加して途中技術の商品化も行われています。今や企業も関わるニコニコ技術部を挙げた本格的プロジェクトですが、その全てはこのPVから始まったのです。
プロジェクトの詳細は、「あの楽器」タグやニコニコ技術部まとめwikiで見ることができます。
PVに使用されている曲は、このPVより一年前に発表された初期の曲で、JASRAC騒動についての作者の思いを歌にしたものです。騒動の発端となった「みくみくにしてあげる」のメロディーが間奏部分に隠されています。
→「ニコニコ技術部・ミク実体化への道?」へ
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この時期の最も大きな話題としては、クリプトン社以外から初めて発売された日本語ボーカロイド「がくっぽいど」の発売があります。がくっぽいどは、モデルとなったGACKTの歌声をリアルに再現した個性的なボーカロイドでしたが、それまでとは方向性が大きく違ったためか作品数が少なく、「ミク」「リン・レン」の時ほどの祭りにはなりませんでした。
そして「がくっぽいど」発売記念の投稿動画が一段落付くと、ボーカロイドジャンルに長い停滞の秋が訪れます。期待されていた「CV03」に関しては音沙汰なく、ニコニコの外ではピアプロコラボが盛んに行われていたものの、他にボーカロイド全体に影響するような話題もこれといって無い状態が続きました。
しかし、この時期がボーカロイドジャンルにとってまったく意味のない低迷期だったかと言うと、そんなことはありませんでした。
ブームが始まって一周年の区切りとなる初音ミク誕生祭や、第1回MMD杯、第1回Voc@loidM@ster祭り、第1回MMD体育祭、MEIKO生誕祭2008、突発企画キミに☆スプラッシュ、GET WILD祭りなど、多くのボーカロイド系ユーザー企画イベントがこの時期に初めて企画開催されています。
それまでは、ブームを盛り上げる話題は何もしなくても次から次へと湧いて出るものでしたが、企業や一部の名作に頼るだけでなく、初めてユーザー達が一致団結して自らジャンルを盛り上げていこうと行動し始めたのがこの時期でした。
「安定期」の2008年のこの時期に培われたもの、後の発展に繋がる様々な新技術や、ジャンルとしてボーカロイドを盛り上げていこうというファンの意識が、2009年の大躍進に繋がっていったのかも知れません。
【がくっぽいど】ヨミビトシラズ(ワンコーラス)【オリジナル】∀
VOCALOID2「がくっぽいど」が発売されて、最初に投稿されたオリジナル曲です(ミクでは発表済み)
がくっぽいどは日本語ボーカロイドとしては5本目のソフトで、インターネット社初のボーカロイドです。
有名歌手のGacktさんの声から作られていて、Gacktファンクラブ限定バージョンや、テレビの歌番組でのデモンストレーションなど、クリプトン製ボーカロイドとは違ったプロモーションが行われました。
とても扱いやすいのが特徴で、この動画でも、まだノウハウが確立されていない発売直後とは思えない調声でGacktそっくりに歌っています。KAITOやレンにはない、色っぽい低音です。
しかし、生身の声に近いために逆に本物との違いが目立ってしまい、独特の癖もあるためなかなか所有者数が伸びませんでした。これは、インターネット社第二弾ボーカロイドのコンセプトにも影響を与えたようです。
→「侍ボーカロイド・神威がくぽ」へ
「神威がくぽ が オリジナル曲 『ダンシング☆サムライ』 を唄う」 の 巻
がくぽ最大のヒット曲で、正式発売当日にしてネタ化の方向を決定付けた傑作です。
ノリのいい曲に合わせて、なんとも気の抜けるイラストのがくぽがナスと共に踊っています。
がくぽ=ナス(精霊馬)というのは発売より数ヶ月前、がくぽのイラストが発表された直後から言われていて、そのまま定着してしまいました。
なかなかオリジナルのガチ曲に人気が出ないのも、このネタ先行のイメージのせいかも知れないですが、まあ公式からして「歌う侍」なのでネタキャラ化はある意味当然な気もします。
ルカ発売時のクリプトンのインタビューでは、リンのロードローラーやがくぽのネタ化のような盛り上がり方を警戒して、情報の出し方に気を配ったと言っています。
【6人で】ガチで星間飛行+がくぽ・修正版【キラッ☆】
アニメ「マクロスF」の挿入歌「星間飛行」を、ミク・リン・MEIKO(咲音メイコ)・レン・KAITO・がくぽの6人で合唱(斉唱)した動画です。元はそれぞれ別のPの作品を後から編集で合わせたもので、パート分けや「アバター」など、「歌ってみた」の合唱シリーズの手法が取り入れられています。
この時期、ニコニコ動画ではこの「星間飛行」が大変なブームになっていて、その流行はボーカロイドジャンルにも大きな影響を及ぼしました。
多くのPがこの曲をカバーして、その中の一つ【初音ミク】星間飛行【カバー】がぼからん#41で1位を取り、次の週には【MEIKO】咲音メイコ「星間飛行」【カバー】が1位を取るという快挙を成し遂げました。さらに、ボーカロイドジャンルで初めて行われた本格的なユーザー企画イベント「第1回MMD杯」でもこの曲の振り付け動画が優勝しています。大変な席巻っぷりです。
それだけでなく、「星間飛行」のボーカロイドも巻き込んだ大きな祭りが、後にインターネット社の第二弾VOCALOIDの声とイラストデザインの決定に影響を及ぼすことになります。この曲のヒットがなければ、恐らく「メグッポイド」は存在しなかったでしょう。そういう意味でもこのブームは大きな出来事でした。
作ってみた 特別編
「CGM型コンテンツ投稿サイト・ピアプロ」が誕生してから、CGM(ネットなどを使った消費者生成メディア)を盛り上げる新しい試みとして、いくつかのコラボ企画がピアプロ上で行われていました。特に2008年夏ごろからは、様々な企業と提携してボーカロイドのイラストやオリジナル曲を募集し、それを製品に取り入れるという公式コラボ企画が多く行われるようになります。
SUPER GTに参戦する本物のレースマシンの、車体デザインやチームのエンブレム、テーマ曲、レーシングスーツデザインをピアプロで募集するという企画もその一つで、ニコニコ技術部で有名な「御社」に塗装を依頼したり、グッスマと協力して限定フィギュア付き個人スポンサー募集を行うなど、大きな話題になりました。
この動画は「御社」の作ってみたシリーズ番外編で、SUPER GT参戦のマシン「初音ミク Studie GLAD BMW Z4」(通称ミク号)の塗装を行っている作業風景の動画です。デザインはピアプロで(痛車プラモデルのデザインとして)公募した作品で、動画のBGMもテーマ曲部門の入選作品を使用しています。「また御社かw」が合言葉の社長が珍しくプロとして仕事をしている動画ですが、ねんどろいどミクを持ち込んでさり気なくマシンに乗せているところが流石です。
この後も、講談社、角川書店、SEGA、海老煎の老舗「志満秀」、声優・下田麻美さんのCD企画、PlayStation Home、ネットゲーム「パンヤ」、オリジナルTシャツのtmix、アニメ「宇宙をかける少女」、などと組んで、多くのユーザー参加型コラボ企画が行われています。
初音ミクオリジナル曲 「未来の歌」
初音ミク発売一周年の日に合わせて投稿された曲です。人気曲「ハジメテノオト」投稿から音沙汰がなかった作者が、一周年のミク誕生日に突然ハジメテノオトと対になるこの曲を投稿して、ファンを驚かせました。
初音ミクの誕生日である8月31日はボーカロイドブームが始まった日でもあります。その一周年の記念日には多くの初音ミク動画が投稿され、この「未来の歌」の他にも「VOCALOIDでニコニコ動画流星群」や「8月の花嫁」などの名作が誕生しました。
キャラクターの誕生日を祝う動画投稿祭りはニコニコ動画の他のジャンル、特にアイドルマスタージャンルでは定期的に行われていた習慣で、ボーカロイドではこの2008年のミク誕生日が初めて大々的に行われた誕生祭となりました。
初音ミク発売から始まった歌声合成ソフト「VOCALOID」を中心とする新しいブームは、初音ミクの初年度売上げ40000本以上を記録し、様々な賞をもらったりニュースで度々取り上げられたりと、注目度の高いジャンルに成長しました。それまでには様々な事が起こり、慌しい一年の間に短いながらもそれなりの歴史を積み重ねています。名作動画とともにその極一部を紹介してきましたが、まだまだこの先も紹介したい名作と歴史はたくさんあります。ボーカロイドの歴史は、二年目に入ってもやはり波乱万丈なのです。
アイドルマスター ~ココロ~
2008年の後半は、ユーザー主催の動画投稿イベントが多く開催されました。
それまでボーカロイドジャンルでの祭りというと、ソフト発売後の突発祭りや、話題の作品を元にした派生動画祭りなどの成り行き任せの祭りがほとんどで、自らイベントを企画して盛り上げようとするタイプの祭りはほとんど行われてきませんでした。このタイプの祭りは、初音ミク誕生祭のあった8月頃から多く行われるようになり、定例イベント化していく祭りも現れます。
「Voc@loidM@ster祭り」もその一つで、Voc@loidM@ster(ボーカロイドマスター)コミュニティ掲示板での発言から始まって後に定例イベントとなる、ボーカロイド・アイドルマスターのジャンル間コラボ動画祭りです。
アイマス側が主導する形で行われたタグロック方式の中規模イベントですが、ボーカロイド・アイマスのコラボ動画が100近く投稿され、両ジャンルのファン同士の交流なども新鮮で、好評でした。
この動画はVoc@loidM@ster祭り参加作品の一つで、アイマスMAD作者「矢夜雨P」による「ココロ」PVです。トラボルタPの人気曲にアイマスの動画技術によるPVを付けたもので、名作が多く生まれた祭りの参加動画の中でも特に人気の高かった作品の一つです。この動画だけでも一つの作品として完成度が高いですが、「~ココロ・キセキ~」「~ココロ/ココロ・キセキ~」も合わせて三つで一つの大作になっています。
→「歌姫とアイドルの共演・Voc@loidM@ster」へ
【初音ミク】Innocence【3DPV】
2008年末に発表された、オリジナルモデルを使用した名作3DPVです。
この動画は高クオリティの3DPVとして人気になりましたが、もう一つ、「あの楽器プロジェクト」の発祥動画としても知られています。
「あの楽器」とは、PV前半でミクが演奏しているギターともショルダーキーボードとも違うオリジナル楽器のことで、他に呼びようがないので当初はそう呼ばれていました。
このPVを見たある視聴者が、ニコニコ技術部宛に「ニコニコ技術部へのお願い・これ作って!」という動画を投稿します。それをきっかけに、多くの技術部員達がソフト面・ハード面それぞれ異なるアプローチで「イノセンサー」と名付けられたこの楽器を実現化しようという試みを始めました。
ミクのファンを公言し、ニコニコ技術部の熱心な応援者でもある「尻P」ことSF作家・野尻抱介氏幹事による研究成果発表ミーティングが何度も開かれ、企業も参加して途中技術の商品化も行われています。今や企業も関わるニコニコ技術部を挙げた本格的プロジェクトですが、その全てはこのPVから始まったのです。
プロジェクトの詳細は、「あの楽器」タグやニコニコ技術部まとめwikiで見ることができます。
PVに使用されている曲は、このPVより一年前に発表された初期の曲で、JASRAC騒動についての作者の思いを歌にしたものです。騒動の発端となった「みくみくにしてあげる」のメロディーが間奏部分に隠されています。
→「ニコニコ技術部・ミク実体化への道?」へ

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