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2008.01.02 (Wed)

名作で見る初音ミクの歴史1

初音ミクが発売された2007年8月31日から、鏡音リン・レンの作品が登場し始めた2008年1月までの間、たったの数ヶ月でミクの人気はニコニコ動画を飛び出すまでになりました。
ちょっと検索してみただけでも、

BCN AWARD 2008サウンド関連ソフト部門賞
All About 話題 of the Year 2007趣味・エンタメ部門賞
Googleの2007年国内キーワード検索ランキングで「著名人」3位
新語辞典「現代用語の基礎知識2008」に「初音ミク」「みっくみく」収録
ネット流行語大賞2007第6位
第39回 星雲賞『自由部門』受賞

など、たった数ヶ月で小さくない知名度を獲得したと言えると思います。
しかし、新しい技術であるVOCALOID・初音ミクがこれほどの人気を獲得するまでには、期間は短いながらも様々な出来事と歴史がありました。
初音ミクとボーカロイドのニコニコ動画での歴史を、ブームに影響を与えたと思われる名作動画から辿ってみようと思います。
まずは、発売前から発売直後の9月前半までの動画です。




 アンインストール (VOCALOID MEIKO ver.)
ミクの姉貴分MEIKOが歌う「アンインストール」。
初音ミク発売以前のニコニコ動画ではボーカロイドはマイナーなジャンルでしたが、このMEIKOのアンインストールとディレイ・ラマの僧侶のアクエリオンは人気があり、MEIKO職人も数人ですが作品を作り続けていました。
大部分は機械音声で既存の曲の物真似をするネタっぽい扱いではありましたが、ニコニコ動画で初音ミクが受け入れられる下地は、MEIKO職人とそのファンによってすでに作られていたのです。
作者の「ぼか主」さんは、初音ミク発売前のニコニコ動画でほぼ唯一のボーカロイド専門作者として名の知られた人だったので、「ボーカロイドの主=ぼか主」の名前で呼ばれていました。一番最初の有名ボーカロイド職人であり、現在でも最高のMEIKO使いの一人です。
ぼか主さんの動画は、一度全て消されてしまっているため、これは後に再投稿されたものです。



 ボーカロイド 初音ミク デモソング
初音ミク発売前にクリプトンのサイトで公開されたデモソングの一つ、通称「01 ballade」です。
ミクのデモソングの中で最も人気があり、多くの人がこのデモで初音ミクの歌声を初めて聞くことになりました。
この時期、まだVOCALOIDの名を知っている人は限られていましたが、DTM愛好家の中では話題になったVOCALOID「MEIKO」の後継ソフトであり、また、クリプトンが発売前にブログでキャラクターイラストを含む様々な情報を出してユーザーと対話していたこともあり、MEIKO使いを始めとして注目していた人は少なくありませんでした。
そして期待の中公開されたこのデモは、MEIKOとはまったく違う少女の声と次世代技術VOCALOID2の歌唱の自然さで、ユーザーに強いインパクトを与える事になります。
MEIKOユーザーはクリプトンで注文すれば割引で安く手に入れられたはずですが、Amazonにも予想を遥かに上回る予約が殺到して手に入れられない人が続出。「初音ミクが来ない?来た?」騒動を引き起こすきっかけとなりました。
それだけ、このデモ曲が新しいユーザーも取り込んでしまったのです。
ミク発売後もこの曲のファンは多く、フルバージョンが「星のカケラ」として公式CDに収録された他、多くの動画でカバーされています。



 初音ミクが来ない?来た? (最終版)
初音ミクの発売直後、予想以上の売れ行きの為に出荷が遅れ、そのせいでソフトを手に入れられないMEIKO職人達のやり取りをまとめた動画です。
ニコニコ動画でも珍しい作品によるやり取りが面白く、MEIKOやミクによるゲームサウンドに載せた即興風の歌が人気になりました。この動画で初めて「歌うプログラム」の存在と面白さを知った人は多かったようです。この騒動をきっかけにミクの売れ行きもどんどん上がっていき、初音ミクブームのスタートダッシュを支えることになりました。
また、ミクファンに最初にMEIKOの存在を印象付けたのもこの動画で、MEIKOの「酒飲み」というキャラクターイメージはこの動画が発祥です。
後に「~がやってこない愛のテーマ」はシリーズ化され、新作ボーカロイドが出るたびに「ワPの恒例行事」と呼ばれて期待されるようになりました。(「鏡音リンが来ない愛のテーマ」「鏡音リン・レンact2が届かない愛のテーマ」「巡音ルカがやって来ない愛のテーマ」)
この動画の初代うP主こと「ワンカップP」は、この動画をきっかけにボーカロイド作者で始めて「P」名がつけられた人です。P(プロデューサー)は、元はアイドルマスター動画の作者に付けられていた称号ですが、ワンカップPをきっかけにボーカロイド作者もP名で呼ばれる習慣がつきました。
「初音ミク最初の騒動と、最初のP」



 VOCALOID2 初音ミクに「Ievan Polkka」を歌わせてみた
発売からわずか5日で発表された、高クオリティのカバー曲。通称「ロイツマ」。初音ミク最初のヒット曲です。
海外で流行った「ロイツマ・ガール」と呼ばれるフラッシュ動画が元ネタで、そちらでは外国語の歌にあわせて女の子がネギを回しているのですが、この動画ではなんとも気の抜けるデフォルメミク=はちゅねミクが、ひたすらネギを振ります。
初音ミクの高い歌唱能力を一番最初に使いこなし、同時に「ネギ」「アホの子」「はちゅねミク」などのキャラクターイメージも作ってしまった名作です。
初めての神調教曲であると同時に、ネタ系の元祖でもあり、この後ロイツマに影響を受けたボーカロイド作品が大量に作られる事になりました。
また、この動画のヒットはニコニコ動画のボーカロイド以外のジャンルにも影響を与え、特に
「音系MAD」ジャンルでは、この動画を元とする「ロイツマ歌わせてみたシリーズ」という一派が誕生しています。
ちなみに、作者のOtomaniaさんは、上の「初音ミクが来ない?来た?」の「前日予約P」でもあります。
「なんでネギ?持ち物戦争(1)」



 【初音ミク】恋スルVOC@LOID (修正版)【オリジナル曲】
初めて大ヒットした初音ミクオリジナル曲です。
これ以前にも「White Letter」などオリジナルの良曲はあったのですが、ミクのためのキャラクターソングとして作られたこの曲が最初のヒット曲となりました。
当初、ニコニコ動画で流行り始めた「初音ミク」について、多くの人は(MEIKOがそうであったように)既存曲のカバーや替え歌などの使い方が主流になると考えていたようです。ところが、かなり早い段階からカバーなどと共に投稿者オリジナルの楽曲が発表され始め、この「恋スルVOC@LOID」のヒットを皮切りに次々と自作のキャラソンが作られ、ヒットしていきました。
MEIKO時代には無かった「ボーカロイドでオリジナル曲を発表する」という文化が定着したのも、この動画のヒットおかげかもしれません。
作者の「OSTER_project」さんは、この後もいくつもの大ヒット曲を発表し、最も有名なミク職人の一人になっています。
ちなみに「WhiteLetter」のような非キャラクター系オリジナル曲が受けるようになるのは、VOCALOIDランキングが出来てからになります。
「キャラソンの元祖 OSTER project作品」



 初音ミクをアニマスでつくってみた


 3D初音ミクに01_balladeを歌わせてみた
初音ミクを3D化する試みは、かなり早い時期から複数の職人によって進められています。
タグ名にもなった「初音ミク3D化計画 その1」や、後に傑作PVを生み出すGibson氏の「初音ミク3D」シリーズの他、何人もの3D職人が自作モデルの製作過程を発表していました。
その中でも、この「初音ミクをアニマスでつくってみた」で発表された「あにまさ」さんのモデルと、「3D初音ミクに01_balladeを歌わせてみた」で発表された「キオ」さんのモデルは、初音ミクの二大3Dモデルといってもいいぐらい普及し、後に大きな影響を与えることになります。
「あにまさモデル」はその漫画チックな可愛いデザインが特徴で、これに惚れ込んだ樋口Mによって簡略化されて「MikuMikuDance」の標準モデルとして採用されます。単純化されている分非常に軽くなっていて、MMDでダイナミックに動き回り表情豊かに演技をする「あにまさモデル」は、最も有名な3Dミクの一つになっていきました。
あにまささんの動画から半月後に投稿された「キオ」さんのモデルは精巧で美麗なデザインで人気となり、初心者向けの3Dソフト「六角大王」向けにフリーで配布された事で広く使われるようになりました。通称「キオ式」と呼ばれるこの3Dモデルは、六角大王の性能の為に激しく動かすのは難しく制作に時間もかかりますが、止め絵でも十分使えるほどのクオリティの高さで多くの職人に使用され、数多くの傑作が生まれました。
どちらもフリーで配布されている事が特徴で、PV職人達に長く愛されている3Dモデルです。
「総合作品 オリジナル曲3DPV」


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テーマ : 初音ミク ジャンル : 音楽

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2008.01.04 (Fri)

名作で見る初音ミクの歴史2

9月の後半から10月上旬ぐらいまでは、ミクのキャラクターソング系オリジナル曲が全盛を迎えた時期です。
「恋スルVOC@LOID」に触発されて作られたという「あなたの歌姫」や、ミクの代表曲となる「みくみくにしてあげる♪」を始めとして、次々と名キャラクターソングが発表され人気作となりました。
そして、キャラクターソングで歌われる様々な個性のミクの中から、多くの人に受け入れられるミクの共通イメージが次第に浮かび上がってきました。現在のキャラクターとしての初音ミクのイメージは、この時期に作られたキャラソンが大元になっています。
これらのミク自身をテーマにしたオリジナル曲は今でも人気のものが多く、ミクを象徴するオリジナル曲として、後に多くのオムニバスCDに収録されています。




 あなたの歌姫/初音ミク_fullver.


 【初音ミク】みくみくにしてあげる♪【してやんよ】


 初音ミクがオリジナル曲を歌ってくれました「Packaged」 Full Ver.
9月の後半は、ミクオリジナル曲として最初にヒットした「恋スルVOC@LOID」の後を追うように、次々とオリジナルのキャラクターソングが発表されて人気を得た時期でした。
特に「みくみくにしてあげる♪」は絶大な人気を獲得し、初音ミクを象徴するキャラクターソングとして、現在ではニコニコ動画でもトップクラスの再生数を持つ動画になっています。
これらの曲は、ミクのキャラクター人気を高めるとともに、「初音ミク」が自作のオリジナル曲を歌わせて発表するツールとして定着していくきっかけにもなりました。
「初音ミク」で歌わせれば、自分で作った曲を多くの視聴者が聞いてくれて、評価してくれるという状態がこの時期に生まれたのです。
そのことによって、歌手の物真似をさせたり替え歌を歌わせるのが主な使い道だったニコニコ動画のボーカロイドジャンルが、新しいファン層と作者達を得てさらに大きく広がっていきます。
後に、「あなたの歌姫」はNHKBSの番組「ザ☆ネットスター!」のED曲に採用され、「Packaged」はCDが一般販売されてオリコン週間アルバムチャート初登場3位を記録するなど、3曲とも初音ミクを代表する曲となりました。
「初音ミクのキャラクター」「マシンボイスの歌姫 kz作品」



 初音ミク(はちゅねミク)のねぎ回しを実際に作ってみた
ニコニコ動画には「技術の無駄遣い」を合言葉にさまざまな物を実際作ってしまおうという工作系ジャンルがあり、それにつけられる「ニコニコ技術部」というタグがあります。
プロ並の技術や機材を使って、全自動調理機械やレールガンや3Dソフトや痛PCを作ってしまう「ニコニコ技術部」ですが、そのタグが最初に生まれたのがこの動画でした。
この動画は、立体のはちゅねミクにねぎを振らせるアイディア勝負の一発ネタ動画ですが、いくつもの動画が後に続くように、アイディアと技術を駆使してはちゅねにねぎを振らせる実験を始めます。それが一段落すると、今度はねぎを振るはちゅねをどれだけ小型化できるか競争したり、どれだけ抽象化できるかの試みが始まったりとシリーズ化し、やがて「はちゅねミク」をマスコットにした「ニコニコ技術部」として知られるようになりました。
技術系動画自体はこの動画以前にももちろんありましたが統一された呼び名はなく、あまり目立たないジャンルでした。しかし、今でははちゅねに限らず様々な「技術の無駄遣い」を行い、作者同士の交流や技術部としての技術系イベント参加なども行われています。その原点となったのがこの動画だったのです。
ちなみに現在は、新しい楽器を設計したり、はちゅねが宇宙を目指したりしているようです。
「ニコニコ技術部・ミク実体化への道?」



 【初音ミク】 オリジナル曲 「タイムリミット」 (体験版)
急増したミクファン(ソフト未購入組)が待ち望んでいた「初音ミク体験版」がDTM MAGAZINE 2007年 11月号に付録として付き、それが予想以上の売れ行きに在庫切れとなり話題になりました。
体験版は10日間しか使えないものの、ほとんど全ての機能を使うことができ体験版で歌わせたミク動画も多く発表されています。
この「タイムリミット」も体験版で作られたもので、10日間しか動けないミクが、タイムリミットが迫る中全ての想いを歌い上げようとするキャラクターソングになっています。「雑誌の付録のテーマソング」が作られるというのも「初音ミク」ならではです。
体験版で初音ミクを使用してから製品版を購入した人は多いようで、この曲の作者さんも後に製品版を購入して「タイムリミット」(製品版)を発表しました。
初音ミクの新しい試みは当初DTM業界ではまったく理解されず、「DTM業界で最も権威のある雑誌」にも掲載してもらうどころか色物として担当者に鼻で笑われたとクリプトンのインタビューで語られています。(Sound & Recording Magazine?) そんな中、いち早く初音ミクの特集を組んでこの体験版を本誌の付録に付けたDTM MAGAZINEは、その後もVOCALOID関連の特集記事や別冊を多く作っていて、ボーカロイドファンにとっては最も重要な情報源の一つとなっています。



 「celluloid」 song by 初音ミク
初期の非キャラクターソング系オリジナル曲で、最もヒットしたのがこの「celluloid」でした。
詞の内容も、自作の実写PVも、タイトルや解説文も、キャラクターとしてのミクとは一切関係がなく、純粋に「ボーカルソフト」として初音ミクを使用しています。(今は視聴者の強い要望に答えてタイトルに「初音ミク」が入っています)
こうした非キャラソンのオリジナル曲はかなり早い時期からいくつか発表されていたのですが、どれも視聴者の目に留まることなく埋もれてしまっていました。
後に、ランキング動画の登場により非キャラソンのオリジナル曲がミクの主流になるのですが、この曲はランキング動画登場より早くヒットした非キャラソンとして、その先駆けとなったと言えます。
また、やはり後に一大ジャンルとなる「ミクオリジナル曲を歌ってみた」の最初もこの曲で、そちらでも先駆けでした。
「初音ミクの代表曲」「ボカロオリジナルを歌って踊って演奏してみた」



 たぴ・ぱん
ふたりのもじぴったん[ミクラッシャーMIX]に、はちゅねミクの3D動画を合わせた3DPV動画(?)です。
「ふたりのもじぴったん[ミクラッシャーMIX]」は、外国人が奇声を上げながらキーボードを破壊する動画「キーボードクラッシャー」と、初音ミクの歌う「もじぴったん」の狂気のコラボ作品ですが、さらにはちゅねミクが狂ったように踊る3D動画をつけてしまいました。大変な事になっています。
非常にニコニコ動画らしいネタ作品で、ミクファン以外にも絶大な人気があったようです。
ネタ動画ではありますが完成度は非常に高く、他の作者が作った曲や3Dモデルを使用した本格的3DPVとしては、おそらく最も古い作品だと思います。
この時期のミク3Dは試行錯誤の段階で、多くの作者さんが自作の3Dモデルを作って公開・配布していました。
この「たぴ・ぱん」で踊りまくっている「はちゅねミク」のモデルもその中の傑作の一つで、多くの動画で使用されています。
「初音ミクのユル~いネタ曲」


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2008.01.06 (Sun)

名作で見る初音ミクの歴史3

10月は、一過性の「ブーム」が、独自の「文化」を持つジャンルに変わっていく転換期となりました。

最も大きい出来事は「ランキング動画」の登場で、ファンはランキング動画を見て好みの新曲を探すという視聴スタイルが生まれます。
これによりさまざまな種類の作品がファンの目に触れるようになり、今までは目立たなかった非キャラクターソング系オリジナル曲が人気を集めて、作品数も増えていくことになります。
従来のキャラクターソングも数自体は減っておらず、絶大な支持を集めた傑作「ハジメテノオト」や「もっと歌わせて2107」などがヒットしましたが、次第に非キャラクターソングが主流になり、キャラソンはボーカロイド曲の一ジャンルとして定着していきました。
人間の声に近づくために調教のレベルを競っていたカバー曲の分野でも「奇跡の海」の登場で一つの頂点を見る事になります。

このようにファンの視聴形態が変化することで、ミクのキャラクターや技術から曲そのものの良さが注目されるように変わりはじめたのがこの時期です。




 【初音ミク】週刊みくみくランキング #1
今では多くのボーカロイドファンがこのランキングを入り口に好みの新曲を探す、絶大な影響力を持ったランキング動画「週刊VOCALOIDランキング」(ボカラン)の記念すべき第一回目がこの動画です。この時はまだタイトルが「週刊みくみくランキング」で、この後タイトルや集計方式などを変更しながら現在に続いています。
今のランキングと比べるとランクイン作品がミクだけで、カバー曲とキャラソンばかりなのが大きく異なる点です。ちなみに、数少ない非キャラソン人気曲であった「celluloid」は集計ミスでこの動画では洩れてしまっていました。
この週刊ランキングは曲の紹介を重視した選考になっていますが、後にPVなども含めた「月刊ランキング」や、週刊で漏れがちな日々の新作をフォローする「日刊ランキング」など、週刊ランキングでカバーできない部分を補うボーカロイドランキングが作られ、合わせて利用されるようになりました。
この独自のランキング動画の誕生が、ファンのボーカロイド作品視聴の形態を変え、初音ミクとボーカロイドが独自の文化を持つ一ジャンルとして成立するきっかけとなったと言えるかもしれません。それほど大きな影響を及ぼした動画です。



 初音ミクが本気で「奇跡の海」 を歌ってくれた(Ver.1.1-Release)
ブーム初期に「神調教」と言えば必ず名前が挙がったのがこの「奇跡の海」のカバー動画です。
現在でも、これに匹敵するレベルの自然な歌声を実現した作品は多くありません。
この神調教は突然完成したわけではなく、作者は製作途中の不完全な動画を投稿し、視聴者にどこが不自然かを事細かにコメントで指摘されては、それを修正して不自然な部分を潰してまた動画を上げるという作業を延々行いました。その結果このレベルの作品が実現したのです。
この当時はカバー曲が隆盛でしたが、この作品の完成度とインパクトを超える調教の作品はなかなか現れず、ミクファンの興味は歌声そのものよりも曲へと移っていきました。
「初音ミクたちの実力を見る動画」



 初音ミクオリジナル曲 「ハジメテノオト(Fullバージョン)」
「みくみくにしてあげる♪」と並んで、初音ミクを象徴する曲と言われるキャラクターソングです。
みくみくと比べると静かで切ないイメージの曲で、「初音」という名前にこめられた意味と想いを歌っています。
冒頭イントロ部分に隠されたモールス信号や、作者不明(upした人は代理だそうです)であることから、どことなく神秘的な雰囲気もあり、この作品に強い思い入れを持つファンは多いようです。
キャラクターソング全盛の時代の最後期に発表されたキャラソンで、この曲のヒット以降、非キャラソンの比重が大きくなっていきます。
作者はこの作品の発表以後何も語らず活動せず、作者騙り騒動(SNSでハジメテノオトの作者を名乗る偽者が現れ、他のボーカロイド作者達と交流したり新聞の取材を受けたりしていた)まであったりしましたが、一年後の初音ミク一周年記念日にハジメテノオトの対になる曲「未来の歌」を突然発表し、話題になりました。



 進め!!TBS

 最近いろんなところではぶられてる初音ミクが一曲歌ってみた
初音ミクのブームは広がりが速く、ボーカロイドの存在自体も今までに例のないものだったからか、ブーム初期には何度か周囲との摩擦を引き起こしました。
10月14日放送のTBS「アッコにおまかせ」の1コーナーで「初音ミク」を取り上げたときに、クリプトンや作曲者を騙して取材した内容を切り貼りして、秋葉原オタクを嘲笑する内容に編集して放送した「アッコにおまかせ事件」。
そして、なぜかGoogleとyahooの画像検索から初音ミクが消え、Wikipediaからも初音ミクの項目が削除。クリプトンやGoogleが声明を出すほどの騒ぎになった「消えた初音ミク問題」。
この二つの動画は、それらの問題に抗議するために作られ、初音ミクを使って歌われた風刺歌です。
初音ミク発売後は、何か時事問題がおこったときに、初音ミクが歌う即興の風刺動画が度々作られるようになりました。
古来より風刺は歌の重要な役割の一つでしたが、誰でも手軽に歌わせる事ができて、マスコミに影響されずに発表できるニコニコ動画と初音ミクは、こういった使い方にも向いているのかも知れません。
皮肉な事に、これらの騒動がネットニュースなどで報じられた事で「初音ミク」の名はニコニコ動画の外にまで広がり、より多くの人に存在が知られるようになりました。
また、亜種キャラクター「亞北ネル」が誕生するきっかけとなった工作騒ぎも、この騒動の中で起こっています。
「二次創作から公認へ・ボーカロイド亜種」


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2008.01.08 (Tue)

名作で見る初音ミクの歴史4

11月の終盤から12月初めにかけては、初音ミクとボーカロイドにとって激動の日々でした。
この時期に起こったさまざまな出来事は、これまでの初音ミクのブームの形を変化させ、現在に続く多くのことがこの時に定まりました。
ここからはもう「ミクの歴史」ではなく、「ボーカロイド(ボカロ)の歴史」になって行きます。

最初の変化は、初音ミク人気の高まりによって、ミク以外のボーカロイド達も注目を浴びるようになった事でした。ミクの添え物やバックコーラスとしてではなく、MEIKOやKAITO独自の性能や調教法が見直され、個性とファンを獲得していく事になります。これによって、ミクの声が苦手な人や女性層などもボーカロイドの曲を聴くようになりました。
次に、記録的な大ヒット曲「メルト」の発表が、初音ミクブームに劇的な変化をもたらしました。他分野とのコラボの増加やファン層の変化などによって、ニコニコ動画におけるボーカロイドは、より開かれたジャンルになっていきます。
そして、「みくみくにしてあげる♪」がJASRAC登録曲となっていたのが判明した事から始まった「みくみく事件」によって、初音ミク楽曲の商品化の枠組みと著作権についての大議論が起こります。これをきっかけとして、素人が自由に自作曲を発表するシステム作りのために、クリプトンとボーカロイド作品作者達による新しい試みが始まることになったのです。




 忘却心中(オリジナル曲)/Vocaloid-MEIKO
一番最初にVOCALOIDランキングでランクインしたMEIKOオリジナル曲です。
初音ミク発売以前にも自作の曲をMEIKOに歌わせているDTM愛好家はいましたが、MEIKOどころかVOCALOIDの技術自体に知名度がほとんどなかったため、一般には目立たない存在でした。
しかし、初音ミク発売間もないころから、ワンカップPやぼか主の作品などによりMEIKOのキャラクターや歌声がミクファンの間で定着し始め、この忘却心中や「めいこめいこにしてあげる」などがランクインするようになりました。
ただ、この時点ではまだ大ヒット曲は無く、殿堂入りは「PASSIONAIRE」が発表されるまで待つことになります。
この曲はニコニコ動画が初出ではなく、作者のOPAさんが初音ミク発売より以前にDTMサイトに投稿していた作品です。MEIKOのための曲というわけではないのですが、ミクの苦手な大人っぽいロックもMEIKOだとはまっています。
「ミクのお姉さん・MEIKO」



 「卑怯戦隊うろたんだー」をKAITO,MEIKO,初音ミクにry【オリジナル】修正版
KAITOの出世作にして、最大のヒット曲です。ミクの代表曲「みくみくにしてあげる」「メルト」に次いでボーカロイド曲の中で三番目に再生数が多く、KAITOを象徴する代表曲と言えます。
DTM音源としてはそれなりにヒット商品だったMEIKOと違って、KAITOは元々ほとんど売れていないソフトでした。開発者や名付け親に「失敗作」と言われたエピソードもあり、初音ミクブーム初期はその影の薄さがよくネタにされていたほどです。(「消えゆくあなたへ(通常版)」「うp主が倒せない(再)」)
しかし、「キミと出逢ってから」などで真面目な歌声も徐々に評価されるようになり、「KAITO良曲メドレー」で取り上げられた事をきっかけに、この「うろたんだー」が大ヒットしました。とはいえ、この時点ではまだネタキャラとしての人気で、まじめな曲やオリジナル曲で評価されるのは2008年に入ってからの事になります。
架空の戦隊ヒーロー番組の主題歌という設定のこの曲は、調教のレベルもネタとしても秀逸な作品なのですが、多くの二次制作を生み出した事も特徴です。この曲のファンによって多数のイラストや物語設定、敵対組織や劇中キャラクターが作られていき、それらをまとめる専用サイトも作られました。
この曲のヒット以降KAITOの存在感は増し、MEIKOを凌ぐほどになっていきます。
「ミクのお兄さん・KAITO」



 初音ミク が オリジナル曲を歌ってくれたよ「メルト」
「みくみくにしてあげる♪」に次ぐ再生数を持つ初音ミクの代表曲の一つで、ブームの新しい流れを作り出すきっかけとなった曲です。
少女の視点で可愛い恋を歌った作品で、奇をてらわない正統派の調教と美麗なイラスト、ピアノに特徴のあるバンドサウンド、キャラクターとしてのミクが登場しない、少女の一人称視点で語られるストレートな恋愛の歌詞という、後に大ヒットを連発する作者ryoさんの特徴的要素がこの曲にも詰まっています。
この曲は発表後、単独でも上位にランクインしていたのですが、インディーズ歌手であるhalyosyさんが男性版に歌詞をアレンジして歌った事で大きな話題となります。
さらに、それを別の人がミクとのデュエットバージョンとして編集した動画が登場し、また、自演騒動などで活動を自粛する傾向にあった「歌ってみた」ジャンルの歌手達が次々とカバーしてそれがまた大人気となりました。これらが短期間に一気に行われたため、一時ニコニコ動画のランキング上位が全て同じサムネイルのメルト関連動画で埋め尽くされ、通称「メルトショック」と呼ばれる大騒ぎに発展します。
この出来事は、新規ファンの急激な増加やニコニコ歌手・楽器演奏者の「ボーカロイドオリジナル曲」への本格的な参入のきっかけとなりましたが、旧来のボーカロイドファンや、ボーカロイドと距離を置くニコニコ動画視聴者との間に摩擦も生まれました。そして様々な議論とルールが生まれ、結果的に
ニコニコ動画でのボーカロイドは、最も間口が広く、他分野とのコラボを受け入れるジャンルの一つになっていったのです。
その変化をもたらした発端となったこの曲も派生作品が非常に多く、歌ってみた、演奏してみた、それらをまとめた合唱動画、踊ってみた、替え歌、手書きPV、3DPV、アイドルマスターのダンスPV、ネタ化したパロディ作品など、タグで検索すると4000以上に及ぶ派生作品が見つかります。さらに、カラオケ化やCD化、有線放送で流れたりと、ニコニコ動画に留まらない広がり方をしているようです。
「ラブソングの大ヒットメーカー ryo作品」「ボカロオリジナルを歌って踊って演奏してみた」



 【鏡音リン・レン】 ロードローラー支援動画 【WRYYYYYYYN!!!】
この時期におきたボーカロイドにとって重要な出来事の一つに、クリプトンが運営するコンテンツ投稿サイト「ピアプロ」の開設があります。(12月3日)
ピアプロは、オリジナルの楽曲・歌詞・イラストをバラバラに投稿して貯えていて、利用者はルールに従って、ほぼ自由にそれを自分の作品に使用する事ができます。著作権や作者との交渉を気にせずに創作物を素材として利用する事ができ、ニコニコ動画などで発表する事もできるようになるのです。
発売元運営による、従来にない二次創作の推奨システムと言えます。
それまでは、パッケージイラスト一枚が静止画で表示されるだけの作品が主流でしたが、ピアプロの利用が進んでからは、曲に合った様々なイラストを使ったイラストPV付き作品が多くなりました。
この動画は、最も初期に本格的にピアプロを利用した動画の一つで、オリジナル曲と多数のイラストは動画編集者とは別の作者が作ったものです。
そして、「すいません・・・、鏡音リンを予約したいのですが・・・」から始まって、ピアプロとニコニコ動画を巻き込んで盛り上がった「ロードローラー祭り」の先駆けとなった動画の一つでもあります。



 【初音ミクオリジナル曲】みんなのために
12月におきた様々な騒動の極めつけとなったのが、通称「みくみく事件」と呼ばれる一連の出来事でした。
騒動は、12月17日に「みくみくにしてあげる♪」がJASRAC(日本音楽著作権協会)管理曲として登録されている事が報告された事から始まりました。JASRACに登録されるという事は、今後「みくみくにしてあげる♪」を無断で使用したり演奏したり替え歌を作ったりアレンジしたりPVを作ったりといったニコニコ動画での初音ミクブームを支えてきた活動の全てができなくなる事が予想され、大きな反発を呼びました。
さらに、初音ミク楽曲の着うたを独占配信するとドワンゴ(ニコニコ動画を運営するニワンゴの親会社)が発表。しかし、作者に無許可で楽曲を配信したり、全ての曲を事後承諾でJASRACに登録しようとしていた事が作者達の告発によって明らかになります。
騒ぎは大きくなり、ピアプロの開設などユーザーの自由な創作を尊重する方針を掲げていたクリプトン社も抗議の文章を発表して、ドワンゴとの意見の対立が表面化。間に入っている権利代行会社との意思疎通の不備もあり、お互いに自社のブログなどで反論し合うという、泥沼の事態になってしまいます。(解説動画まとめwiki)
この曲はそんな最中発表されたもので、ドワンゴやJASRACを激しく非難したり皮肉ったりする動画が数多く投稿される中、権利ビジネスの都合に翻弄されるミクの悲しみと願いを静かに歌ったオリジナル曲です。この作者さんは、「消えた初音ミク騒動」のときにもオリジナル曲「どうか…」を発表しています。
そして、2ch管理人にしてニワンゴの取締役であるひろゆき氏も、この件について議論する掲示板に現れて鎮静化(?)を図り、なぜかミク曲「初音ミクで季節モノの曲を作ってみたよ。 @ひろゆき」を作って投稿しています。
結局この件は、両社が音楽著作権の新しいルールを協力して構築していくという共同コメントを出して終結します。この騒動をきっかけに、以降ほとんどの初音ミク楽曲は、これまでの音楽業界の常識に囚われることなくJASRAC登録せずに販売・配信されるのが通例となり、現在までにJASRAC登録されているオリジナルの初音ミク楽曲はごく少数しかありません。
しかし、発端となった「みくみくにしてあげる♪」は、このブログにも設置されている「フルみっくすプレーヤー」からも除外されたままで、復活する事はないのです。



 【初音ミク】melody...3D PV ver1.50
初音ミクの優れた曲には、別の作者の作ったPV動画や派生作品が作られる事がよくあります。
作曲されたオリジナル曲に映像の技術を持つ有志によって自由にPVが作られ、総合作品として更に評価されるのはニコニコ動画ならではの創作活動です。
この動画も、原曲「melody」の作者、「キオ式3Dミク」の作者、そしてPV動画作者による、ニコニコ動画ならではのコラボレーションで完成した名作PVです。この作品が、フリーで配布されていた「キオ式」モデルの人気を一気に高めることになりました。
この精巧なキオ式モデルにはファンが多く、初心者向けの安価な3Dソフトである「六角大王」があれば誰でもこのモデルを使えますが、複雑なアニメーション作りに向いていないため動きがあまりつけれられないのが欠点です。しかし、この作品ではミクの切れのあるポージングとカメラワークでそれを補っています。
このPVの作者「ussyP」は、3D動画はほとんど初心者同然だったためネットで勉強しながらコツコツと作り上げたそうで、その製作過程も動画として公開されています。
それまでブームを支えてきた多くのミク作品が翼となって展開する場面は神々しいほどで、発売日が近付いていた新型ボーカロイド「鏡音リン・レン」に未来を託して機能停止するラストは、初音ミクだけのブームが終わりを迎え、新しいボーカロイドブームが始まる事を告げているようでもあります。
続編も作られました。


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2008.01.10 (Thu)

名作で見るボーカロイドの歴史5

激動の2007年は終わり、ついに「CV02鏡音リン・レン」が発売されて、新年を迎えます。
ボーカロイドの2008年は、鏡音祭りで幕を開けました。
期待度の高かった鏡音レン・レンが年末に発売されると、早速それを使った新曲が次々と投稿されて人気を呼びます。
ところが、多くのニコニコユーザーの意表をついて元旦に投稿された「ぶっちぎりにしてあげる♪」を
筆頭に、次々とロードローラー関連の動画がランキングに上り、全ての話題を掻っ攫ってしまいます。
後にクリプトンも「計算外」と漏らすほどのネタ動画祭り、通称「ロードローラー祭り」です。




 【鏡音レン】鏡音レンに鳥の詩を歌ってもらった【ショタロイド】
ニコニコ動画で「国歌」とまで呼ばれる事のある人気曲「鳥の詩」を、ロック風にアレンジしてレンに歌わせた作品です。
鏡音リン・レンの発売日に丁度ニコニコ動画が長期のメンテナンスに入り、メンテ終了とほぼ同時に投稿されました。鏡音レンの最初のヒット曲です。
リン・レンはミクと比べると非常に滑舌が悪く、ただ歌詞を打ち込んだだけでは不明瞭にしか歌えません。特にレンはどうやっても鼻声が抜けないので、なかなか使いこなせないと言われています。
この曲では、発売日に投稿されたとは思えないほど上手く調教されていますが、それでも機械的な部分がかなり残ってしまっています。
しかし、アレンジの良さとその美声で多くの女性ファンを獲得し、元々人気曲だった上に、メンテ明けで再生が集中したという好条件ではあったものの、たったの14時間18分で殿堂入り(10万再生)を果たすという快挙を成し遂げました。
これは、全VOCALOID関連動画の中でも最速の初動記録で、いまだに破られていません。
ちなみに他のボーカロイドの最速殿堂入り記録は、「みくみくにしてあげる♪」21時間40分、
下の「リンリンリンってしてくりん」18時間30分、「咲音メイコ・星間飛行」21時間12分、
「島唄-KAITO」18時間45分(その内メンテが3時間)、ルカの「RIP=RELEASE」21時間4分、
となっています。(漏れがあるかもしれないので参考程度です)
「ミクの弟・鏡音レン」



 【鏡音リン】リンリンリンってしてくりん【オリジナルソング】
発売日に、上の「鳥の詩」とほぼ同時(4分差)に投稿された、鏡音リンオリジナル曲です。
「みくみくにしてあげる♪」を意識したような、リンの名前をサビのフレーズに使ったキャラクターソングで、「リン」を電話のベル(の音がする携帯の着信音)に見立てた可愛い感じの曲です。
調教の難しさで定評のあったリンですが、この曲の作者「ジェバンニP」のリンには他の作者にあるような独特の癖や訛りがほとんど無く、リンを使った曲として最初の、そして最速の殿堂入りを果たしました。
作者のジェバンニPはこの曲が初のボーカロイド作品ですが、手に入れてからたった一晩でこれだけのオリジナル曲を仕上げて投稿、そしてその日のうちにもう一曲「リンカーネーション」を投稿します。さらに翌日に3曲目の「ドント☆クライ」、そのまた翌日に「さよなら、ニコニコ動画」を投稿し、なんと
3日で4曲のオリジナル曲を発表するという離れ業をやってのけます。
その驚くべき仕事の速さと独自の調教技術から「ジェバンニ」(由来)の名を贈られました。
そして、この後もいくつものリンのキャラクターソングを作って殿堂入りを果たし、「伝説のリン廃」タグを付けられています。ジェバンニPもそれを受けて、オリジナル曲「リン廃宣言 」を作りました。
「ミクの妹・鏡音リン」



 VOCALOID2 鏡音リン・レンに「Ievan Polkka」を歌わせてみた(仮ver.)
初音ミク発売の時と同じく、リン・レンでもロイツマ(Ievan Polkka)が作られました。
作者も同じOtomaniaさんで、いつかもう一度ミクに歌わせようとしていたロイツマの歌唱データ改良版を、リンに流用したのがこの動画だそうです。ミク版よりも流暢にハキハキと歌っていて、視聴者はこの動画でミク版と比較して、改めてリンの実力を見る事になりました。
ちなみに、レンはバックのコーラスというか、伴奏の一部を担当しています。デビュー直後から不遇な扱いです。
タイトルが(仮ver.)となっていて画面が一枚絵しかないのは、当時、リン・レンにミクの「ネギ」に当たる何を持たせるか、という「持ち物論争」が各所で激化していて、ミクのネギを決定したロイツマでOtomaniaさんが何を持たせるのかに注目が集まっていたため、論争が落ち着くまで混乱を避けたのではないかと言われています。
結局すぐに「ロードローラー祭り」に突入してしまい、残念な事に動画版がアップされる事はありませんでした。



 【鏡音リン】ぶっちぎりにしてあげる♪【ロードローラー最速伝説】
リン・レンの発売前、発売が待ちきれない一部のボーカロイドファン達は、ネタ化に非常に便利だったミクの「ネギ」のように、何かをリンレンにも持たせようという論争、通称「持ち物戦争」を繰り広げていました。
みかん派バナナ派たくあん派などが牽制し合うなか、突然現れたこの曲「ぶっちぎりにしてあげる♪」でロードローラーのインパクトと唐突さが大ウケし、関連動画が爆発的に増殖、「ロードローラー祭り」と呼ばれるほどの騒ぎになり、勝負は一瞬で決してしまいました。(とはいえ、別にロードローラーに縛られるわけではないので、みかんやバナナを持たせた動画はその後も発表されています)
ロードローラーの大元はこの動画で、その後ピアプロでロードローラー関連のイラストが流行、それがニコニコ動画に逆輸入されて、鏡音リン・レン発売と同時にこの曲や逆襲のロードローラーなど、ピアプロのイラストを使った大量のロードローラー動画が生まれたのです。
しかし、リンの調教が難しかったためか初期は本気曲にあまり人気が出ず、発売早々ネタ動画に比率が偏る事になってしまいました。
不幸な事に、このネタキャラとしてのイメージはしばらく後を引いてしまいます。
「ACZEROで語る鏡音レン2~持物編」も見るとよく解る。かもしれません。
「なんでタコ?持ち物戦争(2)」


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2008.01.12 (Sat)

名作で見るボーカロイドの歴史6

鏡音祭りが一段落した1月の後半から春にかけて、初音ミクがニコニコ動画を飛び出して活躍の場を広めるきっかけとなる、いくつかの試みが始まりました。
一つは、年末の騒動をきっかけに作られた新たなシステムによって、初音ミクに関する創作物の
商品化が本格的に始まった事です。
まず、1月に初の公認ミク曲CD「星のカケラ」が発売され、その収録曲がカラオケ配信されます。
2月には初音ミクがイメージソングを歌うPS2ゲーム「トリノホシ」が発売。そして3月には、記録的な大ヒット商品となる「ねんどろいど初音ミク」が発売されました。
そしてもう一つ、お金とは関係なく、初音ミクの曲が全国に広がるきっかけとなる「桜ノ雨プロジェクト」も、この時期に始まっています。
商品化も桜ノ雨プロジェクトも、結果が出るのはこれよりもう少し先になりますが、内輪のブームから外の世界へ大きく広がっていく第一歩を踏み出した時期といえるかもしれません。

また、この時期にMEIKOとKAITOの新しい可能性を見せた大ヒット曲が続けて生まれ、VOCALOID1ペアの知名度も一気に高まります。新しく生まれた鏡音リン・レンと並んでボーカロイドファミリーとして定着し、発表されるオリジナル曲の比率においても「初音ミクブーム」から、「ボーカロイド(ボカロ)ブーム」へと本格的に移行した時期といえるでしょう。




 「歌に形はないけれど」 オリジナル曲 vo.初音ミク
doriko(きりたんP)による、初音ミクオリジナル曲。
静かに語りかけるようなバラード曲です。
この曲は発表と同時に人気となり、dorikoさんの次の作品である「夕日坂」とともにCD化されて、カラオケ配信もされました。そして、オリコンランキングで「歌に形はないけれど」が25位、「夕日坂」が21位に同時ランクインします。
初音ミク楽曲のオリコン入りはこれが初で、それまで初音ミク曲のCDはイベントなどでは多数販売されていましたが、一般販売でも通用する事を示した最初の曲でした。そして、ボカロ曲一般流通CD化の流れの先駆けとなりました。
オリコンには、後にkzさんの「Re:package」(デイリー2位、週間5位)や、OSTER projectの「みくのかんづめ」(デイリー8位、週間21位)などもランクインしています。
「ミクバラードの神 doriko作品」



 島唄 - KAITO
名曲「島唄」をKAITOでカバーした「涼之介P」の作品を、別の人が高音質調整した作品。
声にクセのあるKAITOが非常に人間らしく歌っている神調教作品です。
カバー曲でありながら、そしてKAITOでは初の、総合ランキング1位に輝きました。
それまで多くの人は、「初音ミク」は知っていてもKAITOは知らなかったり、知っていてもネタキャラとしてでしたが、この曲はネタだけでないKAITOの実力をニコニコユーザーに知らしめることになります。
この曲と同時期には、他にも「蒼い鳥」「WITHOUT END」「空と君のあいだに」などの名カバー曲がランキングに上っていました。そして、「島唄」やこれらの曲によってKAITOの知名度が一気に上昇、オリジナル曲は数倍に増え、売り上げも伸びて売り切れ状態になるほどになりました。
KAITO躍進のきっかけとなった曲と言えます。
作者の「涼之介P」さんは、元は「ディレイラマ」使いだったようですが、その経験がこの神調教の技術に繋がったのかどうかは不明です。
なお、元動画は涼之介Pによって消されていて、現在は残っていません。



 【ロリMEIKO】 Nostalogic (radio edit) 【オリジナル曲】
「yuukiss」さんによる、MEIKOオリジナル曲。
曲の一部を初音ミク発売直後の9月に投稿していて、それから半年かけて作り上げたという動画です。最大の特徴はその声で、ミクに対抗するというコンセプトの通り、可愛くて幼い声に調声されています。
「ロリMEIKO」と名付けられたこの調教法は、それまでの「大人で本格的なシンガー」というある意味ネタ化を阻んでいたイメージを覆し、MEIKOオリジナル曲として最大のヒットとなりました。
後に大ヒットする「咲音メイコ」シリーズなどに続いて行く、「ロリMEIKO」人気の原点となった作品です。
またこの曲は、後にボーカロイドジャンルと関係の深いプロの舞踊家「Yumiko」さんが振り付けをして踊った事で、「踊ってみた」でも知られるようになります。そして、2010年3月には最初からYumikoさんのダンスPVを付けた正式なフル版が発表され、クオリティの高いダンスと楽曲のコラボが話題になりました。最初に試作版が発表されてから、実に2年半ぶりの完成ということになりました。
作者のyuukissさんは、この動画を発表した三ヵ月後に「ぼかりす騒動」で再び画期的な調教法「ぼかんないんです><」を編み出して、注目される事になります。
→「ボカロオリジナルを踊って演じて~してみた」へ



 【3DCG】くるっと・おどって・初音ミク【ねんどろいど】
アニメ「ケロロ軍曹」のED「くるっと・まわって・いっかいてん」にのせて、デフォルメ3DCGのボーカロイドと亜種たちが踊る動画です。
まるで実物の人形のような質感のCGが大人気になり、現在もニコニコ動画歴代総合マイリストランキングで上位に入っている他、YouTubeにも転載させていて非常に人気があります。
後に、デフォルメフィギュア・ねんどろいどシリーズの発売元である「Good Smile Company」から、ニコニコ動画の時報を使って作者に呼び出し(指名手配)がかかったことでも有名で、ねんどろいどミクに続いて発売が決まっていたリンのデザインのために呼び出されたのではないかと話題になりました。
実際に出頭してデザインを依頼されたかどうかは不明ですが、このボーカロイドのねんどろいどシリーズはGood Smile Company始まって以来最大のヒットとなり、再販するたびに品切れが続出しているそうです。



 【 初音ミク / 桜ノ雨 】オリジナル曲
プロのバンド活動をしているhalyosyさんによる、初音ミクオリジナル曲です。
学校生活最後の日を迎えての想いを歌った卒業ソングで、多くの現役学生の支持を集めました。
そして後に、halyosyこと作曲者・森晴義さんの強い想いを受けて、この曲のファンたちによって実際に卒業式ソングとして広めようという活動「桜ノ雨プロジェクト」が始まります。
合唱曲としてのパート分けや、ピアノやパートごとの楽譜の配布。練習用音源などが作られ、ダウンロードできるように用意されました。ネット上で一人一人が各パートを歌ったものを合わせた262名によるバーチャル合唱や、吹奏楽に使う楽器演奏を合わせたバーチャル合奏なども作られ、学校関係者への説明や各種ダウンロードができる公式サイトも作られています。
そして、多くのファンに支えられたこのプロジェクトは、一年後の卒業シーズンに実を結ぶ事になりました。2009年春、全国119校の卒業式で「桜ノ雨」が合唱される事になり、テレビ・新聞などでも報道されています。まあ、もう初音ミクとはそれほど関係のない「森晴義氏の合唱曲」ではありますが。
プロジェクト応援動画


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2008.01.14 (Mon)

名作で見るボーカロイドの歴史7

様々な事が決まって順調に動き出した2008年春から年末にかけては、それまでの新しい事づくめの日々と比べれば重要な話題も少なく、ボーカロイドジャンルが初めての安定期に入った時期でした。
しかし、その中でも春から初夏にかけては比較的大きな話題が集中していて、特にいくつかの重要な技術が誕生しています。MMD、UTAU、ぼかりすなど、どれも後に大きく発展して注目を浴びる技術です。
また、発売直後こそ盛り上がったものの、その扱いづらさで普通の作品が伸び悩んでネタキャライメージばかりが先行していた「鏡音リン・レン」の真価が見直され、後にリン・レンの得意分野と言われるようになる「物語音楽」がクローズアップされたのもこの時期です。
そして7月には、鏡音の欠点を補正するためのアップデート「鏡音リン・レンact2」がリリースされ、リン・レンは新しい歌声を手に入れる事になりました。このact2制作の技術は、発売直後に神調教を連発してファンを驚かせたCV03「巡音ルカ」の開発に大きく影響したことがインタビューで語られています。




 3Dミクを躍らせるツールを自作してみた(説明前編)
ミクを自由に踊らせるフリーの3DPV製作ソフト「MikuMikuDance」の説明動画。今ではボーカロイド以外にも広がりつつある傑作ツールの原点となった動画です。
色々あるPVの中でも3DPVは非常に敷居の高い技術でしたが、このツールの登場によって誰でも
(それまでに比べればはるかに)短時間で3Dミクを動かす事ができるようになりました。
とにかく動作が軽く、低スペックのPCでも動かせるのが特徴です。操作も覚えやすく、「誰でも使える」事を最も重視して作られているのが解ります。
その分、専用3Dモデルは細部が簡略化されたモデルではありますが、ダイナミックな動きと豊かな表情が独特の魅力を持っています。
このソフトの登場で3Dの専門技術や絵心がなくてもPVを作れるようになり、ボーカロイドの映像面での敷居がぐっと低くなったと言えます。
このサイトでダウンロード方法と詳しい説明を見ることができます。
「MMD・みくみくダンスPV」



 【VOCALOID】重音テト【第三弾】
ロリ声VIPPER「小山乃舞世」さんが歌う、「みくみく」の替え歌「てっとてとにしてあげる♪」です。
この動画は、まだ発表されていない偽のCV3を作ってニコニコ視聴者を釣ろうと画策したVIPPER達によって作られたエイプリルフールの騙し企画で、偽の新VOCALOID「重音テト」の容姿や設定、歌の歌詞など全てが安価スレ(指定されたレス番号の書き込みや指示を問答無用で採用するVIP特有のスリリングな遊び)で決められました。(詳細な経緯の説明動画)
この動画自体は普通のエイプリルフールネタ動画で終わりましたが、ここで誕生したキャラクター
「重音テト」は、丁度3月に完成したばかりだったフリーソフト「UTAU」と結びついて生き残る事になります。この企画に声で参加していた「小山乃舞世」さんの熱心な協力もあって実体を得る事ができたテトは、後に「弱音ハク」「亞北ネル」とともに「三大亜種」と呼ばれる人気派生キャラクターとして定着しました。
また、象徴となるキャラクターを得た「UTAU」もテトと共に知名度を上げていき、使用者や音声提供者を増やしていきました。
あくまで「人力VOCALOID支援ツール」であった「UTAU」と、歌声合成と自作音楽を得意とする「ボーカロイド」を結びつけ、ユーザーが音声を提供することで無数に選択肢を増やしていける歌声合成
ソフトとして一ジャンルに発展するきっかけを作った動画と言えます。
「二次創作から公認へ・ボーカロイド亜種」「無料ボーカロイド? UTAUファミリー」



 【鏡音リン・レン】下剋上(完)【オリジナル曲】
ブームを巻き起こした「初音ミク」の後継ソフトとして期待されていた「鏡音リン・レン」は発売と同時に大きな祭りになりましたが、そのVOCALOIDソフトとしての扱いの難しさから使いこなせるユーザーが少なく、先行していたネタキャライメージが落ち着くと伸び悩むようになっていました。トラボルタPやマチゲリータPなど一部のPは人気がありましたが、発売当時一部で予想されていたようなミクとの世代交代はおこらず、ランキングもほとんどがミクの曲でした。
この作品は、そんな厳しい状況の中で「おk、緑は、敵だ」と勇ましく宣言し、鏡音ユーザーとファンに発破をかけるために作られた応援歌です。
この曲に後押しされたからかどうかは解りませんが、同時期に発表された「ココロ」「悪ノ娘」は後にリンレンの代表曲といわれるほどの人気作となり、さらに3ヵ月後には待望の修正版(ACT2)がリリースされるなど、徐々に鏡音リン・レンも勢いを増していく事になります。



 【初音ミク】 PROLOGUE 【ぼかりす】


 【初音ミク】 Dearest (yks remix)+α 【カバー曲】
一時ボーカロイドファンを騒然とさせた、「ぼかりす騒動」とでも言うべき騒ぎのきっかけとなった動画が上の「PROLOGUE」です。
最初この動画は、タイトルと「ぼかりす」という言葉以外何の説明文もなく投稿されて、作者も曲もまったく謎の動画でした。しかし、その生々しいほどにリアルな歌い方はこれまでの初音ミクとはまったく違うもので、大きな反響を呼ぶことになります。
すぐにこの曲がフリーの研究素材として使用されている曲である事が判明し、「ぼかりす」という謎の言葉は「VocaListener(ボーカリスナー)」の事ではないかと突き止められます。
「VocaListener」とは、産業技術総合研究所(産総研)によって開発されていた「ユーザ歌唱を真似る歌声合成パラメータを自動推定するシステム」の事で、大まかに言うと人間が歌ったデータをそのままVOCALOIDの歌に自動変換して、さらに音を外した部分などを自動補正してくれるシステムです。
この技術はネットニュースなどでも「神調教を超えた全自動システム」として取り上げられました。
しかし、「自由に歌わせられるソフト」であるVOCALOIDのファンにとっては、言ってみればボイスチェンジャーのようなシステムに「超えられた」という観方をされる事に反発も多くありました。
そんな賛否両論が巻き起こる中、yuukissさんがぼかりすを解析して「Dearest MEIKO版」「Dearest ミク版」を発表。ぼかりすに対抗する新しい調教技術に「ぼかんないんです><」と名づけ、そのデータを公開しました。この動画と技術もまた評判となり、この調教法は後に「月の浜辺」などいくつもの名作で応用されることになります。特にMEIKOとミクの「Dearest」は現在でも神調教の最高峰とされていて、VOCALOIDの性能を説明するときに、よく例として挙げられる動画です。
やがて開発者が、ぼかりすは「VocaListener」技術のデモンストレーションだった事を明かし、どういった目的の技術なのかも明らかにした事で騒動は収まりました。
この騒動が結果的にVOCALOIDの限界を引き上げ、後にVOCALOIDカバー曲の代表作とされる多くの名作動画を残す事になったのです。
「人に近付くミクの歌声 ぼかりす騒動」



 【鏡音レン】悪ノ召使【中世物語風オリジナル】
ある国の王家に生まれた双子(リン・レン)の辿る悲劇的な物語を歌ったレンオリジナル曲で、もう一つのリンオリジナル曲「悪ノ娘」と対になる、「悪ノP」の作品です。act2がリリースされる以前の作品で、やはり滑舌に問題はあるものの、声のキャラクター性と魅力的なストーリーに多くのファンが付き、レンオリジナル曲の中で圧倒的な再生数を持つ、レンの代表曲となりました。
同じ物語調の曲では、この作品より前の3月に投稿されたトラボルタPのリンオリジナル曲「ココロ」も当時非常に人気が高く、VOCALOIDランキングで一位も取った大ヒット曲でした。この2つのシリーズの大ヒットによって物語音楽はリン・レンの得意ジャンルとされるようになり、後にこの2曲の物語を原作として舞台劇化もされています。
→「ドラマチックな悪ノ悲劇物語 悪ノP作品」、「優しい視線の物語世界 トラボルタP作品」へ



 初音ミクがオリジナルを歌ってくれたよ「ブラック★ロックシューター」
「メルト」の作者である人気作者ryoさんによるオリジナル曲で、イラストレーター「huke」さんのイラストからインスピレーションを得て作られたというオリジナル曲です。元のイラストは2007年12月26日にpixivで発表されたもので、詳しい背景設定やストーリーなどのないオリジナルキャラクター「ブラック★ロックシューター」のために作られたこのテーマソングによって、その名はボーカロイドジャンルの中で一躍有名になりました。PVは原作者のhukeさん自身によって作られています。
ryoさんはこの曲のわずか半月前にもう一つの大ヒットオリジナル曲「ワールドイズマイン」を投稿していて、どちらもミリオンを軽く超える大ヒット曲となってVOCALOIDランキングに長くランクインし続ける事になります。
「ボーカロイドオリジナル曲のイメージを元にしたフィギュア商品化」がされたのもこの「ブラック★ロックシューター」が最初で、それが好評だったため同じryoさんのヒット曲「ワールドイズマイン」「恋は戦争」などもフィギュア化される事になり、ボーカロイドジャンルからの新しい商品化展開を作り出しました。
また2010年には、フィギュアメーカー・グッドスマイルカンパニー提供で「ブラック★ロックシューター」のアニメ化も計画されており、斬新な販売方法なども含めて大きな話題になっています。



 【鏡音リンACT.2】蚊に刺された
癖の強さと滑舌の悪さが目立つため「使いにくい」「未完成」と言われていた鏡音リン・レンでしたが、発売から半年たって待望の再調整版「鏡音リン・レンACT2」へのアップデートが開始されました。
この動画は、鏡音ACT2を使った一番最初の作品です。
ノーマル版との違いは、やはり滑舌の悪さと発音の癖を減らしている事です。全体的に柔らかい発音になり、不自然な部分はかなり減っています。それでも、アップグレード当初は「まあ、変わったと言えば変わったかな?」というぐらいの微妙な反応が多く、それほど大きな話題にはなりませんでした。
ACT2は新録も多く滑舌の問題はかなり修正されているものの、癖のある音を多く削り全体的に調整したためにリン・レンならではの良さも少なくなってしまったとして、修正前のバージョンを使い続ける作者もいます。とはいえ、それは修正前バージョンを使いこなす技術のあった一部上級者の話で、格段に使いやすくなって敷居が低くなったのは確かです。アップデート版ではノーマル版とACT2版両方のライブラリが使えるので、臨機応変に使い分ける作者もいるようです。
この鏡音リン・レンAct2の製作には多くの試行錯誤があり、その技術が後に「巡音ルカ」の滑らかな歌声を作り出す礎となりました。ルカ発売後のクリプトンのインタビューでは「ACT2がなければ、ルカはできなかったかもしれない」と語られています。


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2008.01.15 (Tue)

名作で見るボーカロイドの歴史8

安定期とされる2008年の中でも、特に8月から12月にかけては、評判の良くなかった公式ランキング改変の影響もありボーカロイド系動画の勢いもそれまでと比べて低調気味になっています。
この時期の最も大きな話題としては、クリプトン社以外から初めて発売された日本語ボーカロイド「がくっぽいど」の発売があります。がくっぽいどは、モデルとなったGACKTの歌声をリアルに再現した個性的なボーカロイドでしたが、それまでとは方向性が大きく違ったためか作品数が少なく、「ミク」「リン・レン」の時ほどの祭りにはなりませんでした。
そして「がくっぽいど」発売記念の投稿動画が一段落付くと、ボーカロイドジャンルに長い停滞の秋が訪れます。期待されていた「CV03」に関しては音沙汰なく、ニコニコの外ではピアプロコラボが盛んに行われていたものの、他にボーカロイド全体に影響するような話題もこれといって無い状態が続きました。
しかし、この時期がボーカロイドジャンルにとってまったく意味のない低迷期だったかと言うと、そんなことはありませんでした。
ブームが始まって一周年の区切りとなる初音ミク誕生祭や、第1回MMD杯、第1回Voc@loidM@ster祭り、第1回MMD体育祭、MEIKO生誕祭2008、突発企画キミに☆スプラッシュ、GET WILD祭りなど、多くのボーカロイド系ユーザー企画イベントがこの時期に初めて企画開催されています。
それまでは、ブームを盛り上げる話題は何もしなくても次から次へと湧いて出るものでしたが、企業や一部の名作に頼るだけでなく、初めてユーザー達が一致団結して自らジャンルを盛り上げていこうと行動し始めたのがこの時期でした。
「安定期」の2008年のこの時期に培われたもの、後の発展に繋がる様々な新技術や、ジャンルとしてボーカロイドを盛り上げていこうというファンの意識が、2009年の大躍進に繋がっていったのかも知れません。




 【がくっぽいど】ヨミビトシラズ(ワンコーラス)【オリジナル】∀
VOCALOID2「がくっぽいど」が発売されて、最初に投稿されたオリジナル曲です(ミクでは発表済み)
がくっぽいどは日本語ボーカロイドとしては5本目のソフトで、インターネット社初のボーカロイドです。
有名歌手のGacktさんの声から作られていて、Gacktファンクラブ限定バージョンや、テレビの歌番組でのデモンストレーションなど、クリプトン製ボーカロイドとは違ったプロモーションが行われました。
とても扱いやすいのが特徴で、この動画でも、まだノウハウが確立されていない発売直後とは思えない調声でGacktそっくりに歌っています。KAITOやレンにはない、色っぽい低音です。
しかし、生身の声に近いために逆に本物との違いが目立ってしまい、独特の癖もあるためなかなか所有者数が伸びませんでした。これは、インターネット社第二弾ボーカロイドのコンセプトにも影響を与えたようです。
「侍ボーカロイド・神威がくぽ」



 「神威がくぽ が オリジナル曲 『ダンシング☆サムライ』 を唄う」 の 巻
がくぽ最大のヒット曲で、正式発売当日にしてネタ化の方向を決定付けた傑作です。
ノリのいい曲に合わせて、なんとも気の抜けるイラストのがくぽがナスと共に踊っています。
がくぽ=ナス(精霊馬)というのは発売より数ヶ月前、がくぽのイラストが発表された直後から言われていて、そのまま定着してしまいました。
なかなかオリジナルのガチ曲に人気が出ないのも、このネタ先行のイメージのせいかも知れないですが、まあ公式からして「歌う侍」なのでネタキャラ化はある意味当然な気もします。
ルカ発売時のクリプトンのインタビューでは、リンのロードローラーやがくぽのネタ化のような盛り上がり方を警戒して、情報の出し方に気を配ったと言っています。



 【6人で】ガチで星間飛行+がくぽ・修正版【キラッ☆】
アニメ「マクロスF」の挿入歌「星間飛行」を、ミク・リン・MEIKO(咲音メイコ)・レン・KAITO・がくぽの6人で合唱(斉唱)した動画です。元はそれぞれ別のPの作品を後から編集で合わせたもので、パート分けや「アバター」など、「歌ってみた」の合唱シリーズの手法が取り入れられています。
この時期、ニコニコ動画ではこの「星間飛行」が大変なブームになっていて、その流行はボーカロイドジャンルにも大きな影響を及ぼしました。
多くのPがこの曲をカバーして、その中の一つ【初音ミク】星間飛行【カバー】がぼからん#41で1位を取り、次の週には【MEIKO】咲音メイコ「星間飛行」【カバー】が1位を取るという快挙を成し遂げました。さらに、ボーカロイドジャンルで初めて行われた本格的なユーザー企画イベント「第1回MMD杯」でもこの曲の振り付け動画が優勝しています。大変な席巻っぷりです。
それだけでなく、「星間飛行」のボーカロイドも巻き込んだ大きな祭りが、後にインターネット社の第二弾VOCALOIDの声とイラストデザインの決定に影響を及ぼすことになります。この曲のヒットがなければ、恐らく「メグッポイド」は存在しなかったでしょう。そういう意味でもこのブームは大きな出来事でした。



 作ってみた 特別編
「CGM型コンテンツ投稿サイト・ピアプロ」が誕生してから、CGM(ネットなどを使った消費者生成メディア)を盛り上げる新しい試みとして、いくつかのコラボ企画がピアプロ上で行われていました。特に2008年夏ごろからは、様々な企業と提携してボーカロイドのイラストやオリジナル曲を募集し、それを製品に取り入れるという公式コラボ企画が多く行われるようになります。
SUPER GTに参戦する本物のレースマシンの、車体デザインやチームのエンブレム、テーマ曲、レーシングスーツデザインをピアプロで募集するという企画もその一つで、ニコニコ技術部で有名な「御社」に塗装を依頼したり、グッスマと協力して限定フィギュア付き個人スポンサー募集を行うなど、大きな話題になりました。
この動画は「御社」の作ってみたシリーズ番外編で、SUPER GT参戦のマシン「初音ミク Studie GLAD BMW Z4」(通称ミク号)の塗装を行っている作業風景の動画です。デザインはピアプロで(痛車プラモデルのデザインとして)公募した作品で、動画のBGMもテーマ曲部門の入選作品を使用しています。「また御社かw」が合言葉の社長が珍しくプロとして仕事をしている動画ですが、ねんどろいどミクを持ち込んでさり気なくマシンに乗せているところが流石です。
この後も、講談社、角川書店、SEGA、海老煎の老舗「志満秀」、声優・下田麻美さんのCD企画、PlayStation Home、ネットゲーム「パンヤ」、オリジナルTシャツのtmix、アニメ「宇宙をかける少女」、などと組んで、多くのユーザー参加型コラボ企画が行われています。



 初音ミクオリジナル曲 「未来の歌」
初音ミク発売一周年の日に合わせて投稿された曲です。人気曲「ハジメテノオト」投稿から音沙汰がなかった作者が、一周年のミク誕生日に突然ハジメテノオトと対になるこの曲を投稿して、ファンを驚かせました。
初音ミクの誕生日である8月31日はボーカロイドブームが始まった日でもあります。その一周年の記念日には多くの初音ミク動画が投稿され、この「未来の歌」の他にも「VOCALOIDでニコニコ動画流星群」「8月の花嫁」などの名作が誕生しました。
キャラクターの誕生日を祝う動画投稿祭りはニコニコ動画の他のジャンル、特にアイドルマスタージャンルでは定期的に行われていた習慣で、ボーカロイドではこの2008年のミク誕生日が初めて大々的に行われた誕生祭となりました。
初音ミク発売から始まった歌声合成ソフト「VOCALOID」を中心とする新しいブームは、初音ミクの初年度売上げ40000本以上を記録し、様々な賞をもらったりニュースで度々取り上げられたりと、注目度の高いジャンルに成長しました。それまでには様々な事が起こり、慌しい一年の間に短いながらもそれなりの歴史を積み重ねています。名作動画とともにその極一部を紹介してきましたが、まだまだこの先も紹介したい名作と歴史はたくさんあります。ボーカロイドの歴史は、二年目に入ってもやはり波乱万丈なのです。



 アイドルマスター ~ココロ~
2008年の後半は、ユーザー主催の動画投稿イベントが多く開催されました。
それまでボーカロイドジャンルでの祭りというと、ソフト発売後の突発祭りや、話題の作品を元にした派生動画祭りなどの成り行き任せの祭りがほとんどで、自らイベントを企画して盛り上げようとするタイプの祭りはほとんど行われてきませんでした。このタイプの祭りは、初音ミク誕生祭のあった8月頃から多く行われるようになり、定例イベント化していく祭りも現れます。
「Voc@loidM@ster祭り」もその一つで、Voc@loidM@ster(ボーカロイドマスター)コミュニティ掲示板での発言から始まって後に定例イベントとなる、ボーカロイド・アイドルマスターのジャンル間コラボ動画祭りです。
アイマス側が主導する形で行われたタグロック方式の中規模イベントですが、ボーカロイド・アイマスのコラボ動画が100近く投稿され、両ジャンルのファン同士の交流なども新鮮で、好評でした。
この動画はVoc@loidM@ster祭り参加作品の一つで、アイマスMAD作者「矢夜雨P」による「ココロ」PVです。トラボルタPの人気曲にアイマスの動画技術によるPVを付けたもので、名作が多く生まれた祭りの参加動画の中でも特に人気の高かった作品の一つです。この動画だけでも一つの作品として完成度が高いですが、「~ココロ・キセキ~」「~ココロ/ココロ・キセキ~」も合わせて三つで一つの大作になっています。
「歌姫とアイドルの共演・Voc@loidM@ster」



 【初音ミク】Innocence【3DPV】
2008年末に発表された、オリジナルモデルを使用した名作3DPVです。
この動画は高クオリティの3DPVとして人気になりましたが、もう一つ、「あの楽器プロジェクト」の発祥動画としても知られています。
「あの楽器」とは、PV前半でミクが演奏しているギターともショルダーキーボードとも違うオリジナル楽器のことで、他に呼びようがないので当初はそう呼ばれていました。
このPVを見たある視聴者が、ニコニコ技術部宛に「ニコニコ技術部へのお願い・これ作って!」という動画を投稿します。それをきっかけに、多くの技術部員達がソフト面・ハード面それぞれ異なるアプローチで「イノセンサー」と名付けられたこの楽器を実現化しようという試みを始めました。
ミクのファンを公言し、ニコニコ技術部の熱心な応援者でもある「尻P」ことSF作家・野尻抱介氏幹事による研究成果発表ミーティングが何度も開かれ、企業も参加して途中技術の商品化も行われています。今や企業も関わるニコニコ技術部を挙げた本格的プロジェクトですが、その全てはこのPVから始まったのです。
プロジェクトの詳細は、「あの楽器」タグニコニコ技術部まとめwikiで見ることができます。
PVに使用されている曲は、このPVより一年前に発表された初期の曲で、JASRAC騒動についての作者の思いを歌にしたものです。騒動の発端となった「みくみくにしてあげる」のメロディーが間奏部分に隠されています。
「ニコニコ技術部・ミク実体化への道?」


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2008.01.16 (Wed)

名作で見るボーカロイドの歴史9

安定期に入っていたボーカロイドブームですが、2008年末から2009年始めにかけて、ブーム始まって以来最大の祭りを迎える事になりました。
リン最大のヒット曲となる「炉心融解」を始めとする年末年始の大型新作ラッシュと、待望の新ボーカロイド巡音ルカ発売による「ルカ祭り」と定番の「持ち物戦争」。そして、ボーカロイド関連のユーザー企画として今までにない盛り上がりを見せた「第2回MMD杯」。
これらが立て続けに行われた結果、一年前の「ロードローラー祭り」を上回る規模で公式ランキングを埋め尽くし、実に一ヶ月以上も続く大騒ぎになりました。




 【鏡音リン】炉心融解【オリジナル】
リンの代表曲で、ミクの「メルト」に並ぶほどの大ヒット曲です。260万再生を超える人気曲でしたが、荒らし避けのために一度削除されてDVDバージョンのPVに差し替えられたものが最アップされています。これは、初期バージョンのYouTube転載版です。(新バージョンはこちら)
2008年末に投稿されたこの曲のヒットが、しばらく安定していたボーカロイド界が再び爆発する最初の鳴動となりました。
歌ってみたや合唱、替え歌など多数の関連動画が作られ、この作品をきっかけにしてリンの新しい
ファンも多く生まれました。
そして、この曲の発表された時期を境にしてリンの人気曲の傾向も変わりつつあるようです。
それまでは「物語調のシリアス曲」と「ロリ声を生かした可愛い曲」が人気が出る傾向があったのですが、この「炉心融解」をきっかけとして「いろは唄」「のどが渇く」「のろいのめか゛ね」などの、ちょっと捻くれて斜に構えたような、それでいて若い心の痛みを感じさせるような曲にも人気が出ています。
丁度ミクにとっての「メルト」のように、リンの新しい境地を切り開いた曲と言えるかもしれません。
また、この曲には多くの派生動画が作られましたが、タイトルの駄洒落から思いついたと思われる
ネタ系替え歌「ロリ誘拐」は大人気になり、それぞれ違う作者による全ボーカロイド分のバージョンが作られるという(犯罪臭漂う)シリーズ物になりました。



 【巡音ルカ】 星屑ユートピア 【オリジナル】
「CV03巡音ルカ」が発売された当日に投稿されたルカオリジナル曲です。
ルカ曲最初の殿堂入りとなった動画で、さらに、同じotetsuさんが同日中に投稿したルカ二曲目
「transient future」とランキング1位2位独占を成し遂げました。
発売前に公開されていたルカの公式デモが微妙な出来だったため、ファンはこの作品でルカの性能の高さを初めて知ることになり、大評判になりました。
この曲の他にも多くの作者達がルカ発売に備えて曲をストックしていたようで、発売日になるとotetsuさんの二曲を先頭に「RIP=RELEASE」「Re:present」「Around the World」「Looking for」「巡姫舞踊曲」「革命」「ハローワールド」などの曲が一気に発表されて、ニコニコランキングの上位10位以内を全てボーカロイド動画が占めるという事態になります。VOCALOIDランキングもルカ曲で埋め尽くされ、それがしばらく続きました。まさに「ルカ祭り」です。
ニコニコ動画ではこの時期、大晦日の「兄貴祭り」、正月の「アイマス27時間新年会」、1月終わりの「ルカ祭り」、二月中旬の「MMD杯」と大規模な祭りが続き、ランキングは連日大変な活気でした。
「ミクの最後の妹・巡音ルカ」



 RIP=RELEASE【巡音ルカオリジナル】
みなと(流星P)さんによる作品で、流星Pの過去作であるレンオリジナル曲「SPICE!」のアナザーストーリーであるとされており、不実な恋人に振り回され、悲しみに病んだヒロインの想いが歌われたルカオリジナル曲です。
この曲は発売日当日「星屑ユートピア」の8時間後に発表された動画ですが、人間に近い神調教で、特に今までのボーカロイドには無かったリアルな低音の歌声が視聴者を驚かせました。そしてルカ発売初期の代表曲として人気を集め、ルカ曲の殿堂入りの最短記録と、ボカラン初動ポイント最高記録を作った大ヒット曲となります。
「魅惑の美声ルカ・マスター 流星P作品」へ



 たこルカぽっぴっぽー
リン・レン発売時にあった「持ち物戦争」は、なぜか当然のようにルカの発売時にも勃発しました。もう恒例イベントのようになってしまっているようです。
今度の候補は冷凍マグロ、タコ、グラットンソード、鞭、肉など。当初はpixivでイラストが増殖していたマグロが有利かと思われましたが、リンレンの時とは違い、視聴者はルカの性能の高さとガチ曲の数々に夢中になっていて、ネタ曲への反応はイマイチでした。
そんな中、ルカの英語性能をトーク形式で披露した「巡音ルカ と 英語でおしゃべり!」がランキング上位に上がります。これは、ピアプロで「三月八日」さんが公開していたイラストを発祥とするキャラクター「たこルカ」がリンレンと英語で会話する内容で、英語の発音と共にたこルカも注目を浴びました。そして、この「たこルカぽっぴっぽー」が登場して大人気となった事で、持ち物戦争は「たこルカ」の勝利で終結する事になります。持ち物じゃないですが。
その後、たこルカは早々にMMDにモデルが投入され、専用の「たこルカランキング」が作られたり、「蛸神教」や「クトゥルカ」という怪しいシリーズが生まれたりと、広く愛されているようです。
「なんでタコ?持ち物戦争(2)」



 【巡音ルカ】ダブルラリアット【オリジナル】
個性派作者「アゴアニキP」によるルカオリジナル曲で、巡音ルカ最大のヒット曲です。
巡音ルカ発売から一週間後に発表されたこの曲は、一見ネタ曲に見えて色んな意味を持たせた奥の深い歌詞や、動画に隠された一時停止ギミック(一時停止しても回り続け、場所によって色んなキャラが登場)など、仕掛けの多い動画になっています。特にその歌詞が様々な意味に解釈されて共感を呼び、多くの派生PVや替え歌が作られた事でジャンルを超えた人気になり、巡音ルカで初のミリオン達成動画となりました。
今でもルカ曲の中で圧倒的な再生数を持ち、ルカの代表曲といえる作品です。
→「ネタに隠されたメッセージソング アゴアニキP作品」へ



 【第2回MMD杯本選】ゲキド・オブ・ハツネ
第2回MMD杯の優勝作品です。
「MMD杯」は、決められた大会期間中にMikuMikuDance使用動画を投稿し合い、マイリスト数を競うイベントです。競うと言っても、順位よりもMMDの知名度アップとお祭りを楽しむ事が重視されていて、競争の雰囲気はあまりありません。
第1回は一部のファンによる小規模なイベントという印象でしたが、ルカ祭りの興奮冷めやらぬ時期に開催された第2回大会では、MMD動画がニコニコランキングを埋めるそうになるほどの大盛況となりました。この大会で初めてちゃんとMMD動画を見た人はかなり多かったようで、このイベント以降、新規のMMD投稿者が大幅に増えています。また、大会をきっかけにボーカロイドジャンル以外のユーザーモデル製作も盛り上がっていて、ニコニコオールスターが勢揃いしそうな勢いです。
最初は、「ミクミクダンス」の名前通りミクが一人で踊るためのソフトでしたが、作者の樋口Mさんと多くのファンの手によって進化を続け、数十種類の3Dキャラクターと背景、アイテム類から好きなものを選んで、一度に複数のキャラを自在に動かす事が出来る、汎用3Dアニメソフトに成長していきました。もちろん全てフリーで、モーションデータの共有も盛んに行われているので、誰でもすぐに好きなキャラを動かす事が出来るはずです。
特に、優勝作品であるこの「ゲキド・オブ・ハツネ」の与えたインパクトは強く、第2回MMD杯以降は「ダンス」や「PV」の枠に囚われず、激しいアクションシーンやショートストーリーで見せる短編3Dアニメーション作品が増えています。
完成度が非常に高いものの、あくまで「ダンスPV」だった第1回MMD杯優勝作品と比べると、MMDがどういう進化を遂げてきたかが良く解ると思います。
「MMD・みくみくダンスPV」


2010/2/4更新 人気ブログランキングへ ←押してもらえると励みになりますm(_ _)m

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2008.01.18 (Fri)

名作で見るボーカロイドの歴史10

年始のルカ祭りはニコニコ動画内のボーカロイドジャンルを大きく盛り上げましたが、2009年春は、ニコニコ動画の外でいくつかの重要な出来事が起こりました。
特に3~4月にかけては、ニコニコ動画の外へボーカロイドブームを広げるいくつかのニュースと、VOCALOIDの用途を広げる新技術の発表が大きなトピックとなっています。
ブームの広がりとしては、ryoさんのアルバム「supercell」発売に伴うソニーの大々的なプロモーションと「supercell」のヒットが、ニコニコ以外での「初音ミク」の知名度を押し上げる事になりました。このヒットを皮切りに2009年はボーカロイド系メジャーCDの発売ラッシュとなり、それらが連続でオリコン入りしてCDショップで専用コーナーが作られるなど、非ネット層への浸透と言う意味でも大きな流れを作り出しました。
技術面では、YAMAHAの開発した新技術「NetVOCALOID」と、それを利用したサービスが公開されています。特に、産総研も開発に関わり一年前の「ぼかりす」発表の日に合わせて公開された「Netぼかりす」は、職人の技術とぼかりすの自動システムが融合した新しい段階をファンに見せました。
どちらも、ボーカロイドの未来の展開に大きく影響すると思われる出来事です。




 supercell (ryo feat Hatsune Miku) Melt メルト PV (animated version)
ヒットメーカーryo&supercell初メジャーアルバム「supercell」のソニー公式プロモーションPVです。
前半は漫画家・三輪士郎氏による一枚絵を使ったものですが、終盤ではそのイラストを元にした「GONZO」による本格的なアニメーションシーンがあり、ソニーの本気度が伺えるPVになっています。
この「supercell」は、ボーカロイド作者として最も人気のあるryoさん初のメジャーアルバムと言う事で、今後のボーカロイドCDの売れ行きを占う意味でも注目されたCDでした。
ソニーのプロモーション活動も非常に力が入っており、この動画のプロを起用したアニメPVや、TVCM、有線でメルトやブラック★ロックシューターが繰り返し流されたり、渋谷の町をミクのジャケットイラストと歌でジャックするなど、人気一般アーティストと同じレベルの宣伝が行われました。この時期、町のいたるところで初音ミクの歌声が流されていて、人間の歌声と思って聞いていた人もいたようです。
結果、「supercell」はオリコン初登場デイリー2位、週間4位というヒットとなり、その後も売上げを伸ばし続けて数ヵ月後にはゴールドディスクに認定されました。
この非ネット層を狙った大々的なプロモーションと「supercell」ヒットはメディアで大きく報じられ、それによってミクファンが増えたかどうかは定かではありませんが、一般層への知名度を上げる意味では非常に大きな出来事でした。
「supercell」ヒットの後は、様々なレーベルから毎月のようにボーカロイド系CDが発売される発売ラッシュが始まり、ボーカロイドの歌がオリコン上位に入ることは珍しくなくなっていきます。
初音ミク発売直後に笑い話として語られた夢「町で当たり前のように初音ミクの歌が流れて、オリコン上位にボーカロイドの歌がいくつもランクインする」光景が実際に現実となったと考えると、感慨深いものがあります。
「supercell」発売後のryoさんは、中川翔子さんに楽曲を提供したり、アニメの主題歌を手掛けたりとプロとしての活動をするようになっています。
「ラブソングの大ヒットメーカー ryo作品」



 世界に広がる仮想歌姫「初音ミク」 新進クリエーターに迫る
新聞に掲載されると共にYouTubeで動画版が発表された、朝日新聞による新しい形の初音ミク特集記事です。動画版は連載形式で、第二回目には英語翻訳バージョンも作られて、日本人以外からも多くの反響が書き込まれています。(第1回英語版第2回第3回)
初音ミクやボーカロイドに関する一般メディアの報道としては、TV報道された一番最初のもの(TBS「アッコにおまかせ」のヤラセ特集)が酷いものだった為、当時を知るボーカロイドファンの中にはマスコミアレルギーと言ってもいいぐらいの拒否反応があります。その時に、騙されてオタクバッシングに利用された形になったクリプトンも、以後VOCALOIDの評判に関わる報道にはかなり慎重な姿勢を見せるようになったほどです。
初音ミクやVOCALOIDは今までにない新しい技術と文化であり、特にネット系文化に理解の少ないTV・新聞などのメディアでは、突っ込みどころだらけの的外れな紹介がされる傾向があります。
しかし、毎日新聞と朝日新聞は早くからミクに関する的確な解説記事を載せていて、特に朝日の特集は複数回行われ、ボーカロイド関連で最も的確な紹介記事とファンの中でも評価されています。
朝日新聞で初音ミク特集を担当する記者は、事実確認や予告のために何度か2ch本スレにも現れたことがあり、スレ住人にも劣らないほどの知識と正確な記事を称えられて「朝P」という名誉P名を贈られています。この動画も朝Pが作ったものですが、業務時間外に残業してこの連載記事と動画を作っていたそうで、かなりの情熱で作られた特集記事のようです。
一般にネット系メディアより高い信用度(ネット上では微妙ですが)を持つ朝日新聞の名で行われたこの特集は、ニコニコ以外のネットユーザーや、外国のYouTube視聴者、非ネット層の新聞読者に対しても、初音ミクを中心とするムーブメントがどういうものかを正確に解説する貴重な機会となりました。



 【Mac音ナナ】耳のあるロボットの唄【UTAU】
UTAUを象徴する人気曲「耳のあるロボットの唄」を、「Mac音ナナ」でカバーした作品です。
「Mac音(まくね)ナナ」はMac専門雑誌「Mac Fan」の誌上企画から生まれた音声素材集で、「Macの初音ミク」を目指して人気声優・池澤春菜さんの声を元に作られました。ネット上でダウンロード販売されています。
Reasonで使える「Mac音ナナ」と、GarageBandで使える簡易版「Mac音ナナPetit」がありますが、ニコニコ動画上ではUTAUの音源として使われることが最も多くなっています。
あくまで「音声素材集」であってVOCALOIDのような機能はなく、ちょっと変わった有料UTAU音源の一つという評価に落ち着くかと思われましたが、Mac音ファミリーの姉「Mac音ココ」が製作中であり、担当声優は「井上喜久子」さんであることが7月に発表されてボーカロイドファンを驚かせました。
池澤春菜さん・井上喜久子さんともに一線級の有名声優であり、その人脈でシリーズを増やしていくとすればいずれ一気に存在感が増してくるかもしれません。UTAUの技術も進化しており、今後に注目したいシリーズです。
「ミクの先輩後輩達・別ソフトのキャラクター」



 ケータイがくっぽいど登場!


 【初音ミク】「Survivor」【ぼかりす×匿名希望の東京都在住】
上は「NetVOCALOID」正式サービスの一つ「ケータイがくっぽいど」の公式解説動画、下は「Netぼかりす」αテスターの一人「杏あめ(匿名希望の東京都在住)」さんによる、Netぼかりすを使ったオリジナル曲です。
「NetVOCALOID(ネットヴォーカロイド)」はYAMAHAが開発した新技術で、ネットワーク上のサーバーでVOCALOIDなどの音楽ソフトを動作させる「Y2プロジェクト」として開発されました。
これは、ユーザーのデータ入力をネットで送信するとサーバー上のVOCALOIDやぼかりすが歌声合成したデータを送り返してくるというもので、直接ソフトを持っていなくてもPCや携帯からボーカロイドを歌わせる事ができます。
この「NetVOCALOID」の技術を使ったサービスは現在2種類発表されていて、その内非DTMユーザー向けのサービスである「ミクと歌おう♪」「ケータイがくっぽいど」は、VOCALOIDを所有していなくても携帯から気軽にミクやがくっぽいどに歌わせられるというサービスです。部分的に短い歌詞を入力できるだけというお遊び的なサービスではありますが、ネット上でVOCALOIDを動かすという技術は色々と応用が利きそうです。今後、たとえばゲームなどに応用する事もできるかもしれません。
もう一つの「Netぼかりす」はYAMAHAと産総研が協力して開発しているVOCALOIDユーザー向けのサービスで、その名の通り「ぼかりす」をネットを介して一般ユーザーにも使用できるようにするものです。
→「ぼかりす」については「人に近付くミクの歌声 ぼかりす騒動」
現在はまだαテストが行われた段階で、数人のP達が選ばれてテスターとして作品を発表しています。まだ一部の機能が使えないものの、使いこなす事ができればかなり人に近付ける事ができるようです。
この「NetVOCALOID」の開発は、YAMAHAがVOCALOIDのDTM音源としての性能を上げるだけでなく、より一般的な、様々な用途に使える技術に育てていこうとしている事を示しているのかもしれません。



 【初音ミク】無限の闇―echo of the past【オリジナル 】
「リッジレーサーシリーズ」や「太鼓の達人」など人気の高いゲーム音楽を手掛けた作曲家「細江慎治(めがP)」さんが作った初音ミクオリジナル曲に、「カードキャプターさくら」「ツバサ」「こばと」の原作や「コードギアス 反逆のルルーシュ」のキャラクターデザインで有名な人気作家集団「CLAMP」が手書きPVを付けた作品です。また、両プロを引き合わせてこの動画を投稿した「三原一郎」氏は、「ストリートファイターEX」シリーズの開発元である株式会社アリカの副社長でもあります。
非常に豪華な顔ぶれのプロによるコラボ作品で、CLAMP公式サイトで公開された動画制作の経緯についての説明によると、元々CLAMPが初音ミク作品が好きで、中でも特に気に入っていたのが細江慎治さんの初音ミク処女作「無限の闇」だったようです。そして、PVを作りたいと思い立って共通の知人である三原さんの紹介で細江さんへ連絡して許可を取り、忙しい仕事の合間にメンバーで少しずつ書き上げて完成させたPVだと説明されています。CLAMPが初音ミクファンだというのは他の雑誌でも語られていて、どうやら本当のようです。
元々ボーカロイドジャンルで活躍するPや絵師達の中には現役プロや元プロも多く、判明している人だけでもそそそP、はややP、シグナルP、とくPなどちょっと多すぎて全ては挙げられない位いて、作品を発表しています。必ずしもプロの作品に人気が出るわけではありませんが、この作品は特に有名な現役プロによるコラボのため大きな話題になり、ニュースサイトなどでも報じられました。


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2008.01.20 (Sun)

名作で見るボーカロイドの歴史11

2009年の6~8月は、前年の静かな夏とは異なりボーカロイドジャンルにとって話題が多い時期となりました。
ボーカロイド楽曲が次々とメジャーCD化され、クリプトンによる新型初音ミクの存在も徐々に公開される中、リアルな歌声を持つ新ボーカロイド「メグッポイド」の発売、初音ミク初のゲーム化「初音ミク-ProjectDIVA-」の大ヒット、初音ミク初のライブ出演と「ブラック★ロックシューター」アニメ化の決定など、大きな出来事が立て続けに起こっています。どれもニコニコ動画の外にも広く報じられたニュースで、特に「初音ミク-ProjectDIVA-」のヒットは新たなボーカロイドファンの獲得に大きく貢献すると共に、新しい初音ミクの「顔」ともいえるDIVAモデルを生み出しました。
また、この時期には風刺動画「白いクスリ」を巡っての議論が起こり、一部のコミュニティを騒がせています。ジャンルへの大きな影響はありませんでしたが、ボーカロイドと初音ミクが、ニコニコ動画の外からもある程度注目されるジャンルになっている事が解る出来事。と言えるかもしれません。




 メグッポイド「メグメグ☆ファイアーエンドレスナイト」【オリジナル】
メグッポイド発売日当日に投稿された作品で、一番最初に殿堂入りしたGUMIオリジナル曲です。
インターネット社の第二弾ボーカロイド「メグッポイド」は、ニコニコ動画でも当時人気の高かったアニメマクロスFのヒロイン「ランカ・リー」役の中島愛さんの声から作られ、パッケージイラストにはベテラン漫画家「ゆうきまさみ」さんを起用してそのデザインが賛否両論を呼んだりと、発売前から大きな話題となっています。公式デモがニコニコニュースで大々的に宣伝されたり、発売に先行して時報に採用されたりと、ニコニコ動画と連携したプロモーションも盛んに行われました。
そんな中で迎えたメグッポイド発売と「GUMI祭り」では、がくっぽいど発売時と比べても多くの作品が投稿されて、人気曲も生まれました。特に、この「メグメグ☆ファイアーエンドレスナイト」と、とくPの
blue bird」、少し遅れて投稿されたささくれPの「ぼくらの16bit戦争」の3曲に人気が集まり、ほぼ同じ再生数で人気を分けています。
とはいえ、やはりCVシリーズほどの祭りにはならず、特にネタや持ち物方面では盛り上がりきらなかったため、キャラクターの定着にはいたりませんでした。
この曲は多彩なボーカロイドと曲調を使いこなす古参P「samfree」さんの作品で、他にもルカの「ルカルカ★ナイトフィーバー」、mikiの「ミキミキ★ロマンティックナイト」など、キャラクター名をタイトルにしたノリのいいユーロビートを作っています。このシリーズは「歌ってみた」でも人気が高く、新ボーカロイド発売祭りでの恒例シリーズとなりました。
→「がくぽの妹・GUMI」へ



 メグッポイドで Miracle∞Gumiracle 【東方vocalカバー】
神調教職人ハロPによる東方VOCALOID作品で、原曲はIOSYSさんの「東方想幽森雛」収録曲「Miracle∞Hinacle」です。メグッポイドのリアルな歌声にハロPならではの神調教が加わり、その高性能をジャンルを超えて広く知らしめた名カバー作品です。
メグッポイドは声を担当した声優・歌手「中島愛」さんの歌声をリアルに再現するように調整されたボーカロイドで、滑舌に多少難があり扱いにはコツが必要なものの、使いこなす事ができれば今までの女声ボーカロイドの中で最も生々しくリアルな歌声を作り出す事ができます。「人の歌声に近付く」という部分で非常に高い性能を持っている反面、歌声に中の人のイメージが強く出てしまい、キャラクターとしての人気はまだそれほど高くありません。歌声自体にもがくっぽいどのようなアクは無く素直ですが、その分無個性で印象に残り難い声と言われることもあるようです。
そのためかメグッポイドではカバー曲が評価される事が多く、この曲や「Bad Apple!!」「君の知らない物語」のような神調教カバー作品に人気が出る傾向があるようです。
声のリアルさと癖のなさから、プロによるボーカロイドの用途の一つである「仮歌歌手」としての使用に最も適したボーカロイドかもしれません。



【ProjectDIVAエディット】恋スルVOC@LOID -テイクゼロ-【初音ミク】
初音ミク初のゲーム化作品「初音ミク-ProjectDIVA-」のエディット機能で作られた作品で、OSTER projectさんの名曲を下手に歌うミクを再現した「恋スルVOC@LOID -テイクゼロ-」のDIVA-PVです。
2009年7月2日にSEGAから発売されたPSPゲーム「初音ミク-ProjectDIVA-」(公式サイト)は、ボーカロイドの人気楽曲を生かしたリズムアクションゲームで、当初の予想を大きく超えて発売初週10万本を売り上げるヒットとなりました。
SEGAの拘りによってボーカロイドジャンル特有の創作文化を強く意識した作りになっているのが特徴で、イメージの固定化を招きかねないストーリーモードを開発途中でばっさりカットし、好きなMP3が使える自由度の高いエディットモードを充実させ、ピアプロコラボやニコニコ動画で公募したユーザー作品をゲームに多く取り入れるなど、他のリズムゲームやキャラクターゲームとはかなり違ったシステムになっています。その結果完成したゲームはボーカロイドファンからの評価も高く、SEGAや音ゲー繋がりでプレイした新規層からも好評で多くの新しいボーカロイドファンが生まれる事になりました。
また、ゲームで使われた精巧な3Dモデルは、後にPS3HOMEのバーチャルライブや、献血ルーム「akiba:F」、バーチャルアイドルによる擬似立体映像ライブとして話題になったミクFesや、アニメロサマーライブ、シンガポールで行われたアニメフェスティバルのライブイベントなど、商業イベントには欠かせない3Dミクモデルの標準の一つとなりました。
ただゲームとしてヒットしたというだけでなく、大きな影響をボーカロイドジャンルに与えた作品です。



【UTAUで】けんか別れ【連続音音源を検証】
UTAUの連続音音源「桃音モモ」を使用したカバー作品で、オリジナルは「最古のUTAUオリジナル曲」と言われる耳ロボPのデフォ子曲です。
VOCALOIDと似た機能を持つフリーの歌声合成ソフト「UTAU」は、ボーカロイドと比べると音の繋がりが不自然で機械っぽさが消せないという欠点がありましたが、この作品では多少癖が残っているもののそれまでと比べると格段に自然で、VOCALOIDにも近いレベルの歌声になっています。
この動画で初めて紹介されたUTAUの新技術「連続音」は、単音ではなく複数の音声要素を持つ連続音を収録して使用する方法で、大変な手間のかかる専用ライブラリの収録が必要になるものの、音の繋がりをかなり自然にすることができます。これによりUTAUは一段進化した歌声を手に入れ、元々加工が少ない分生音に近い事もあり「レリクス」「恋愛サーキュレーション」ような神調教作品もいくつか生まれています。
連続音音源さえ使えば誰でも神調教レベルのものが作れるというわけではないようですが、UTAUの技術が大きく発展して新しい段階に入った事を知らせた名作動画です。
→「無料ボーカロイド? UTAUファミリー」へ



【碧いうさぎ替え歌】白いクスリ【初音ミク】
「白いクスリ騒動」のきっかけとなった動画で、タレント・酒井法子さんの人気曲「碧いうさぎ」の替え歌です。元動画は削除されているので、これはYouTubeに転載されたものです。替え歌の内容は、覚醒剤取締法違反の容疑で逮捕された酒井法子容疑者を風刺したもので、当時非常に注目度が高いニュースだった事もあり、この動画も大きな話題となりました。
派生動画も多く作られて、ネットニュースやTV、挙句は海外のニュースでまで酒井法子容疑者逮捕と絡めて放送された作品で、クリプトンにも取材要請が殺到した事からニコニコ動画に「白いクスリ」の権利者削除を申請。それを受けてニコニコ動画を運営するニワンゴが動画を削除します。その後、インターネット社も自社製VOCALOIDで作られた関連動画を削除申請しています。
利用規約に従った削除要請自体は前例のあることで、動画削除も時事風刺動画ではお決まりのパターンですが、なぜかニワンゴ取締役であるひろゆき氏がブログでクリプトン批判を展開し、ニワンゴが対応を二転三転させたため部外者も巻き込んだ議論に発展。クリプトン・インターネットがYAMAHAと共同で削除要請の理由を改めて発表する事態になります。(時系列はこのサイトのまとめが詳しいです)
かなり大雑把に言えば「クリプトン(とインターネット)の削除申請は利用規約の面でも製品に対する悪評を避けユーザーを守るという意味でも当然」という立場と「メーカーの判断でVOCALOIDの利用方を縛られるのは自由な表現を妨げられる事になり望ましくない」という立場による議論ですが、本題から脱線した言い合いや、騒動を利用したバッシングや煽りなども多く見られました。
全体としてはクリプトン・インターネット・YAMAHAの主張は一貫して変わらず、ニワンゴは前言を翻したりクリプトンとインターネット社で対応を変えたりとちぐはぐな印象を受けました。さらに、事態を把握していなかったり違う動画(表現をソフトに改変したMMD版など)と取り違えた部外者(ひろゆき氏含む)による議論が無駄に混乱を拡大させた面もあったようです。動画の作者も騒動が大きくなったことを謝罪して一時自分の全作品を非表示にしていましたが、後に元に戻しています。
今回に限り騒動が大きくなった理由については人によって様々な意見があるかと思いますが、初音ミクとボーカロイドを取り巻く文化が内輪だけのものではなくなり、良くも悪くも外から注目されるようになったからこその顛末だったと言えます。



【MikuFes09】HatsuneMiku-Hajimeteno_Koi_ga_Owarutoki【ミクフェス/ミクFES】
初音ミク発売2周年を記念して行われた「ミクFES'09(夏)」の一部を切り出した動画です。
このライブはryo、kz、デッドボールP、OSTER project、doriko、19's Sound Factory、ika&MOSAIC.WAV、bakerなど豪華なP達が出演して初音ミクの人気曲を演奏するもので、ニコニコ動画の有料生放送でも中継された他、「バーチャルアイドルによる単独ライブ」としてネットニュースなどで取り上げられました。
特に、大スクリーンに映される方式だったアニサマと違って、透過スクリーンによる擬似立体映像で3Dミクがステージ上で歌い踊る映像は非常にインパクトがあり、「シャロン・アップル」や「時祭イブ」などSFに登場するバーチャルアイドルの実現として語られることも多かったようです。(実際に会場で見ると、動画で見るほどは立体には見えないのではないかという感想もありましたが)
この3DミクはPSP用のDIVAモデルを高解像度で作り直したもので、他にも多くのイベントやコラボ企画で使用されています。ニコニコ動画に上げられたメイキング動画によれば、3D格闘ゲーム「バーチャファイター」用に開発された技術なども応用されているそうで、SEGAならではの技術によって実現したライブと言えます。
→「ミクFES'09(夏)の動画と感想(雑記)」へ


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2008.01.22 (Tue)

名作で見るボーカロイドの歴史12

2009年の秋から年末にかけては、多くの新ボーカロイドに関する発表が行われた時期でした。
クリプトンがTwitterを導入した事で開発中の情報公開や意見交換が行われるようになった「初音ミクAppend」や「project if...」、突然の新規参入を果たしたAHS社の3種の新ボーカロイド「氷山キヨテル」「歌愛ユキ」「開発コードmiki」、産総研の少女型ロボットの「声」として組み込まれた内蔵型ボーカロイド「CV-4Cβ」、初めてゲームでnetVOCALOIDが本格的に使われる事になった 「メタルギア ソリッド ピースウォーカー」など、新ボーカロイドに関する情報が色々と発表されています。
他にも、新設された高校や献血ルームとのコラボや、SEGAによるDIVAの新展開「初音ミク-ProjectDIVA-(新)」の発表、好評だったドワンゴ主催の「がくっぽいどコンテスト」結果発表などもあり、その度にネットニュースなどで報じられて話題になりました。
2009年の秋は、ニコニコ動画の外に広がっていくボーカロイドに様々な企業が関わるようになり、それらの企業による活動が話題の中心となった時期でもありました。




 CEATEC JAPAN 2009でHRP-4C「未夢(ミーム)」が歌っていた
2009年10月に開催された最先端IT・エレクトロニクスの総合展「CEATEC JAPAN 2009」において展示された、産業技術総合研究所(産総研)の少女型ロボット「HRP-4C 未夢(ミーム)」のデモンストレーションを撮影した動画です。
産総研の「未夢」は、先端技術で作られたリアルな少女型ロボットとしてTVなどでも報道された話題の技術ですが、その「声」として初めて搭載されたのがVOCALOID「CV-4C(β)」で、デモンストレーションでは独自の声による歌も披露しました。このVOCALOID「CV-4Cβ」は声優・中村繪里子さん(アイマスの天海春香など)の声を元にしたクリプトンの試作DBで、元々一般公開の予定は無いテスト用だったそうですが、「未夢」の声として搭載するために急遽調整されて「CV」の名を与えられました。
この産総研とのコラボは、YAMAHAによって語られていた今後のVOCALOID(VOCALOID3?)が目指す方向性の一つ「小型化して様々な機器に組み込める組み込み型VOCALOID」を実現させたものですが、実はもう一つの大きな新技術の初披露でもありました。
それは2010年2月25日に初めて正式に発表された、VOCALOIDによる喋りの技術「VOCALOID-flex」で、この展示での未夢のトーク部分がflexを使用して作られた音声であったことが、後にインタビューで明かされています。この時の展示ではなぜ未夢が関西弁を喋っているのか謎でしたが、自由に音律を制御し、会話の情感や歌うような喋り、方言のイントネーションなどを再現する事もできるというVOCALOID-flex技術のデモンストレーションでもあったためのようです。
YAMAHAによるVOCALOID開発の次の段階を見ることができる、最先端技術のつまった動画です。
「VOCALOIDの今後とVOCALOID3・「CEATEC JAPAN 2009」の新情報まとめ(雑記)」「喋り対応の新ボーカロイド技術「VOCALOID-flex」をYAMAHAが発表(雑記)」



 【miki】龍天に登る【オリジナル】
12月4日に発売された新ボーカロイド「SF-A2 開発コード miki」の作品です。
販売元はVOCALOID開発に新規参入した「AHS」社で、VOCALOID参入の第一報をメールマガジンに縦読みで仕込んだり、発売直前まで情報を伏せてクリスマス曲CD「VOCALOIDS☆X’mas」で初めてビジュアルや歌声を公開したり、最初からある程度のキャラクター付けをしたり、「開発コードmiki」「氷山キヨテル」「歌愛ユキ」とタイプの違う3種のボーカロイドを同時発売したりと、独特の方針で話題になりました。
mikiの声は元SUPERCARのボーカル「フルカワミキ」さんを元に作られていて、他の2種とは違う「アーティストエディション」第一弾ボーカロイドとして発売されました。声はリンとも似た可愛い高音で、比較的広い音域が特徴とされています。人気イラストレーター・コザキユースケさんデザインのメカっぽいキャラクターも人気で、発売直後の作品数も同時発売の3種の中では最も多く投稿されました。
しかし、音を外すクセやノイズなども強く、扱い易いボーカロイドではないようです。
この曲はBumpyうるし(やきいもP)さんによるmikiオリジナル曲で、投稿解禁となった4日の0時00分ぴったり(12秒差)に投稿されて、発売日最初の作品となりました。mikiのメカっぽいイメージに反して和風の民俗音楽風で、テクノポップ系が多かった初期miki曲の中では異色でしたが、注目を浴びた作品です。
→「SF-A2 開発コード miki」へ



 氷山キヨテルにオリジナル曲「jewelfish」を歌ってもらった
「Re:nG」さんによるキヨテルオリジナル曲で、発売日に投稿されたキヨテル曲で最も多く再生された作品です。
「ボカロ先生・氷山キヨテル」はAHS社から同時発売された3種のボーカロイドの一つで、高めで優しい歌声を持つ男声ボーカロイドです。「ボカロ先生」という名前や小学校教師という職業、「休日はロックバンドのアイスマウンテン・テルとして活動している」という設定など、最初からキャラクターに関する情報量が多くなっています。特にロックバンドの設定は初期の曲に大きく影響したようで、発売直後はこの曲を始めとしてキヨテルにロックを歌わせた作品が多く投稿されました。
AHS社の3種のボーカロイドは性能的にもどれも癖が強いですが、このキヨテルも滑舌に難があり、高音のパワーで優れる反面、低音に弱いという欠点を持ちます。
とはいえ、貴重な男声VOCALOID2であり、キャラクター的にも人気は低くないようです。
→「ボカロ先生・氷山キヨテル」へ



 【歌愛ユキ】シューティング☆スター【オリジナルグランプリ曲】
同時発売されたAHS社の新ボーカロイドの一つ「ボカロ小学生・歌愛ユキ」を使った動画です。曲はかごめPによるもので、元は「Jamバンドまつり作曲コンテスト」でグランプリを取った曲をユキに歌わせたものです。そのためセリフ部分はユキではなく、配布されているJamバンドキャラクターの音声素材が使われています。
「ボカロ小学生・歌愛ユキ」は3種のAHSボーカロイドの中でも最も個性的なボーカロイドで、歌手ではない素人の小学生の声を元に作られています。そのため歌声に力強さや伸びはなくクセも強いですが、リアルで素朴な女の子の歌声はこれまでのボーカロイドにはなかったもので、用途は限られるものの他では真似できない使い方ができる特化型のボーカロイドと言えます。発売直後には明るく可愛いロリ系のキャラクターソングが多く作られましたが、リアルでボソボソした声のため意外と暗い曲にも合うようです。
キャラクター的にはランドセルにお下げ髪といういかにもな小学生の女の子と言う感じで、「9歳の心優しい小学生で、担任は氷山キヨテル先生」という設定があります。
→「ボカロ小学生・歌愛ユキ」へ



 【初音ミクAppend_dark】 parabola 【オリジナルカバー曲】
2009年夏に正式に発表された初音ミク追加音声パック「初音ミク・アペンド」の体験版が12月に配布され、それを使った多くのユーザー作品がニコニコ動画でも発表されました。この「tac_」さんの作品もその一つで、アペンド音源の一つ「dark」を使って歌わせています。
「初音ミク・アペンド(MIKU Append)」は、複数の音声ライブラリを切り替える事で、ボーカロイドの欠点だった歌声の情感の変化を表現しようと言う新しい試みのボーカロイドで、「dark」「soft」「vivid」「sweet」「solid」「light」の6種類の音声ライブラリをミクに追加します。体験版が配布されたのは、アペンドの内「dark」と「soft」の二つで、特にこの曲でも使われている「dark」は、従来のミクでは表現できなった暗くリアルな歌声で評判になりました。
またこの動画は、後にAppendの他の音声ライブラリや鏡音リン・レンAppendの制作にも大きな影響を与えています。技術的な壁に行き当たり「solid」の開発が難航していた時期に、クリプトンのボーカロイド開発責任者「wat」さんがこの作品を聞いた事でまったく新しい方法を思いつき、すぐに「solid」を一から収録し直してついに完成の目処が立つまでの過程が公式Twitterで書き込まれています。その新方式によって、長く凍結していた「鏡音リン・レンAppend」の収録も再開されました。素人にはどんな発見だったのかわかりませんが、この曲がクリプトンのボーカロイド開発にブレイクスルーをもたらしたのは確かなようです。
「「初音ミク・アペンド」デモまとめ・その1 「dark」」



 「 神威がくぽ がオリジナル曲『 Episode.0 』を唄う」の巻
12月15日のニコニコ生放送で行われた「がくっぽいどコンテスト」の結果発表においてグランプリに選ばれた作品で、がくっぽいど最大のヒット曲「ダンシングサムライ」の作者として知られる「カニミソP」のがくぽオリジナル曲です。
「がくっぽいどコンテスト」は、ドワンゴの主催で行われたがくっぽいどオリジナル曲の賞金付きコンテストで、応募曲はがくっぽいどの声を担当したシンガーソングライター「GACKT」さんによって審査されて、選ばれた曲はGACKTさんがカバーしてCD化する可能性もあるというコンテストでした。ユーザー主導の創作文化であるボーカロイドジャンルにおいて企業主体の賞金付きコンテストという形式に当初は否定的な意見もありましたが、2009年6月10日~8月31日の募集期間中に255作品が応募しています。
GACKTさんは多忙の身でありながら審査にまったく手を抜かなかったようで、全ての曲を持ち帰って自分で聞きこみ、さらに応募作以外のがくっぽいど作品の傾向などもニコニコ動画で自発的にチェックするなどしていたようです。ボーカロイドの技術や意義についての理解も深く、プロのシンガーソングライターならではの解説を交えた受賞発表では、GACKTさんのプロ・アマ関係なく音楽に真摯に向き合う姿勢がボーカロイドファンにも強い印象を残しました。
この「がくっぽいどコンテスト」はインターネット社ボーカロイドのアーティスト路線ならではの企画であり、現在主流の「CVシリーズ」のコンセプトとは異なる「AVシリーズ」ならではの価値と可能性を示したコンテストだったと言えるかもしれません。
→「がくっぽいどコンテスト結果発表・GACKTさんが歌ってCD化も?(雑記)」、「がくっぽいどコンテスト結果発表・その2(雑記)」へ


2010/4/17更新
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2008.01.30 (Wed)

名作で見るVOCALOIDの歴史0

「名作で見るボーカロイド(初音ミク)の歴史」では、ニコニコ動画におけるボーカロイドブームの成り立ちに関わった作品を紹介してきました。今回はそれより以前、初音ミク誕生前のVOCALOIDが辿ってきた歴史を知る事ができる動画を、番外編として集めてみました。
範囲としてはVOCALOID誕生からニコニコ動画のスタートまでですが、書いている自分もこの期間のことは直接見てきたわけではないので、「初音ミクwiki」やVOCALOIDスレ過去ログなど様々な資料を参考にさせてもらいました。もしかしたら説明に不正確な部分もあるかもしれませんが、まあ番外編なので申し訳ない。動画紹介が主ということで。

VOCALOIDは画期的な歌声合成技術ですが、そのルーツとなる合成音声自体の歴史はかなり古く、原始的なものは1000年以上前から記録があるそうです。コンピューターを使ったものでは1950年代には開発されていて、その時すでにオペラ歌手の声を元にした合成音声による歌唱も行われていました。人間の声を合成して自由に喋らせる技術は、それだけ長年の夢だったのです。
しかし、YAMAHAの開発した「VOCALOID」は用途が歌唱に限定されていて、性能は高いものの上手く歌わせるには手間も熟練も必要で、すぐにプロの歌手に取って代わるようなものではありませんでした。そのため、あくまで一部愛好家の間で人気のDTMソフトに留まり、発表の場や聞き手は限られていました。
ブームと言えるほど知られるようになるには、キャラクター性に着目した新機軸の「CVシリーズ」と、様々なジャンルの創作動画と視聴者が集まり、視聴者同士の交流を重視した動画投稿サイト
「ニコニコ動画」の誕生を待たなければなりませんでした。




 春よ来い by PLG100-SG
国内トップブランドの楽器メーカー「YAMAHA」が、1997年に発売した人間の声を合成して歌わせるシンセサイザー音源が「PLG100-SG」です。音源モジュール(鍵盤の無いシンセサイザー)の拡張ボードとして発売されました。
伝統的な楽器だけでなく電子楽器の分野でも最先端だったYAMAHAが作り出した歌声合成シンセサイザーですが、聞いて解る通り、この当時の技術ではまだかなりの機械声になってしまっています。音の繋がりは不自然で、歌詞も聞き取りづらく感じます。
それでも、当時のDTM愛好家達にとっては衝撃的な音源だったようで、今でも所有している人は
結構いるようです。ニコニコ動画にもいくつかPLG100-SGに歌わせた作品が投稿されていて、
機械っぽさがいい味になっています。これはこれで魅力的な歌声です。
この6年後にYAMAHAが「VOCALOID」を発表して歌声合成技術は注目を浴びる事になるのですが、このPLG100-SGはその直接のご先祖と言えます。



 【プロトタイプ KAITO】 ヤマハが作ったデモソング『 君の噂 』(フル)
YAMAHAが、開発中の新技術「VOCALOID」を初めて発表したのが2003年2月の事で、そのときに
公開されたデモソングは、それまでの人工音声とはまったく違う人間のような歌声で反響を呼びました。これが後に、今までにない創作ブームを生み出すことになる新技術「VOCALOID」の歴史の始まりとなります。
このときに発表されたデモ曲は「Kimi no uwasa」「Amazing Grace」「さらさら雪景色」で、なかでもこの「Kimi no uwasa」の美しい歌声は、VOCALOIDに注目したDTM愛好家の間でも評判になっていたようです。
このデモの声の元は恐らく「風雅なおと」さん(KAITOの声の人)で、そのため後のKAITOの歌声とよく似ていますが、あくまで「プロトタイプVOCALOID」の歌です。開発段階ではこの風雅なおとさんの
他にも数人の歌手がVOCALOIDに音声を提供していたようですが、その中から風雅なおとさんと
拝郷メイコさんの声が選ばれ、VOCALOID「KAITO」「MEIKO」として製品化されることになります。
また、同じくプロトタイプに音声を提供していた歌手の一人である「比山貴咏史」さんの歌声データからは、後にVOCALOID2「氷山キヨテル」が生み出されました。
風雅なおとさんのインタビューによると、声の収録はVOCALOID自体の開発と共に試行錯誤しながら一年間に渡って行われたそうです。後のVOCALOID2「初音ミク」の収録は2日間で合わせて6時間なので(それでも大変ですが)、プロトタイプの収録は大変な作業だった事がわかります。
ちなみに、この初代デモ曲のうち英語のポピュラーな賛美歌のカバー「Amazing Grace」は、
VOCALOID2巡音ルカのデモ曲としても使用されました。



 【VOCALOID遺産】あの素晴らしい愛をもう一度
2003年7月24日に発売された「Logic System」(松武秀樹)のベストアルバム「History Of Logic System」収録の一曲で、まだLOLAすら発売されていない時期のプロトタイプVOCALOIDをメインボーカルに使用した曲です。
現在、初音ミクやVOCALOIDが歌うCDのメジャー発売やプロとのコラボは珍しくなくなっていますが、メジャーCDに収録された最初のVOCALOID曲は正式発売前にまで遡るこの曲になるようです。
名曲「あの素晴らしい愛をもう一度」をカバーしたVOCALOID男女デュエットで、男声は風雅なおとさん、女声は拝郷メイコさんに聞こえるので、プロトタイプの「KAITO」と「MEIKO」の歌声なのかも知れません。
このころからすでにデュエットしていたKAITO&MEIKOと歌の内容にイメージを刺激された「オクラP」によって、プロトタイプの二人をテーマにしたPV作品も作られています。



 ファユ(゚∀゚)ファユ
2004年3月、世界初の正式VOCALOID製品である「LEON」「LOLA」がイギリスの「Zero-G」社から発売されて、その日のうちに2chVOCALOIDスレに投稿された作品です。東方曲「おてんば恋娘」のアレンジを「LOLA」に日本語で歌わせたもので、これが今でも残っている中では最古の、ユーザーが発表したVOCALOID作品と言われています。動画タイトルは「冷や冷や」という歌詞の空耳で、正式名の「おてんば恋娘-Vocaloidver-」として東方アレンジCDに収録されて同人販売もされています。
入手した直後であり、英語ボーカロイドに無理やり日本語を歌わせているのでほとんど歌詞が聞き取れないですが、この作品がこれから始まるユーザーによる試行錯誤の第一歩となりました。
この曲の作者はニコニコ動画でも曲を発表していて、後に「おてんば恋娘-Vocaloidver-」の再アレンジバージョンも自ら投稿しています。また、ワンカップPが新VOCALOIDが出るたびに好んでカバーすることで、ボーカロイドファンにも有名な曲です。
YAMAHAが国内で開発していた新技術「VOCALOID」の製品を海外のZero-G社が真っ先に発売したのは、開発中のVOCALOIDに注目していたクリプトン社が仕事で付き合いのあったZero-GをYAMAHAに紹介したのがきっかけでした。元々VOCALOIDは日本語用と英語用が同時に開発されていて、当初はLEON・LOLAとMEIKOは同時期に発売される予定でしたが、MEIKOの開発が遅れて発売日を延期したため、LEON・LOLAが世界最初のVOCALOIDになったということのようです。
→東方VOCALOIDについては「ミクが歌う幻想郷・東方VOCALOID」
→海外のVOCALOID製品については「海外製のボーカロイドたち」へ



 メイコにオリジナル曲【Close My Eyes】を歌わせてみた
世界初のVOCALOID「LEON」「LOLA」に続いて有名アーティストを採用した「MIRIAM」が7月にZero-G社から発売され、さらに4ヵ月後の2004年11月、ついに日本語VOCALOID第一号の「MEIKO」がクリプトン社から発売されました。それまでの3本のVOCALOIDとは違いオリジナルキャラクターのイラストパッケージで売り出されたMEIKOは、その性能の良さや値段の安さもあり、年間で1000本売れればヒットと言われる市場で初年度3000本を売り上げる人気ソフトとなりました。そして一年後の2006年2月にはMEIKOと対になる男声日本語VOCALOID「KAITO」が発売されましたが、こちらは当時男の歌声に需要がなかったためかあまり売れず、出荷で500本という厳しい結果に終わっています。このMEIKOの成功とKAITOの失敗が、後に初音ミクのコンセプトに繋がっていくことになります。
待望の日本語VOCALOID「MEIKO」が発売された事で、自作の曲をVOCALOIDに歌わせて発表する作者も増えていきました。この時期VOCALOID作品の発表の場となったのは、2chVOCALOIDスレの他には、主に「muzie」「プレイヤーズ王国」といったインディーズ音楽配信サイトでした。作品数も決して少なくはありませんでしたが、これらのサイトはコアなインディーズ音楽ファン以外はあまり訪れないので、VOCALOIDの知名度アップやファン層の大幅な拡大には繋がらなかったようです。
この時期にVOCALOIDオリジナル曲を発表していた作者の中で今も活躍している人としては、ニコニコ動画ではMEIKOマスターとして知られる「shu-t(shu-tP)」さんがいます。shu-tさんはDTM歴の長いベテランで、主にmuzieにおいて女性クリエーター「kaya」さんとユニットを組んで「LOLA」「MIRIAM」「MEIKO」などを使ったVOCALOIDオリジナル曲を発表していました。この「Close My Eyes」もその一曲で、MEIKOを使って2005年5月にmuzieで発表されたオリジナル曲です。今聞いても最高レベルの調教で、当時すでにMEIKOを使いこなしていた事が解ります。
また、発売前に名前が公募されていたクリプトンの男声VOCALOIDに「KAITO」という名前をつけたのもshu-tさんでした。(賞品としてKAITOを貰ったはずですが、作風と合わないためか手放してしまったそうです)



 karimono -メロディック妹メタル~妹ライン10/10~-
2006年12月(正式スタートは2007年3月)にスタートした動画投稿サイト「ニコニコ動画」には様々なジャンルの動画が大量に投稿され、その中にはMEIKOを使ったVOCALOID作品も含まれていました。
その中でも最古のVOCALOID(MEIKO)動画が、この「メロディック妹メタル」です。
作者はネット上で人気のあった同人ギタリスト「karimono」さんですが、ニコニコ動画ができるより前に活動を停止していて、この動画はYouTubeにアップされていた同人DVDの映像を別の人が転載したものです。
動画番号「sm6772」という最初期の動画で、色々と深読みできる歌詞と変則的な曲、作者本人によるギター演奏動画も付いた名作ですが、まだ「ボーカロイド」も「演奏してみた」もない時期だったので長く埋もれてしまっていた作品でした。
本人投稿の新作ではなく転載者のコメントに「VOCALOID」となかった事もあり、この動画が後のボーカロイドブームに直接影響を与えるような事はありませんでしたが、ニコニコ動画に最初に投稿されたVOCALOID関連動画として記念碑的な作品と言えます。
この後もニコニコ動画のMEIKO作品は徐々に増えて行き、人気アニメ曲やアイドルマスター曲カバーなどの新作が投稿されるようになると、歌うプログラム「VOCALOID」の存在がニコニコ動画上でも
(一部の間で)知られるようになっていきます。
初年度40000本以上を売り上げる事になる大ヒットVOCALOID「初音ミク」が発売されるのは、これからさらに半年後の事です。

「名作で見る初音ミクの歴史1」へ続く


最終更新・2010/1/22 人気ブログランキングへ ←押してもらえると励みになりますm(_ _)m

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